第16話 北の魔女とエルフ

 アリサと一日遊んだあと、イースと一緒に宿に戻ったあたしは、さっそくトポリ村の『北の魔女』宛てに手紙を書いた。

 内容は近々遊びに行くよ程度の簡単なもので、書き上げた手紙は宿のオッチャンに投函を依頼した。

「リズ、明日も早いですよ。アラミ平原で一気に片付けましょう」

 自分のベッドに座り、イースが笑った。

「また早いのか。まあ、慣れているからいいけどね」

 あたしは苦笑した。

 アラミ平原は、このフロッグの街がある場所だ。

 薬草の宝庫として知られていて、街から十分も歩けば様々な薬草の群生地が点在している。

「依頼期限は様々でしたが、酒場のオヤジさんに三日に統一してもらいました。張り切っていきましょう」

 イースが笑った。

「へいへい。また地味な仕事だねぇ。まあ、冒険者の仕事なんて、大体こんなもんだけど」

 あたしは笑みを浮かべた。

 冒険者なら誰でも燃えるであろう、魔物退治や盗賊団のアジトを壊滅させるなどといった派手な依頼は、そうそうあるものではない。

 金に困ったら迷宮に行けという言葉もあるのだが、これはハイリスクハイリターンだ。

 上手くいけばお宝が手に入ったり、名声を得たりとオイシイ思いを享受できるが、下手すれば、命を落とすか赤字に終わる。

 あたしたちも、少し前までは北部地域各地の遺跡や迷宮を荒らし回っていたが、掛かった費用と収入を比べると、まあトントンという感じなので、依頼でもない限り行かなくなった。

