俺が離さないと言ったら離さないから覚悟しろ

安倍川 きなこ

プロローグ 

 私の名前は、よる。夜に生まれたから、そうつけられただけの意味のない名前。苗字なんて言いたくもない。私はとある高校に通う女子高生。普通の女の子、とはちょっと違うかな?だって、私は、愛情なんて知らないから。

 学校では、クラスで人気の男の子とちょっと仲良くなったかと思ったら、色目を使っただのと、クラスのボス女子からいじめを受けるようになり、家に帰れば酒乱の母親に殴られるのなんて日常茶飯事。父親なんてものは元から知らない。

 普通の女の子は温かい家庭で育って、学校でも明るいスクールライフなるものを送るらしい。

 なんでだろう?私は普通にはなれなかった。

 だからね。

「グッバイ、さよなら、我が人生。」

 そう心の中で小さく呟いて、私はビルの屋上からダイブすることにした。

 その先には何もないといいな、と願って。

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