「聖女」と呼ばれていた私が、「氷の令嬢」に転生してしまったので、私なりに冷たくします。
らい
プロローグ
「実は、貴方に折り入って話したいことがあります。」
普段から、表情を顔に出さない彼の顔から、少し緊張を感じます。私はゴクリと唾を飲みました。こうやってかしこまって話すのはいつぶりでしょうか。私も少し緊張してきましたが、この仮面を外してはいけません。なぜなら私は、私ではないのです。正確に言うと、別の女性の体と入れ替わってしまったのです。その事がバレると大変だから、私は元の女性を演じています。
「なんでしょうか」
私はできるだけ冷たく、素っ気なく返します。
彼はいつも通りの私に少し安堵した様子で続けます。
「実は僕には、人には言えない秘密があったんです。」
彼はそう言うと、口を私の耳ともに近づけました。
「―――」
彼の口から発せられた言葉に、私は目を見開きました。
今までの努力が全部無駄になってしまったのでしょうか.....。いえ、今無駄になったというよりかは、元々無駄だった、という方が正しいですね。
そして私は、今後どのようにして生きていけばいいのでしょう.....。
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