第2話 ハーフタイムの静寂

前半戦が終わり、スコアは0-0のままだった。両チームともに激しい攻防を繰り広げ、疲労が選手たちの顔に浮かんでいた。選手たちはゆっくりとロッカールームに引き上げ、休息と次の戦略を練るための時間を迎えた。


若葉源蔵は汗で濡れたユニフォームを絞りながら、深呼吸をして心を落ち着かせた。彼の周りにはチームメイトたちが集まり、監督の指示を待っていた。


「皆、よくやっている。リカルドの猛攻を防ぎ続けた源蔵のセーブが大きかった。」監督は源蔵を見つめながら言った。「だが、後半戦はさらに厳しくなるだろう。相手も必死だ。」


源蔵は力強く頷いた。「監督、後半も全力で守り抜きます。そして、チャンスがあればゴールも狙います。」


坂本光も口を開いた。「そうだ、源蔵。君が前に出たときは、俺たちが守備をしっかり固める。君の攻撃力を信じている。」


ロッカールームの空気は緊張感と同時に、チームの結束力で満ちていた。選手たちはお互いに励まし合い、後半戦に向けて気持ちを高めていた。


「リカルドは確かに強敵だが、俺たちのチームワークで乗り越えよう。」監督は全員を見渡しながら続けた。「坂本、君のスピードと技術で相手のディフェンスをかき回してくれ。源蔵、君の守備と攻撃の二刀流で相手を驚かせてやれ。」


休息を取りつつ、選手たちは飲み物を手に取り、身体をほぐしていた。源蔵は自分のグローブを見つめ、その決意を新たにした。


「これが俺の使命だ…ゴールを守り、ゴールを決める。」


その瞬間、源蔵の心には一つの光景が浮かんだ。それは幼い頃に憧れたサッカーの英雄たちの姿だった。彼らのように、自分もこの場で歴史を作りたいと強く願った。


坂本光が再び源蔵に話しかけた。「源蔵、君のセーブが俺たちに勇気を与えてくれる。後半も頼むぞ。」


「任せてくれ、光。俺たちの全力を見せつけよう。」


ハーフタイムの時間はあっという間に過ぎ、選手たちは再びフィールドに戻る準備を整えた。源蔵はグローブをしっかりと装着し、フィールドへと向かう。


スタジアムに戻ると、観客の熱気が再び彼らを包み込んだ。ブラジルのサポーターも、日本のサポーターも、それぞれのチームに声援を送り続けていた。


「さあ、後半戦だ。」


若葉源蔵は自らを鼓舞し、フィールドに立った。後半戦はさらに厳しい戦いが待っている。しかし、彼は全てを懸けて戦う決意をしていた。

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