第7話マックロムシ&タワシムシ

 次男の悠がまだ幼稚園に入る前のお話。悠は小さいころはなぜかあまり虫が好きじゃなくて、蚊に刺されたとか、カナブンが飛んできたとか言っては、大騒ぎしてましたけど、アニメの甲虫王者ムシキングは好きで毎週欠かさず観てました。リアルで見るカナブンはあまり好きじゃないけど、ムシキングは大好きと言う、次男なんですが、さすがに今は虫が嫌いとか言うのはなくなりましたねぇ。

 とにかく小さいころはちょっとした虫でも、ちょっと怖がってましたが、その恐がりようを見てたら面白いので、よくからかってました。子供たちと一緒にお風呂に入っていて、私がひげをそった後、浴槽のふちにその沿ったひげをトントントンと、落としてそれを悠の腕にピタッと引っ付けてやると、悠が大騒ぎしてギャン泣きして、私が

「あぁあ~マックロムシに刺されたねぇ。これに明日になったら、ものすごーく痛くなって大変なことになるよ」

っていかにも大変なことが起こったって感じで話すと、

「お父さんが悪いことするんじゃん。なんで僕に引っ付けるんよ~」

と言って、ぷんぷん怒ってました。それを何回か繰り返すと、次第に次男も嘘だとわかって、

「ふん。僕もう大丈夫やからねぇ~」

とか言って、威張りながら言ってたので、さらに怖い架空の虫を登場させた私。

風呂場など、どこにでもある亀の子だわし。あれ、実は悠は巨大な得体のしれない虫だと思ってたみたいで、その亀の子だわしを悠の目の前に落としてやると、マジでビビって、私が

「あぁあ~。今度はタワシムシに刺されたねぇ。物凄く痛ーくなるぞ」

というと、これまたどうしようって感じで

「なんでお父さんは僕のところにタワシムシ落とすんよ」

とかなりお怒りの様子。私は

「だって、日本の法律で、小さい子供のおるところでは、幼稚園に入るまでに一回以上、タワシムシを子供の前に落とさんといけんていう法律があるから仕方がないじゃん。だって、悠はまだ幼稚園に入る前やから、小さいやろ?」

「うん。小さいけど…。なんでタワシムシが家におるんよ」

っていうので、さらに私は

「日本の法律で、家に一匹以上タワシムシを置いておかないといけんて決まってるからねぇ…」

などと大ウソついて、こどもをからかってました。まぁ、親の言う大ウソをまじで信じるって、子供は純粋ですよねぇ。

 それから、子供がいたずらしたときは、

「そんな悪いことするんやったら、マックロムシとタワシムシ連れてくるよ」

っていうとおとなしくなってました。

悠にとっては、マックロムシとタワシムシは、得体のしれない虫だったのかもしれないですねぇ。今になって思いだすと、なつかしい思い出です。

それで悠はまだ3歳になる前だったので、舌がうまく回らず

「なんで僕をからかうのか」

って言うのを

「なんで僕をかわいがるんか」

って言ってたので、

「ええじゃん、かわいがってもらえてうれしいやろ」

って言うと、

「うれしくない」

って激おこでした(笑)。

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