妹と義妹が、ある日を境に、俺の事を誘惑してくるようになったのだが⁉
譲羽唯月
第1話 二人の妹から起こされる朝
高校二年生の
けれど、一人じゃない。
つい最近できた妹もいるのだ。
今までは一人の妹と一緒に過ごす日々だったが、新しい妹が出来てからは、何かと騒がしくなった気がする。
そんな晃良には好きな人がいるのだ。
しかし、妹らといると、その子に告白する事も難しそうだった。
今は、本当の気持ちを伝えることができないまま過ごすしかないだろう。
「お兄ちゃん、早く起きてよー」
「いつまで寝てるの。休日だからって、ちゃんとしないと!」
ある日の休日の朝。
カーテンが開けられた窓から太陽の日差しが入ってくる。その時、自室にいる晃良は、妹から話しかけられていた。
眠たい瞼を見開く。
目を覚ませば、視界の先には二人の妹がいる。
一人は昔からいる、一つ年下のショートヘアが魅力的な小柄な妹――
もう一人は、父親の再婚で義妹になった、黒髪ロングな夏菜。
元の名前は、
一応、夏菜とはクラスメイトであり、いきなり同棲する事になった日には驚いたものだ。
今は大分慣れてはいるが、急に距離感が詰められると、やはり、まだ視線を合わせることができず気恥ずかしく感じる。
「というか、二人とも今日はやけに早くないか?」
「そんなことないよ。今日は外に出かけるっていう約束をしてたじゃん」
妹は当然外に行くよねと、起きたばかりの晃良の顔をまじまじと見つめながら言ってくる。
「ちょっと待って、今から起きるから。それに二人とも顔が近いって」
二人には離れてもらい、自室のベッドで上体を起こす。
妹らは、晃良のベッドで正座して座っていた。
「約束通りに行くよ。早く着替えて」
義妹の夏菜が急かしてくる。
「ここで着替えるのか?」
「そうだよ」
「いや、さすがに、ここでは」
夏菜と兄妹の間柄になったからとは言え、目の前で着替える事に抵抗があった。
寝起きの眠けさよりも、恥ずかしさの方が勝り始めていたのだ。
「でも、どうして、外に出ることになってたんだっけ?」
「それは、どっちと付き合うか、デートしながら決めてもらうためです!」
妹の晴が言葉を切り出す。
確か、そんな話をしていたと、以前の記憶を辿りながら思い出していた。
アレって、本気だったのか?
「私も付き合いたいから! 早く外に行こ」
義妹から、余裕のあるウインクされ、誘われる。
義妹の夏菜から兄として扱われる事に、まだ慣れているわけではなかったが、女の子から言い寄られて嫌な気分はしなかった。
「一先ず外に行きましょう! ね、お兄ちゃん」
妹の晴から右腕を引っ張られる。
左腕は夏菜から引っ張られ、ベッドから強制的に離れる事となったのだ。
本音で言えば、もう少しベッドで休んでいたかった。
平日の疲れもなかなか取れておらず、体が怠く感じていた。
父親の再婚によって、家庭が賑やかになったのはいい事なのだが、色々とやることが増えて、ゆっくりと過ごせていなかった。
「付き合うなら、まず外に行くべきなんです。家の中より、外の方が色々なことができますし。それに、私、遊びで誘ってるわけじゃないですから……」
夏菜は、晃良にだけ聞こえる声で囁いていたのだ。
そんな、突然の甘えた口調にドキッとしてしまっていた。
「で、でも、俺……まだ朝食を食べてないんだけど」
「でしたら、私が作った朝食があるので、それでもどうですか?」
夏菜は晃良の左腕を抱きしめるようにして積極的にアピールしてくる。
彼女の胸が思いっきり当たり、朝から色々と興奮してきていたのだ。
「わ、私も、一応作ってますから!」
妹も、晃良の右腕に抱きつきながら対抗するように言う。
「え? 二人とも料理を作ってたのか?」
「「はい‼」」
二人の声が重なっていた。
妹らはつい最近まで関わったことがなかったのに、妙に仲がいい気がする。
「やっぱり、付き合うなら、料理が出来るかが重要ですからね。それに、晃良にはしっかりと栄養を取ってもらいたいし」
「私も、お兄ちゃんのために作ったので、ちゃんと食べてほしいの」
二人から積極的に誘導され、双方の腕に抱きつかれたままリビングへと向かって行く。
リビングのテーブル上には、料理が並べられてあった。
皿に盛りつけられているのは、魚と唐揚げだった。
晃良はその料理の皿が並べられている前の席に座ると、二人の妹からご飯と味噌汁を出された。
晃良は箸を手に取り、もう一度、テーブル上に置かれた品々を見渡す。
晴は魚のムニエルを作り。
義妹の夏菜の方は、唐揚げを作っていたようだ。
晃良は、双方の席に座る妹に囲まれたまま、休日の朝食をとることになったのである。
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