「さて、休みましょう。弱いとはいえ魔物も出ますし、今のうちに稼ごうと焦る盗賊たちもいます。寝不足で後れを取ったら、話しになりません」

 イースは小さく笑い、ベッドに寝転がった。

「そうだね。少し早いけど寝ようか」

 あたしもベッドの上に転がり、布団を掛けて目を閉じた。


 翌早朝、まだ朝靄の残る中、あたしたちは宿を発った。

 まだ比較的静かな街は、道路を通る車両もせいぜい大形トラックくらいで人混みもなく、目的とする北門までは三十分くらいで着いた。

「あれ、身分証…。あったあった」

 あたしはパスケースに入れてある、プラスチック製のカードを上着のポケットから取り出した。

 これを北門の守衛に見せて、イースと一緒に街の外に出た。

 白い靄が漂うアラミ平原は、どことなく幻想的であたしは好きだった。

「さて、イース。どこから攻める?」

 あたしは隣のイースに問いかけた。

「そうですね。移動しましょう」

 あたしは先を行くイースに続いて、平原を歩いた。

「アサギリ草です。十株と書いてあるので、採りすぎないようにしましょう」

 雑草に混じって、ノコギリのような形をした葉を持つアサギリ草はすぐに見つかった。

 あたしとイースは雑に扱う事なく、丁寧に穴を掘って一株ずつ採取し、持参した革袋に収めた。

「はい、次はセイタカ草です。これは、木の幹に生えるので、採取が大変なんですよね」

 またしばらく移動し、イースが太い木の前で足を止めた。

「ありました。高さは三メートルといったところですね」

 イースとあたしは浮遊の魔法を使って、薬草が生えた枝に向かい、まるでコケのように張り付いているセイタカ草を、ナイフを使って削り取った。

「はい、次です。どんどんいきますよ」

 イースが笑った。


 二時間ほどかけて、依頼のあった薬草は全て採取が終わった。

「思ったより早く片付いたね。一応、朝メシの用意はしてきたけど、ここで食っちゃう?」  あたしはイースに問いかけた。

「はい、宿でもいいですが、朝の平原で食べるのも悪くないです。準備しましょう」

 イースの答えにあたしは頷き、空間ポケットから折り畳み式のテーブルを取り出した。

 その間に、イースがたき火をおこして暖が取れるようにして、ほぼ薄れかけている朝靄の中、あたしたちは朝メシに取りかかった。

 今日のメニューは、宿の厨房を借りて作った肉料理を中心にした弁当だ。

 イースの料理に比べたら、あたしの料理は味に劣るが、量だけは自慢だ。

「まだほんのり温かいですね。美味しいです」

 弁当箱から料理を摘まみつつ、イースが笑った。

「イースが作った方が美味しいけどね。今日は、あたしが当番だから」

 あたしは笑った。

「いえいえ、十分美味しいですよ。ところで…」

 イースがなにか言いかけた時、あたしは微かな気配を感じて椅子から立ち上がった。

 そっと拳銃を抜き、あたしは靄で視界が悪い中、気配の出所を探った。

「そこで止まって。誰だか知らないけど、今から行くから」

 あたしは拳銃のスライドを引き、いつでも撃てるようにしてゆっくり靄の中を進んだ。

 やや後ろで、イースがナイフを抜いてバックアップ態勢に入ったが、敵意は感じない。

 しかし、油断は禁物だ。

「魔物ではないね。盗賊だったら、とっくに襲いかかってきている。なんだろ?」

 あたしはやや後ろにいるイースに問いかけた。

「分かりませんが、気配は一つ…いえ、一人ですね」

 イースが静かに答えた。

 気配の元に近づくにつれ、靄の向こうにボロボロの服を着た少女が見えてきた。

 それだけでも場違いだが、耳が尖っている事から考えてエルフだ。人間社会と関わりがなく、こんな場所で出会う事などほぼない。

「リズ、首輪が付いています。あれは、隷属の魔法が掛かっていますね…」

 イースが冷たく呟き、ナイフをそっと構えた。

「あの、人間に捕まってしまったんです。それで、いきなり馬車から放り出されてしまって…」

 蚊の鳴くような声で、少女がため息を吐いた。

「エルフ狩りか。エンジン音がうるさいから馬車を使うしね」

 あたしは拳銃を引っ込め、ため息を吐いた。

 交流がないので、エルフを珍獣と見なすものは少なからずいる。

 そういう金持ち相手に、エルフを狩る連中は後を絶たない。

「イース、よろしく。あたしじゃ、あんたの足手まといだから」

 あたしはイースの肩を叩いた。

「はい、行ってきます。探査魔法で馬車の位置は把握しています」

 イースがナイフで少女の首輪を切り落とし、そのまま高速飛行の魔法で飛んでいった。

「あ、あの…」

 困った様子で、少女が声を紡ぎ出した。

「ああ、あのお姉さんはあたしの相棒でね。こういう時に黙っていられないんだよ。奴隷制反対だし、子供や女性の人身売買なんて聞いたら、悪いオッサンたちを皆殺しにしないと収まらないから。それより、お腹減ってない。ご飯あるよ」

