家出ショタ魔王が本当の意味で世界を統べるまで〜俺の目的はただ一つ。魔族と人間の争いを止める事だ!でも俺の周りにはアホしかいないし、このままスローライフってのも悪くない……ってさせるかぁ!!

青 王 (あおきんぐ)

第0話 プロローグ

0話 プロローグ


 俺は女神様に『魔族と人間族の争いを止めて欲しい』と言われ、とある事情により魔王に転生した…………のだが。


 

「あんな奴らなんてもう知るか……! 馬鹿野郎がああーーー!!!」

 

 

 ――俺は家出していた。

 魔王城を飛び出して自らの能力で空を飛んでいた。

そして号泣していた。

中身は四〇歳なのにめちゃくちゃ泣いていた。

そういえば女神様が転生したら身体だけでなく精神までもが幼児化するって言ってたっけ。


 

 享年四〇歳で死んだ俺が魔王に転生して早十年。

 まさかまさかの号泣しながら目的を達成する事も無く、早々に家出をする事になりました。

 

 それ程までに『魔族達』はな奴らだった。

 平たく言うならば、魔王であるこの俺の言う事を全くという事だ。



 

 ◇



 ――――数分前



 俺は魔王様お披露目会と称した場にいた。

 そこには有象無象の魔族達と五芒星と呼ばれる五人の幹部がいて、俺はそこで人間族との争いを辞めるよう皆に訴えていた。



 

「貴様ら! 人間族との争いを直ちに終わらせよ!」


「はっ! 承知致しました!」


 俺がそう言うと五芒星の一人の女が俺の言葉に返答した。

 それに呼応するかの如く、周りの魔族達の怒号が城内をこだまする。


 ――あれ? これちゃんと伝わってるか……?

 もう一度、次は言い回しを変えて……。

 

 

「これ以上、無駄な血を流すのは辞めろ。俺は貴様ら民達が傷付くのをもう見たくは無いのだ」


「なんと慈悲深い……! 我々魔族一同、これからは決して傷を負わぬよう努力して参ります!」


 ――この女、盛大な勘違いをしているな?

 何やら涙を流して感動しているようだが?

 全くもって俺の意図が伝わっていない。

 それなら……。


「争いが続けばやがて食料や武器、金が底を尽きる。このままではまずいとは思わんか?」


「おっしゃる通りでございます。では直ちに人間族の領土から金品や食料を奪って参ります」


 ――違う違う、そうじゃ、そうじゃない。

 頭の中にそんな曲が鳴り響く。

 もう回りくどい言い方するのはやめにしよう……。

 

「俺は、もう人間族と争うなと言っているのだ!!」


「なるほど……」


 ――お!? ようやっと理解してくれたか?

 まったく……頭の固いヤツめ。


 すると女は顔を上げやる気に満ち溢れた表情で拳を上に掲げた。


「魔王様のみこころのままに……。人間族に争う暇もない程に! 一瞬で! 一方的に! 蹂躙せよ…………!」


「「「「「うぉおぉお!!!!」」」」」


 そして俺の真意とはかけ離れた言葉を叫んだ。

 その言葉の後に他の魔族達は、怒号のような雄叫びを上げた。


 

 ――あぁ、もう……!!

 何でわからないんだ、このバカどもは!?


「貴様……こんなに俺が親切丁寧に優しーく言葉を尽くしてやったと言うのに……」


「はっ! 魔王様の有難いお言葉、全て我々配下の心にしっかりと届いております!」


「届いてねーよ! 馬鹿共がぁ……! ――――【浮遊】!!」


 俺はそう叫ぶと自身の能力でフワッと宙に舞い上がった。


 

 ――こんな馬鹿共にはもう何を言っても無駄だ……。

 ここまで言う事を聞かないとは……。

 くそっ! もう少し上手くやれると思ったのに……!!


「俺の意に反した事……万死に値するからな!! 後悔してももう遅いからな! ――――【破滅の業火】!!!!」


 俺は子供の様にそう叫ぶと、手のひらを上に向け天井を爆発にも似たとんでもない火力で一気に破壊した。


「ま、魔王様!? 一体何を……!?」


「貴様らが俺の言う事を聞かないから……俺は家出する……! お前らなんかもう知らん!! 好きにしろ!! ばーーか!!」


 そう言い残し俺は穴が開いた天井から魔王城を飛び出した。


「お、お待ちください……! 魔王様あああー…………!!!!!」



「魔王様――――――」



 ◇

 


 ――――そして現在

 


「うっうぅぅっ……! 何で誰も俺の言う事を聞かないんだ……! 俺は魔王じゃなかったのか……? クソ馬鹿共めぇ……!」


 俺は号泣しながら空を飛び、言う事を聞かない配下達に暴言を吐き捨てていた。


 ――アイツら俺の言う事全く聞かなかったし、このままじゃ勇者パーティとの戦闘も避けられないだろう。

 勢いで魔王城から家出しちゃったし……。

 

 魔族達の説得は出来なかったから次は人間族の方から争いを止める方向で考えていくか?

 でもどうすれば……。

 上手く人間族の方に潜り込めればいいんだけどな……。


「――――まぁなるようになるか……!」


 何ともまぁお気楽である。

 こうして俺の気ままにのんびり異世界ライフが幕を開け――――なかった。


 ◇

 

 

「僕? 大丈夫かい?」


 なぜなら家出した俺(見た目は十歳の子供)を拾ったのが……まさかの勇者だったからだ。

 



☆☆☆☆☆★★★★★


 数ある作品の中からこの作品を選んで、プロローグを最後まで読んで頂きありがとうございます!


 今後も読み続けてもいいかなと思って貰えたら是非↓↓↓のように、☆評価を頂けると作者のモチベーションがぐぐーんと上がり、大変励みになります!


 読めるかな   ☆

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