その恋ははちみつ色
月桜 兎
第1話 その日は王子の誕生日
今日は、大国ファルアールの、王子アルバートの誕生日。とてもおめでたい日の幕開けだ。国中が王子の誕生日をお祝いしている。今日の夜には、貴族主催のアルバートの誕生日を祝うパーティーが行われる。国民達は、朝からそわそわしている。
ファルアールはお祝いムードに包まれている中、国民達は今日のパーティーでの出来事を知りたがっている。なぜなら、今日のパーティーでは、アルバートの婚約者が決定されるからだ。そのため、将来国王になるアルバートの婚約者は、国を支える大事な人になる。だから、国民達はアルバートの婚約者を知りたがっている。
国王が住んでいる町から、国王が住んでいない遠くの町まで、様々なうわさが飛び交っている。国民達は、アルバートとアルバートの婚約者にも幸せになってほしいと思っているし、自分たちの生活もより良いものにしてほしいと考える。それは、ファルアールの現国王もその考えである。その想いが尽きない限り、この国は平和になるだろう。
場所は変わり王城。アルバートや国王たちが住む場所だ。その王城では、今日の主役である、アルバートの姿が見当たらなかった。アルバートの世話をしている執事を筆頭に、アルバートを探していた。
「国王陛下!アルバート王子が見当たりません!」
「はあ……。またか……」
「あれほどきつく出かけるなと言ったのに……」
執事がアルバートがいなくなったことを伝えると、国王はあきれてしまい、女王はまた注意を守らなかったのかと思っていた。そう、アルバートは急に王城を抜け出す時がある。その出かけ先は、城下町だ。城下町は、国王が住んでいる町の事で、アルバートはこの町によく出かけに行く。
「はあ……。わが子ながら困ったものだ」
「国王陛下、私が探しに行きます」
「いつもすまんな、ヴィール」
「息子の事、頼みましたよ」
「ええ、もちろんです」
ヴィールはお忍びで、城下町に出かけた。そして、アルバートを見つけた。
「あれ、ヴィール?どうしたの?」
「アル、それはこちらのセリフですよ。どうして城下町に無断でお忍びで来たのですか?」
「僕の誕生日だから、国民はどんな反応しているのかなって思ってここまで来たんだよ。みんな、僕たちの婚約を賛成してくれている。そう分かれば、ヴィールも安心できるでしょう?」
「アルバート、まさか私のために抜け出してくれたの?」
「うん。僕は、ヴィールの事ならなんだってしたいからね。もちろん、今ヴィールが抱えている問題も解決しようと思っている」
「知っていたのね」
「もう、僕は頼りないかもしれないけどさ、僕はヴィールにもっと頼ってもらいたいからね。苦しかったら、相談していいんだよ」
「……ふふっ。そうね、私は難しく考えていたのね」
「じゃあそろそろ帰ろうか。あんまり長居して帰ってこれなくなっても困るし」
「そうね」
そうして、アルバート達は王城に帰った。しかし、今日のパーティーが悲惨な事になるとは、この時誰も思ってなかった。
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