 あたしは笑みを浮かべた。


 あたしは少女を椅子に座らせ、弁当を勧めた。

 すると、腹が減っていたようで、少女はガツガツと料理を食い始めた。

「さて、あたしはやる事やるか」

 あたしは腰のベルトに装着してあるポケットから、無線機を取り出した。

「アリサ、聞いてる?」

『聞いてるよ。また、なんかトラブル?』

 アリサが無線の向こうで笑った。

「うん、トラブルと言えばトラブル。二号案件、対象はエルフの少女。回収して」

 あたしが返すと、アリサが小さく息を吐く音が聞こえた。

『またか、今からいくよ。どこ?』

「フロッグの北門から出てすぐ。マップ上ではD-15ポイント付近。たき火を焚いてるからすぐ分かるはずだよ」

『なんだ、近いね。今から迎えを寄越すよ』

 これで交信を終え、あたしは無線機を元に戻した。

「今すぐ迎えがくるよ。抵抗があるかもしれないけど、しばらくは人間が保護するから。安全だよ」

 あたしは笑みを浮かべた。

「はい、ありがとうございます。私の里は焼かれてしまいました。今後については、ゆっくり考えたいと思います」

 少女が小さく頭を下げた。

「そっか、分かった。今からくるのは、街の警備隊員だよ。友人の部下だし、安心してね」

 あたしは笑みを浮かべた。

「はい、大丈夫です。あの、お名前を伺ってよろしいですか?」

 少女が小さな笑みを浮かべた。

「あっ、名乗ってなかったね。あたしはリズで、さっきぶっ飛んでいっちゃったのがイースだよ」

 あたしは軽く自己紹介した。

「リズさんですね。今回はありがとうございました。私はリリーといいます」

 少女が名乗った。

「リリーね。分かった。さて、そろそろくるはずなんだけどな」

 あたしは街の方をみた。

 しばらくすると、なにやら派手な重低音を響かせながら、ガタガタと走行音を響かせながら、巨大な物体が接近してきた。

「…あのバカ。主力戦車を送りつけてきやがった」

 あたしはため息を吐いた。

『リズ、ごめんね。空いてる車両がこれしかなくて。早朝のパトロールで、全員出払っているんだよ』

 無線機から笑い声が聞こえてきた。

「そりゃ車両だけどさ。こんなのどうするの!」

 あたしは思わず怒鳴った。

『大丈夫、砲塔の上で私が抱っこするから』

 アリサの笑い声が聞こえた。

「なんだ、同行か。暇だねぇ」

 あたしは笑った。

『暇じゃないわ。なんとか時間を作ってきたんだよ』

 アリサの怒鳴り声が聞こえた。

 そのうち、朝靄をかき分けるようにして、巨大な戦車のボディが見えてきて、念のためか信号弾を上げた。

 一応ルールなので、あたしも信号弾を打ち上げて挨拶を返し、相手の到着を待った。

 ほどなく派手なエンジン音をまき散らしながらやってきた戦車の砲塔ハッチが開き、アリサが器用に車体を伝って降りてきた。

「ほい、お待たせ。その子だね」

 アリサがリリーに笑顔を向けた。

「うん、リリーっていう名前だよ。よろしく」

 あたしはリリーの頭を撫でた。

「そうか、リリーだね。よろしく」

 アリサが差し出した右手をリリーが握り返した。

「よし、行こうか。リズ、あとは任せろ」

 アリサがリリーを背負って砲塔に上り、開けたままだった砲塔ハッチの縁に座った。

 そのままリリーを膝の上に座らせて抱きかかえるようにすると、戦車は超信地旋回をしてそのまま街に向かっていった。

「ったく、パトロール隊の虎の子を引っ張り出しちゃって。怒られても知らんぞ」

 あたしは苦笑した。

 この北部地域は軍の駐屯地が少ないので、万一に備えてパトロール隊にも主力戦車が配備されている。

 最新鋭ではないが実績のあるモデルで、軍ではこちらの方が信頼されているらしい。

「さて、あとはイースの帰り待ちだね。もう、終わっている頃だけど…」

 あたしは出しっぱなしの屋外テーブルに戻り、残っ料理を食べ始めた。

 それからしばらく、無線機からイースの声が聞こえてきた。

『リズ、片付きました。助けたエルフは、全員で二十二名。リリーという子がいないと、ちょとした騒ぎになっています』

 イースの少し困った声たような声が聞こえた。

「リリーなら、さっきの子だよ。ちょうど、パトロール隊に保護してもらったところ。今はフロッグに向かっている最中だと思うよ」

 あたしはイースに返した。

『分かりました。みなさんに伝えます。ところで、救助したのはいいですが、里が焼かれてしまって帰る場所がないそうです。とりあえず、パトロール隊に保護してもらいましょう』

 イースが小さく笑った。

「分かった。連絡してみるよ」

 あたしは正式なパトロール隊の緊急用チャンネルに切り替え、救援を呼びかけた。

『はい、パトロール。どうしました…ってリズかい。またなんかあったか?』

 ここの管轄はアリサが隊長を務める部隊だ。

 選任の受付がいたはずだが、たまたまかアリサが連絡を受けてしまったようだ。

「うん、さっきの子って実はエルフ狩りにあった被害者なんだけど、イースがその本隊を叩き潰してね。要救助者が二十二名。さっきのリリーと同じ里だよ」

 あたしはアリサに答えた。

『分かった、二十二名ね。場所はイースに聞くよ。問題は戦車だな。二十二両もあったかな』

 アリサが笑った。

「だから、戦車で行くな。トラックかなんかあるでしょ」

 あたしは苦笑した。

『派手でいいじゃん。トラックはあるけど、予備に回した旧型だよ。あんなオンボロでいくなら、戦車の方がまだマシなんだけどな』

 アリサが笑った。

「あのね…。なんで戦車にこだわるの。せめて、乗用の車両で行って。効率が悪い」

 あたしは苦笑した。

『だって、たまに試運転しないと。分かった、拾いにいく』

 アリサが笑った。


 結局、アリサは全配備車両三十両を総動員して、本当に戦車で要救助者の回収にいったらしい。

 返り血を浴びて帰ってきたイースが、苦笑交じりに報告してきた。

「あのバカ…」

 あたしは呆れてしまった。

 あれで結構有能なのだが、バカをはじめると歯止めが利かない。

 まるであたしのようだと、イースがよく失礼な事を言ってくれている。

「戦車が隊列を組んでやってきた時、新手かと思って攻撃魔法を使うところでしたよ。信号弾が上がったので、事なきを得ましたが。まあ、面白かったです」

 イースが笑った。

「面白いって言えば面白いけど…。さて、薬草は揃ったし、メシ食ってとっとと街に帰ろう」

 あたしは笑みを浮かべた。

「はい、そうしましょう」

 イースが笑い、残りの弁当を全て胃袋に収めると、あたしたちはテーブルを片付け、たき火を消して、街方面に向かって歩きはじめた。

 エルフ騒動があったお陰で時刻は完全に朝になり、ほどなく到着した北門の向こうは、普段の朝を迎えていた。

「よし、まずはイースの洗濯だね。返り血だらけだよ」

 すっかり忘れていたので、あたしは門前でイースに『洗浄』の魔法を使った。

 数秒で服まで綺麗になったイースは、ニコニコ笑顔であたしの頭を撫でた。

「はい、よく出来ました」

「あのね…。殴るよ」

 あたしは苦笑した。

 まだ、街が静かな時刻なので、その間にあたしたちは酒場に寄って薬草と引き換えに報酬を受け取り、ついでになにか仕事の依頼がないか確認したが、今はこれといってなかった。

