大叔父

@tomorrowyuko

第1話

去年の夏のこと。母に近況報告の電話をかけていました。私達家族は二十年以上前に父を亡くしています。お盆が近いこともあり、話しが自然とご先祖やお墓の話題になったのです。私が「お父さんのお葬式は小さいけれどいいお葬式だったよね。」というと、母が「あの時〇〇叔父さんきてたよね。」というのです。「〇〇叔父さん?覚えてないな。」というと「〇〇叔父さんよ。おじいさんの弟。」「頭は禿げているけど男前よ。」「あんたあの時お茶出したよね。」と母はいいました。「初めてきいたよ〇〇叔父さん。」二十年以上前のことです。覚えてないのも当然だと思いました。「そんな人がいたんだね。まだご健在なの?」「ま.さ.か!」「お母さんたち夫婦が結婚する前にもう亡くなってるよ。」

「えっなんだか計算が合わないよ。」というと母はそれ以上聞くなといった具合に話題を変えてしまいました。大叔父について話したのはそれが最初で最後です。母がその話題になるととっても嫌そうな顔をするのでそれ以上追及しないことにしています。

誰しも1つは奇跡体験や怖い体験を持っているんじゃないかな?と思っています。言わないだけで。


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