天使の梯子をのぼるまで

なのはな。

プロローグ

「自分の人生を終える前、もし最後になんでも願いが叶うならあなたは何をしたい?」

誰もが1回は考えたことはあるだろうこの質問。行きたい場所や物に限らず食べ物だとか音楽とか人によっては様々で、僕も何度か考えたことがある。でもそういう時って自分の死なんてそんな身近ではなくて、ふと考えたくなる質問だと思っていた。


 だが最近なんとなく、自分の死が近いんだなっていうのが分かる瞬間がたまにある。

別に自分が病に侵されていて、その病が手の施しようがないだとか、未だに治す方法が見つかってないからとかそういう事ではなくて、なんとなく。

「ああ、もうすぐ迎えが来るんだろうな」って雨の日の誰かを待って誰かが迎えに来る、ぼんやりとしたあの感じ。

 僕はそんな時にふと考えたくなるあの質問のことを思い出した。

「自分の人生を終える前、最後にひとつ願いが叶うなら何をしたい?」


これは、僕に起こった命の炎が消える前の小さな小さな物語である。

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