「うん、平和だね」

 あたしは満足して笑みを浮かべた。

「はい、家の片付けやドブさらいくらいですね。これは、初心者のご飯の種に残しておきましょう」

 イースがニコニコした。

 その時、いかにも初心者っぽい、ピカピカの装備に身を固めた、冒険者とすぐ分かる

五人パーティが隣に並んだ。

「なんだ、ロクな依頼がないな」

 多分、パーティのリーダー格と思しき、ピカピカに光る革鎧を着た青年がため息を吐いた。

「はい、薬草採取くらいの依頼はあるかと思ったのですが」

 簡単な防具をつけている程度で、一見すると普通のお姉さん。しかし、その魔力から魔法使いと分かるお姉さんの声に、あたしはちょっとビクッときた。

「さすがに、噂の北の勇者が活動している地域ですね。薬草採取の依頼すらないとは」

 そのお姉さんが唸った。

「路銀が少ない。報酬は安いがないよりはマシだ。この家の片付けを受けよう」

 青年がペリッと掲示板から依頼書を剥がし、ゾロゾロとカウンターに向かっていった。

「イース、薬草採取の依頼を一件くらい残しておいても良かったね」

 あたしは苦笑した。

「なにを言っているんですか。知識がないと、薬草採取は下手な討伐依頼より完遂が困難なんですよ。私たちがやって、正解だったんです」

 イースが笑った。

「そういうもんか。まあ、いいけど。さて、宿に戻ろうか」

 あたしはイースを連れて、酒場を出て宿に向かった。


 宿に戻ると、カウンターの向こうにいたオッチャンが白い封筒を差し出してきた。

「お前さん宛の手紙だよ。速達で届いたから、急ぎなんだろう」

 あたしは礼を言ってから封筒を受け取り、自分たちの部屋に戻った。

「さて、誰からだ…」

 あたしはレターカッターで封を切り、中の手紙を取り出して開いた。

「あっ、北の魔女からだ。畑で作っていた野菜が豊作だから、取りに来られるなら来いって。ちょうど遊びに行くって手紙を送っちゃったばかりで、なんだか入れ違っちゃったみたいだけど、イースが良ければさっそく出かけようか。長距離バスで二時間くらいだよ」

 実は北の魔女とあたしが出会ったのは、イースと出会うより前の話で、彼女は北の魔女を知らない。

 イースもこの機会に知人になっておいて、損はないだろう。

「はい、どんな方なんですか?」

 イースがニコニコした。

「うん、いい人だよ。魔法も凄くて、自分で新しく魔術って体系を作っちゃったくらい聡明だしね。年齢不詳なんだけど、見た目はあたしたちと大差ないよ」

 あたしは笑った。

「なるほど、興味がありますね。今は特に予定がないので、さっそく出かけましょう」

 イースが笑みを浮かべた。

「よし、そうと決まったらさっそく行こう。ローカル路線だから、一本逃すと大変なんだよ」

 あたしが手早く荷物をまとめはじめると、イースも旅行きの準備を始めた。

 荷物といっても、大したものではない。

 手土産を用意している暇がないのはご愛敬で、あたしたちは宿の部屋を飛び出た。


 街の中程にあるフロッグ中央バスステーションには、様々な方面に向かうバスが集中してやってくる。

 大抵は北部地域各所に向かう長距離バスだが、中央地域方面に向かうバスも発着していて、いつも人と車両で大混雑している。

 そんなバスステーションの外れに、北の魔女が住むトポリ村を経由するガルガディアという港町まで向かうバス乗り場があった。

「ここのバス停だよ。あと三十分はこないね。少し遅かったか」

 あたしは苦笑した。

「そうですか。三十分あればなにか作れますよ。料理しましょうか?」

 イースが笑った。

「そういうのは、都会ではやめて…。二時間の旅だし、弁当は要らないけど菓子くらいは買ってこようか」

 あたしが提案すると、イースが空間ポケットから調理器具を取りだし、なにか調理を始めそうな素振りをみせた。

「だから、ダメだって!」

 あたしはイースの頭にゲンコツを落とした。

「イタタ…。冗談ですよ」

 イースが調理器具を片付けた。

「本当かねぇ…。ほら、売店にいくよ」

 あたしはイースを引きずって、ターミナル内にある売店に向かった。

 適当に菓子と飲み物を買い込み、ちょうどよく進物用の菓子の詰め合わせがあったので、それを手土産に買って再びバス停に戻った時には、ちょうどバスがのんびり停車していた。

「あれだよ。乗ろう」

 あたしはイースを連れて、バスの乗降口から乗り込んだ。

 運転手に行き先と二人分の料金を支払い、ガラガラの車内で適当な席に座って、さっそく買い込んだ菓子を広げた。

「これから行くトポリ村は、畑を作っても作物が育たない、人口十数人くらいの寒村だったんだけど、北の魔女が拠点を構えてから変わってね。特に、助手のエレーナ・リキンドっていうお姉さんが、寒冷地でも育つように品種改良したカボチャと、土壌改良の魔法薬を開発してから、カボチャの産地として有名になって人口も増えたんだよ。ちなみに、エレーナは『カボっち』って敬意を込めて呼ばれているから、本名を呼んでも気が付かないかもね」

