自殺の神

ほのかな

単話

ある時自殺の神が現れました。その存在の手にかかれば簡単に死ねます。苦痛もないです。みなさんはそんな存在をどう思いますか。


とある人は言いました。

「私は自殺の神を悪だと思います。あいつのせいで私の友人は死にました。簡単に死を選択できるから、俺に相談したり他の対処法を選択する前に、友人は死を選んでしまいました。あいつがいなければ、友人は死なずに済んだかもしれない。幸福な未来を選べたかもしれない。だから絶対に許せない」


自殺が簡単になったせいで人が死ぬから悪。わかりやすい考えです。実際、自殺が簡単になったら、どれくらいの人が死ぬのでしょうか。人間全員に聞いたことがないのでわからないですが、それなりにはいるのでしょう。何かが簡単になったら手を出してみたくなる人はたくさんいるものです。


また別の人はいいました。

「私は自殺の神を善だと思います。あの方のおかげで苦しみから簡単に開放できる。痛みも苦しみもなく終わりを安らかに迎えられるのです。それを望んでいる人がこの世界にどれだけいるでしょうか?あの方がいればアスファルトに頭をぶつけることも、ロープで首を絞めつける必要もない。そもそも今までたくさん苦しんだから人は死にたがるのです。それなのにどうして死ぬ間際まで苦しまなければならないのでしょうか」


自殺が簡単になればたくさんの人が解放されるから善。そういう考えもあります。死にたがってる人からすればこれほどありがたいこともないですよね。彼ら彼女らからすれば、自殺の神は非常に慈悲深い何かに見えるでしょう。実際、こういう手段でしか救えない人もいるでしょうしね。


え、私の意見ですか?そうですね。私の意見は、「善悪をいちいち決めるのがばからしい」です。自殺の神はただ単にそういう能力を持ってそこに存在するだけです。それを利用しようがしまいがそれは他人の勝手。善だの悪だのは周りの人間が勝手にわめいているだけの無価値なことです。だいたい、善悪が決まったところで、憎む奴は結局憎み続けるし、感謝する奴は感謝し続けるでしょ。いちいち良い悪いを決めないといけない人の気が知れない。まあ冷静に未来を考えるなら、多分自殺の神を憎む奴の方が多く世の中には生き残るでしょうから、そのうち人と自殺の神の間で戦争でも起こるかもしれませんね。それで沢山の人が死ぬでしょう。皮肉ですね。自殺の神に頼めば苦しまずに楽に死ねたでしょうに。笑えますね。まあ人間の歴史なんてこんなことの繰り返しですからしょうがないですね。


さてこれはフィクションです。でももし本当になったら、あなたはどうしますか?

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自殺の神 ほのかな @honohonokana

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