皆さん(読者)のせいで異世界転生することになったので最後まで作者のモチベを支えやがってください
ほのかな
バスケ界に現れた新生
綺麗な桜が咲き乱れる上り坂。そこを元気に俺は駆け上がっていく。
兄貴が来ていた高校の制服を身に着けた元気いっぱいな俺の名は越前良助(えちぜんりょうすけ)。テニスが得意そうとよく言われたが、得意なのはバスケだ。今日は兄貴が通っていた高校の入学式。俺は亡くなった兄貴の代わりに、この学校を全国大会に連れてゆき、優勝するんだ。見ていてくれ兄貴。俺は絶対兄貴の思いを継いで見せるから。俺は走る。舞い散る桜が顔を覆うのも払いのけて、元気いっぱいに走る。もうすぐだ。もうすぐ兄貴の学校に
「あーマイクテスマイクテス。聞こえますか越前君」
「え?」
突然声が空から降ってきた。周りには誰もいない。声など聞こえてくるはずもないのに、まるですぐ近くで誰かが話しているかのように声が聞こえてくる。
「えー、突然で申し訳ありませんが、担当から「今時青春バスケものなんて流行んねえよ。異世界転生ものやれ」と言われたのであなたの人生を変えます」
「はあ?」
変える?人生を?というか担当?何をほざいているんだ?
「いきなりそんなこと言われたって・・・ていうかお前誰だよ!」
とりあえず空に向かってそう叫んだ。が、向こうはこちらの応答には一切答えない。
「あ、とくになにもしなくて大丈夫だよ。これからあなたにはどうやっても避けようのない死がおとずれまーす。そしたら新しい世界に転生させるから。ではスタート!」
そして声は途切れた
「おい!避けようのない死ってなんだよ!おい!返事しろ!」
もう声は聞こえない。
ごごごごごびりびりびり・・・・
「な、なんだ・・・」
声の代わりに聞こえてきたのは、何か巨大なものが空気を切り裂くような音。
ごごごごごごごびりびりびりびりびり・・・・・
空に小さな黒い丸が現れた。なんだあれは?
ごごごごごごごごごごごごびりびりびりびりびりびりびり・・・・
数秒後にそれの正体を俺は悟った。そしてもう手遅れということも。
ごごごごごごごごごごごごごごびりびりびりびりびりびりびりびり・・・・
「避けようない死って・・・・・」
ごごごごごごごごごごごごごごごごごごごびりびりびりびりびりびりびりびりびり・・・・
「隕石かよぉーーーーーーー!!!!」
どがあっしゃーんずごーぉおおおおおおおおおおおおお・・・
俺はジャストミートに隕石を食らい、どうやって葬式をやったらいいんだって後で困るんじゃないかという風に死んだ。もしかしたら肉片も残っていないかもしれない。
「・・・・うう・・」
意識がぼやける中、目が開いて徐々に視界が開いていく。
「ここは・・・」
気が付くと俺はなんというか・・・すごく不思議なところにいた(語彙力不足)。地面もない。空もない。何もない。そんな所をさまよっている。
「あ、気が付いた?」
辺りにさっきの声が響いた。
「・・・ここは」
「ここはねえ、世界と世界のはざまってやつだよ。ゲームとかでよくあるでしょ?あ、あんまりゲームとかしないタイプ?」
「世界のはざま・・・?」
なんでそんなところに・・・俺は確か学校へ行こうとして・・・それで変な声が聞こえて・・・それから・・・
「って・・・そうだ!俺を殺したのはてめえだな!何てことしやがる!俺は兄貴の意思を引き継がないといけなくて・・・」
「ああごめん。その設定ね、ほぼ無意味になったから」
「はあ?」
「君はこれから異世界に行って魔王的な奴を倒す流れになったの。読者を集めるために」
「読者をあつめる?何わけのわからないことを言っているんだ」
「さっきも言ったけどさ。今時青春バスケものの小説とか流行りそうにないのよ。で、流行に乗って異世界転生ものを作ろうってなって。でも君というキャラクターは作っちゃったからさ。君をそのまま異世界に飛ばしちゃえーってなってね。新しく設定作るの面倒くさいし」
「なんだよそれ!俺は異世界なんか行きたくねえ!あの学校で兄貴のために・・・」
「だーかーらーもう無理なんだって。もう君は異世界に行くしかないんだから」
「ふっざけんな!こんな理不尽あってたまるか!」
唐突の声。突然の死。唐突の異世界転生。自分の夢をあきらめろ宣言。その他突っ込みたいことは多くあったが、一つ一つ言おうとするときりがないので、とにかく理不尽であることを俺は主張した。
「とは言っても、もう君の片道切符は切ってしまったんだよねえ。元の世界に戻るには・・・魔王とかを倒して勇者としての使命を一区切りさせないと、駄目だと思うんだよねえ。いきなり現実に戻すようなことしたら、読者から不満が出そうだし」
「じゃあ・・・魔王を倒せば戻れるのか?」
「そういう風にできると思うよ。そこまで話が続けばだけど」
話が・・・続けば?
「どういう意味だ?」
「例えばこの小説の人気が出なくて、作者つまり私がやる気を失くしたら、「越前の戦いはこれからだあー!」で終わると思うのよ。もしそうなったら・・・」
「・・・そうなったら?」
「君は一生異世界で生きるしかないね。きゃは!」
「なあっ!」
なんだそりゃあ!
「ふっざけ・・・」
叫ぼうとしたがそこでぶつっと視界が途切れた。俺はまた意識を失った。
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