 あたしは笑った。

「そうですか。そのカボチャは興味がありますね。譲ってもらえるなら、種と土壌改良薬を分けてもらいましょう」

 イースが笑った。

「それをどこで育てるのか気になるけど、なんでも研究だからね。魔法使いの性分だから」

 あたしは笑った。

 そのままイースと雑談を続けていると、運転手がのんびりと出発のアナウンスをして扉が閉まり、バスはゆっくりフロッグ中央バスステーションを離れた。

 バスはゆっくりと街中を走り、北西街道が延びる西門を出ると、あまり手入れが行き届いていない石畳舗装の道路をガタガタと走りはじめた。

「結構揺れますね。乗り物酔いはしませんが、これで二時間は腰にきそうです」

 イースが笑った。

「街道といっても、所詮は田舎道だからね。ここを大型トラックやバスが通るから、舗装が痛む一方なんだよ。まあ、これでも無舗装よりマシ程度でね」

 あたしは笑った。

「そうですか。でも、いい感じの景色になりました。やはり、都会は苦手です」

 イースが笑みを浮かべた。

 実際、外はのどかな草原地帯だ。

 これは、この先ずっと変わらない。

「あたしも都会は苦手だからね。まあ、バス旅を楽しもう」

 あたしは笑った。


 バスに揺られて約二時間。

 見渡す限りのカボチャ畑に埋まるようにして、目的地のトポリ村に到着した。

「ふぅ、着いた。実はここ、あたしの畑もあるんだよ。管理は北の魔女に依頼してるけど」

 あたしが笑うと、イースがニコニコ笑顔になった。

「リズにそういう面もあったんですね。畑仕事とは、おおよそ無縁そうですが」

 イースが感心したように漏らした。

「まあ、嗜む程度にね。イースと組んでからは、一度もきていなかったから、そろそろ一緒に行こうと思って、今日の朝に手紙を送ったんだけど、先に着いちゃったね」

 あたしは笑みを浮かべた。

「そうなんですね。もっと、早く来たかったです」

 イースが笑った。

「うん、なんか機会がなくてね。さて、北の魔女の家はこっちだよ」

 あたしは村の出入り口を通り、活気がある道を歩きはじめた。

 北の魔女の家は、さほど遠くない。

 程なく到着したあたしたちは、カボチャをモチーフにしたドアノッカーを叩いた。

「おや、お客さんとは…。おっ、リズだ。そっちのお友達は?」

 マント以外は、あたしたちと同じような格好をしたお姉さんが笑みを浮かべた。

 この人が北の魔女。外見からは、そうは見えない。

「うん、バディのイースだよ。もっと早く紹介したかったんだけど、中途半端な距離だから、なんか機会がなくてね」

 あたしは苦笑した。

「まあ、フロッグからだと不便だからね。さあ、入りな。茶でも煎れよう」

 北の魔女が笑みを浮かべ、あたしたちは招かれるまま家の中に入った。

「あっ、リズさん。お久しぶりです」

 農作業をしていたようで、作業着を着たカボっちが笑顔で迎えて暮れた。

「うん、カボっち。茶を煎れてくれ。こちらは、リズとコンビのイース君だ」

 北の魔女が笑顔でイースを紹介し、イースが挨拶した。

「初めまして、私は通称カボっちです」

 カボっちが笑い、イースと握手した。

「遠いところお疲れさまでした。少し待って下さい」

 カボっちが椅子を勧めてくれたので、あたしたちは座った。

 北の魔女の家はログハウスで、程よくランプで照らされた室内は落ち着いた空気で、暖炉で薪がはぜる音が心地よかった。

「それで、どうだい。最近の暴れ方は?」

 北の魔女が笑った。

「あんまり暴れてないよ。今朝はエルフ助けしたくらい、平和主義になったから」

 あたしは笑った。

「うん、エルフ助けね。詳しく話してくれ」

 北の魔女が笑みを浮かべた。

「えっと、どこから話すか…」

 あたしは今朝の顛末をなるべく詳しく説明した。

「そうか、人の街に近いところにいたから、珍しいと思ったらエルフ狩りか。いまだにそういう輩がいるんだな。全く」

 北の魔女が苦笑した。

「自称三百才オーバーでしょ。過去はもっと苛烈だったって聞いてるけど、どうなの?」

 あたしは北の魔女に問いかけた。

「自称ではなく事実だ。魔術にはそれだけの力がある。まあ、それはいいとして、エルフ狩りは百年くらい前が一番酷くてな。当時の貴族どもが大金を積んで、エルフ狩りを大々的に推奨してな。それで、エルフと人間の関係が微妙なものになってしまったんだ。百年も経てば人間は忘れてしまうが、長寿命のエルフにとってはつい最近の話しなんだよ。全く、愚かとしかいえん」

