第10話 僕の名は…  ようこさん

「こことここがほったらかし…手がまわらないんだもん…」


 集計ですね、だいたい。

 いくら人がいないとはいえ、日次業務は廻していかないとどうしようもありません。


 ほったらかしは集計、月次、年次業務が多いのです。


「あと、この実績とデータが合わない…理由がつかめない…」

 

 熊木さんがどうやって帳票をつくっていたか…

 それからです。


 過去のデータを見ればなんとかわかりそうでした。


「ねえ、CADいれるって聞いているんですが…」

「ああ…それデザインのようこさんに訊いて…」


「ようこさん…? 」

「うん…ようこさん…」


「名字はなんと…」

「ようこさんで通じるから大丈夫…そういえば名字はなんだっけ…」


「初対面の女性をいきなりようこさんと呼ぶほど度胸は…」

「ようこさーん…CADのこと訊きたいって…システム室の堀さんが…」


 ようこさんと呼ばれたオレンジ色のブラウスを着られた女性が笑顔で手を振っています。


 なんとかなりそうだ…数か月あれば…


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