素直じゃない

「なにぃ〜!? もうあのボロ小屋にいなかっただと!!」

この国の王様カルド・バローサ。 王様がご贔屓になっている貴族の家から何年か前に奴隷が逃げ出したのだ。

貴族は国に探せと命令した。 あれからもう何年もたっているが未だに見つからない。


正直、見つかるわけが無いのだ。

おかげで、貴族と国の関係は悪化

。 現在国は死に物狂いで少年達を探している。


「まぁまぁ、カルドさん。そんなに急がなくてもいいじゃないですか。ゆっくり行きましょうよ。」

こう発言するのはこの国の女王。アーナ・バローサ。 国民からも人気のある優しい女王様だ。

「しかしな、アーナ。ゆっくりは出来ないのだよ。関係が壊れたら困る。」

ですよねー。とにこやかに返事するアーナ女王が何気なく発言した。

「そういえば、ボロ小屋にいた人達が似ていたと話題になっていたけれど、もう移動したらしいわよ。旅に出るって噂を聞いたけれど…。」 王様はその発言に反応した。


「探せ!全力で!! 見つけ次第、薬で眠らせるなどとして、ここに連れてこい!分かったな!」

「てかさー、このままじゃ俺達バレるくない? きっとすぐ見付かって捕まるよ。」 とトワは呟いた。


「大丈夫だよー。 国は少年って言ってるから。 しかし国も馬鹿だねー、さすがに成長してるよね。 そこまで考えようよー。 歩くの疲れた〜、めんどくさいよ〜。」

シイラは完全に疲弊し、怠惰の感情が主に出ているようだった。


「なぁ、とりあえずこれどこに向かう予定なの?」

「北。」 即答された。

なぜ来たなのか理由を問うと、暑いからだそうだ。北は夏に避暑地として有名な名所だ。



「あと、魔王の手下がいるらしいぞ。 氷の少年だったっけ。あれ仲間にしたいんだよね。」


「えっ!!魔王なんているのか!?この世界に。」

俺は驚愕の事実を知り、びっくりした、では表せない程びっくりした。

「いるに決まってんじゃん。居ないと面白くないでしょ。 でも悪いことはそんなにしてないよ。 意外と話を聞いてくれるかもよ。 だから仲間にしたいんだよね。」

「お前、めずらしく長文喋ったな。」

どうやら、シイラがこんなに喋ることはめずらしいようだ。

「氷の少年っては、どんなやつなんだ?」 俺は気になっていた疑問を投げかけた。 「氷の少年っては北の山に建てられた城に住んでいる17歳位の少年だ。 名前は──────」


「リン・リフレッティ!」

「そうそう!氷の少年、リン・リフレッティ! すっごく色白で氷の能力を扱えるたった一人の人間なんだ。」

「美しさは俺には負けるけどね。」

「いや〜、そうでも無いかもよ?」 と、トワとレカが茶番を広げている。

そんな会話に耳を傾けていると、とある看板を見つけた。 「氷の城、まっすぐ100メートル」 その看板を読み上げた後に、俺は気づいた。

「ちょっ!コレマジでヤバいって!すぐそばだって氷の城!」

トワとレカも茶番劇をやめて、俺の会話に耳を傾けたようだ。

「ヤバい?なにが?」 2人はそのやばさに気づいていないようだ。


「いやだから!すぐそばなんだって!氷の城!」

「大丈夫だって!こう見えても、うちの面倒くさがり屋さん。結構強いんだ!」

「ちょっと〜、名前で呼んでくれる?」

シイラはめんどくさがり屋。

なのに強いとは、どういう事だろうか。 「あっ!着いちまったぜ、氷の城!!」


「うわ〜、綺麗」

「うひょー!階段誰がいちばん早く登れるか競走な!」

各自自由行動をしている。

トワは勝手に中に走っていってしまった。












一方その頃、トワは中を見ていたようだ。 「うわ〜、全部氷だ。すごー。」

氷の城とは聞いていたが、まさか壁やイス、電気までもが氷だとは思わなかった。

氷を見て浪漫に浸っていた。



「おい、人間ごときが俺の城に入って何をしている。」


ヤバっ、バレた。 平常心を保て、俺。

「あー……これどうなってんの?すごいね!電気とか椅子とか、使ってて自分も凍らないの?」


「黙れ人間」


打ち解けようと思ったが、逆効果だったようだ。 相手は戦う気満々のようだ。


「武力はあんま使いたくないけど仕方ないか、よし、やろう」


相手は武器を持っていない何で攻撃されるのかが分からないがとりあえず武器は構えておくべきだ。


「お前を戦力外にしてやる……!!」

「いいぜ、来いよ、全力で受け止めてやるからな……!」


急にリンは消えた。


「くそっ…!あいつどこ行きやがった!」 周りを見渡すが彼は見つからない。


「自分がどうなってるか、分かってる?」 そんなことを言われ、自分の体を見てみる。


怪我……はしてないし、別に痛くもないおかしいと言われれば目線の高さ……?


目線の高さ。俺はバッと下を見た。

「いい気味だね。ざまぁ♡」

「お前っ…!何をした!」


「魔導書に乗っている魔法をちょっと応用しただけさ。 今恐らくお前は12歳くらい。 いちばん精神的に不可があった時期だろう? 戦力はあったとしても、無能だな。」

12歳というワードに引っかかった。 精神的に不可、無能、数々のワードも心に引っかかる。

「え……なんで知って…」

「氷の少年はなんでも知っているのさ」

思い出したくもない辛い過去が蘇り俺はその場にしゃがみこみ、顔を伏せてしまった。 これじゃまるで、クソの役にも立たないや。 なーんか、3人に申し訳なくなってしまった。 会いたくないなー、というか近づかないで欲しい。きっと3人もきっと俺を役たたずとしか思ってない。 なんでこんなナイーブになってるんだろう。 きっとあいつが使った魔法のせいだ。 俺を苦しめるためだとしてもセンスがあるなぁ……。


「近づいてくる足音が増えたな。 お前の仲間か?」

コクリと首を縦に降っておく。

リンが戦闘態勢に入り始めた。 きっとあいつらはすぐそこに来ているのだろう。

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