 北の魔女が小さくため息を吐いた。

「そういう歴史があったんだね。なんとか、関係を修復したいとは思うけど、難しいね」

 あたし自身も経験があるが、うっかりエルフのテリトリーに入り込んでしまうと、速攻で捕まってしまう。

 変な抵抗をしなければ数日で解放してもらえるが、そこそこ痛い目には遭ってしまう。

 安全な冒険のためにも、エルフと人間との確執はなんとかしたいものだ。

「まあ、私も色々やっているがな。実際、この近辺のエルフとは仲良くやっているぞ」

 北の魔女が笑った。

「へぇ、やるねぇ」

 私は口笛を吹いた。

 先ほどからイースがなにも言わないが、ニコニコしながら聞いているので、問題はなさそうだ。

「お待たせしました。お茶が入りました」

 カボっちがトレーに乗せたカップを、テーブルに次々と置いていった。

 ちなみに、お茶請けはカボチャチップス。さすがだ。

「ところで、その保護したエルフはどうするのだ。いつまでも、パトロール隊の世話になるわけにはいかないだろう」

 北の魔女が笑みを浮かべた。

「うん、全員で二十三人いるんだけど、これがまた問題でね。里が焼かれちゃったらしくて、帰る場所がないんだよ。どこかに移住出来ればいいんだけど、当てが全くないんだよね」

