第3話 後半戦の激闘

後半戦の開始の笛が鳴り響き、スタジアムの興奮は再び最高潮に達した。ブラジルのリカルド・サントスがボールを持ち、攻撃の狼煙を上げた。彼は前半の激しい攻防から一層の闘志を燃やしていた。


「来るぞ…!」


若葉源蔵はゴール前で構え、リカルドの動きを鋭く見つめた。リカルドは巧みなドリブルでディフェンダーたちを翻弄し、シュート体勢に入った。その瞬間、源蔵は全神経を集中させた。


「ここだ…!」


リカルドの放ったシュートは強烈で、ボールは高速でゴールに向かって飛んできた。しかし、源蔵は見事な反応で飛び込み、その手でボールを弾き返した。


「バシンッ!」


観客席からは歓声が上がり、源蔵のセーブに日本のサポーターたちは興奮の声を上げた。リカルドは悔しそうに拳を握りしめたが、すぐに次の攻撃に転じた。


ブラジルの猛攻は続き、次々とシュートが放たれる。源蔵はその度に驚異的な反射神経と冷静な判断でシュートを防ぎ続けた。


「ドンッ!バシンッ!ズバッ!」


日本も負けじと反撃に転じる。坂本光がボールを受け取り、前線へと駆け上がる。彼は相手ディフェンスを巧みにかわし、ゴール前でチャンスを作り出す。


「行け、光!」


源蔵は声を張り上げた。坂本のシュートがゴールを狙うが、ブラジルのゴールキーパー、ホセ・アルベルトが見事にこれを防ぐ。ボールは再びフィールドに戻り、激しい攻防が続く。


試合時間が進むにつれ、選手たちの疲労は増していった。しかし、源蔵の目にはまだ揺るぎない決意があった。彼は全力でゴールを守り続け、チャンスが来れば自ら前線に駆け上がる準備をしていた。


後半も中盤に差し掛かった時、日本は絶好のチャンスを迎えた。相手のミスを突き、ボールが源蔵の足元に転がってきた。


「今だ!」


源蔵は瞬時に判断し、ボールを持って前線へと駆け上がった。観客はその意外な動きに驚きの声を上げたが、すぐに熱狂的な歓声に変わった。


「源蔵が上がってきた!」


源蔵はドリブルで相手ディフェンダーをかわし、ゴール前に迫った。ブラジルのディフェンダーたちが彼に殺到するが、彼の動きは俊敏で、シュート体勢に入る。


「ここで決める…!」


源蔵が放ったシュートは力強く、まっすぐにゴールネットを揺らした。


「ゴーーーーール!」


スタジアム全体が歓声と興奮に包まれた。日本が1-0でリードを奪い、源蔵はチームメイトたちに囲まれて喜びを分かち合った。


「やったな、源蔵!」坂本光が抱きつく。

「まだ終わってない。最後まで気を抜くなよ。」源蔵は笑顔で応じた。


試合は再び激しい攻防に戻った。ブラジルは失点に焦りを感じ、さらに攻撃を強めてきた。リカルド・サントスは何度もシュートを試みるが、その度に源蔵のセーブに阻まれた。


「これで終わりじゃない…!」


リカルドの目には、決して諦めない闘志が燃えていた。彼は最後の力を振り絞り、再びゴールを狙う。源蔵もまた、その決意を全身にみなぎらせ、最後のセーブに臨んだ。


「来い、リカルド…!」


試合終了の笛が近づく中、最後のシュートが放たれた。そのボールはまるで一筋の光のようにゴールへ向かうが、源蔵の手がそれを弾き飛ばした。


「バシュンッ!」


試合終了の笛が鳴り響く。日本が1-0で勝利を収め、スタジアムは歓声と祝福の声で満ち溢れた。若葉源蔵は地面に倒れ込み、勝利の喜びを全身で感じた。


「やった…!」


源蔵はチームメイトたちに囲まれ、歓喜の中で彼らと共に喜びを分かち合った。彼の目には涙が浮かんでいたが、その表情は満足感と誇りに満ちていた。

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