 あたしはため息を吐いた。

「そうか。ならば、私が近くの里を治める長に相談してやろう。あそこは族単位の思想に対して寛容だから、住民として受け入れてくれるかもしれん」

 北の魔女が笑った。

 エルフは同じ種族でも、里ごとになになに族というように細かく分かれていて、時には異なる里同士でいさかいが起こる事がある。

 そんなわけで、異なる里の救助したエルフたちを受け入れてくれる可能性は、通常なら限りなくゼロに近い。

 いっそ、どの族も管理していない空き地を見つけ、新たに里を作り直した方が早いと考えていたのだが、既存の里に移住出来るならそれに越した事はない。

「それなら、全員ここに呼ぼうか?」

 あたしは北の魔女に問いかけた。

「そうだな。森のエルフにとって、フロッグのような都会よりマシだろう。集合住宅だが空室もあるし、ひとまずここに住んでもらおうか」

 北の魔女が頷いた。

「分かった、ちょっと待って」

 あたしは無線機を手にして、アリサとのプライベートチャンネルに設定した。

「アリサ、聞こえる?」

『あれ、リズだ。宿にもいないから、どこにいったかと思っていたよ』

 アリスが答えた。

「今はトポリ村だよ。ここに住んでいる北の魔女とは友人でさ。今はちょうど今朝のエルフ問題をどうするか、一緒に考えていたところ」

『トポリ村って、また田舎だねぇ。私が宿までいったのは、まさにそのエルフ問題なんだよ。ずっと預かっているわけにはいかないから、どうしたらいいかなって思って』

 まさに、同じ事をアリサが考えていた。

「それなんだけど、北の魔女と相談して、まずはトポリ村に移住してもらおうって話しになったんだよ。強制はしないけど、みんなと相談してみて」

『分かった。相談してみる。また連絡するよ』

 アリサとの交信を終え、あたしは軽く息を吐いた。

「まだ分からないけど、一応ここに移動してもらうように伝えた。今のはパトロールの隊長だよ」

 あたしは笑みを浮かべた。

「うん、分かった。私はとりあえずの住まいを確保しておく。少しは落ち着くだろう。ここに到着してからは、私に任せてくれ」

 北の魔女が笑みを浮かべた。

「よし、この話しはここまでにして、畑の様子を見てくるといい。イース君だったね。君もリズについて行くといい。案内はカボっちがする」

 北の魔女が笑うと、脇に控えていたカボっちが笑みを浮かべた。

「では、ご案内します。その格好では汚れてしまうので、作業着に着替えて下さい。長靴も各種サイズ揃えてあります」

 カボっちが笑った。


 あたしとイースは作業着に着替え、一気に農家の姿に変身した。

 そのままカボっちの後に続き、まずは彼女の畑に向かった。

 一面に広がるカボチャは壮観で、畝の間をゆっくり歩くカボっちは、その一つ一つを丁寧に触って見ていった。

「リズ、凄いですね。私の地元は穀倉地帯なので、麦畑は見慣れているのですが、カボチャ畑というのは初めてです」

 イースがクスリと笑った。

「うん、あたしは山間だから、そもそもこんなに広大な畑っていうのが新鮮だったんだよね。今は見慣れたけど」

 あたしは笑った。

「ここで栽培しているカボチャは、甘みが強くて美味しいですよ。あとで、カボチャ料理をご馳走します」

 カボっちが笑った。

「そういや、あたしの畑はどうかな。任せっきりだったけど」

 あたしはカボっちに問いかけた。

「はい、問題ありません。カボチャの他にナスやキュウリ、トマトもすくすく育っていますよ」

 カボっちが笑った。

 そう、カボっちが品種改良したのはカボチャだけではない。

 本来、こんな寒い地域に育つはずがない、キュウリなどの夏野菜まで栽培可能にしてしまったのだ。

「それなら良かった。あとで、味見しないと」

 あたしは笑った。

「はい、分かりました。すぐにご案内します。実は師匠の畑もあるのですが、面倒だと放りっぱなしなので、私が勝手にカボチャを植えてしまいました」

 カボっちが笑った。

「あー、北の魔女は興味なさそうだからね。しっかし、よくこんなに世話できるね。一人でやってるの?」

 私はカボっちに問いかけた。

「いえいえ、村の人たちが手伝って下さるんです。今日もどこかにいるはずですよ」

 カボっちの言葉にあたしは周囲を見まわしたが、広すぎてどこにいるのか分からなかった。

「これは凄いね。全部自家用じゃないよね?」

 これでうんと言われたらビックリだが、カボっちは笑った。

「まさか、ほぼ出荷用ですよ。さすがに、こんなに食べきれませんから」

 …まあ、当たり前だった。

「さて、次はリズさんの畑に行きましょう。ここも、村の人たちが手伝ってくれています」

 カボっちのあとに続いて行くと、わざわざロープで囲ってまで『リズ』と書かれた札が下げられた畑にきた。

「ここもメインはカボチャですが、ナスやキュウリなどもあります。リズさんの希望通りに育てていますよ」

 カボっちが笑みを浮かべた。

「なるほど、ここがリズの畑ですか。また、やたらと広大ですね」

 イースが感動したような声を上げた。

 先ほどのカボチャ畑ほどではないが、それでもかなり広い畑には、カボチャの他に色々な野菜が栽培されていた。

「ここはあたしの畑だから、試食も自由だよ。トマトでも食う?」

 あたしは笑い、ロープをまたいで畑に入り、真っ赤に熟れたトマトを三つ、作業着のポケットにしまっておいたハサミで茎を切って収穫し、それを持って待っていた二人のところに戻った。

「あたしが世話しているわけじゃないけど、はいどうぞ」

 あたしはトマトをカボっちとイースに渡し、自分も囓った。

 程よい酸味が美味しく、とても寒冷地で育ったとは思えないその味は、フロッグの市場で売っているそれより美味かった。

「これが、リズ畑の味ですか。美味しいですね」

 イースが笑った。

「はい、上手く育っています。もう少し熟れると、さらに甘みが出てきて美味しくなりますよ」

 カボっちが満足そうに笑った。

「そうだね、ちょっとだけ早いか。ほったらかしでごめんね」

 あたしは苦笑した。

「いえいえ、楽しくて苦になりません。あっ、これでもちゃんと師匠から魔術の手ほどきを受けているんですよ」

 カボっちが笑った。


 畑の見学を終えたあたしたちは、再び北の魔女の家に戻った。

「おっ、どうだった。楽しかっただろう」

 北の魔女が笑った。

「相変わらずというか、前にも増してカボチャの村になったね。特産品がある事は大事だよ」

 あたしは笑った。

「うん、こういう小さな村には重要だ。ところで、手紙に書いた通り、野菜が豊作でお裾分けしたい。運べるか?」

 北の魔女があたしに問いかけると、カボっちが巨大な袋を抱えてきた。

「こりゃ凄いね。大丈夫、運べるよ。ここに入れて」

 あたしは空間ポケットを開き、カボっちがその空間に袋を入れた。

「ふむ、空間操作系の魔法か。初歩的だが簡単に扱えていい。リズの魔力なら、かなりの物が入るはずだ」

 北の魔女が笑った。

「うん、試しに十トントラックを十台入れてみた事があるけど、全然余裕だったよ」

 あたしは笑った。

 まあ、ほんの出来心というか、魔法使いとしての探究心がなせる実験だ。

 運送会社に協力を得てやったが、取り出す方法が分からなくなり、そのままパクってしまったという経緯がある。

「だろうな。私の見立てでは、例え城でも余裕だろう。よし、これで用事は終わった。せっかくきたのだ、ゆっくりしていってくれ。そのうち、カボっちが食事を用意してくれるはずだ。今日は客人がいるので、気合いが入っていたぞ」

 北の魔女が笑った。

「いわれなくても、のんびりさせてもらうよ。都会疲れしちゃってね」

 あたしは大きく伸びをした。

「ありがとうございます。私もゆっくりさせていただきますね」

 イースが笑った。

 椅子に座って雑談していると、無線機からアリサの声が聞こえてきた。

『リズ、聞いてる? エルフの皆さんと話したよ。行くって』

 アリサが笑った。

「分かった。早くおいで」

 私はアリサに返した。

『うん、今から出るから、二時間も掛からないよ。今度はトラックを使うから安心して』

 アリサが爆笑した。

「当たり前じゃ。戦車の大群なんかで乗り付けられたら、村の人がビビる!」

 あたしは苦笑した。

「うん、来るのか。では、村の人に頼んで準備してもらおう」

 北の魔女はいえから出ていき、すぐに戻ってきた。

「一時間もあれば掃除が終わるだろう。必要な家具は作り付けだし、不便はないと思う」 北の魔女が笑みを浮かべた。

「待った。人間式の設備や家具なんて、使い方を教えないと分からないと思うけど」

 あたしがツッコミを入れると、北の魔女はしてやったりという感じで笑った。

「この村は近くの里からエルフが頻繁に訪れるのだ。すでに、先生役を頼んである。安心して欲しい」

 北の魔女が笑みを浮かべた。

「それならいいや。さて、アリサが来るまでゆったり過ごそう。別に予定もないしね」

 これこそが冒険者。休みたかったら勝手に休む。

 まあ、その代わり定職ではないので収入は不安定だし、生命保険にも入れないので体を壊したりしても保証はないが…。

「そうだな、私も基本暇人だ。カボっちに魔術を教える以外、特に仕事と呼べる仕事はない。どうやって生活しているかは、企業秘密だがな」

 北の魔女が笑った。

「それ、ずっと気になっていたんだけど、内緒ならいいや」

 あたしは笑った。

 あとは、特に話題もなくダラダラと三人で雑談していると、無線機からアリサの声が聞こえてきた。

『あと五分くらいで着くよ。前を走るバスがトロくて時間が掛かっちゃった。噂には聞いていたけど、凄まじい量のカボチャだね』

 アリサが笑った。

「よし、来たか。村の出入り口まで迎えにいくよ」

 私が椅子から立ち上がると、北の魔女とイースも立ち上がった。

「私も行く。挨拶くらいはしておかないとな」

 北の魔女が笑った。

「私も手伝えることがあれば。二十三人となると、かなり大変でしょうから」

 イースが笑みを浮かべた。

 こうして三人で家を出て村の出入り口に着くと、街道を走ってくる二台の車列が見えた。

 あたしが信号弾を二発上げると、向こうからは一発返ってきた。

「無事にきたよ。準備しよう」

 あたしは小さく息を吐いた。

 準備といってもやる事はなく、気合いを入れる必要もないのだが、リリー以外は知らないエルフだ。

 私が知らないエルフはイースが知っているだろうが、それでも少しだけ警戒を解けないのは、やはりエルフが怖いからだろう。

「あとちょっと、もう着くね。なんか、緊張するな」

 あたしは苦笑した。

「うん、それもエルフとの確執のせいだな。大丈夫だ、連中は怖くない」

 北の魔女が笑った。

 程なく軽装甲車に誘導される形でトラックが到着し、先に荷台からパトロール隊の隊員が二名降り立ち、あとに続くエルフの皆さんが降りる手助けを始めた。

 同時に軽装甲車の扉が開き、アリサが降りてきて北の魔女に敬礼した。

「街道パトロール隊のアリサです。お噂は兼々…」

「いや、かしこまらなくていい。ところで、エルフたちに怪我や病気はないか?」

 北の魔女はアリサに問いかけた。

「はい、軽症者数名はいましたが、回復魔法で治療済みです。問題ありません」

 アリサが答えた。

「分かった。あとはこちらで引き取ろう。お疲れさま」

 北の魔女が笑った。

 その間にエルフたちは全員トラックから降り、ゆっくり村の中に入ってきた。

「アリサ、お疲れ。朝から大変だったねぇ」

 あたしは笑った。

「全くだよ。じゃあ、他の仕事があるから帰るね。ごゆっくり~」

 アリサが笑って軽装甲車に乗って扉を閉め、出入り口のスペースを利用して車を転回させると、トラックを引き連れてフロッグ方面に向かって走っていった。

「よし、私が仕切ろう。みな疲れているだろう。仮住まいを用意させてもらった。さっそく、村の者に案内させる。指示に従ってくれ」

 北の魔女が声を張り上げ、近寄ってきた村人やエルフたちが、全員を村の中へと誘導していった。

「これでいい。あとは、全て頼んである。なんだかんだで、もう夕方だ。今日は私の家に泊まっていけ。寝室はあるし、なによりカボっちが夕食を用意して楽しみにしている」

 北の魔女が笑った。

 こうして、あたしたちは北の魔女の家に戻り、ここで一泊する事になったのだった。

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