これってなんなの?

gonnaru

第1話 ?

ある晴れた日、

何処にでもありそうな町の、

何処にでもありそうな、

仕事からの帰宅途中。

そんな時、事件は起こった。

「あの、

私と付き合って貰えませんか。」


俺は、如月晴人、22歳。

大学を卒業して、ありふれた、

会社に就職して、ごく普通の、

生活を送る、一般人だ。

そんな俺が、そんな時、

   こんな場所で、

普通より可愛い女の子に、

こんな、シチュエーションで、

愛の告白をうけている。


きっとこれは、常に寝ぼけてる

俺の見ている夢なんだろう。


  「あの。」


彼女の声が、俺を現実に引き戻した。


  「私じゃダメですか。」


駄目も何も、俺に心当たりも、

何もない。しかも、初対面、

いったい全体、どう言うこと

なのか、わからないが、つい

一言。。。

言ってしまった。。

「俺で良ければ。」

と。。。

「じゃあ、付き合って下さい。」


彼女は、そう言って、俺の腕を

引っ張ると、


 「目を閉じて下さい。」


俺は、ビックリしたが、咄嗟に

言うことを、聞いてしまった。


 「目を開けて下さい。」


何処なんだ?ここは。。。


「ここは、

私の部屋みたいな物です。」


部屋と言っても、何もない、

白くて、ただの箱。窓も、

扉もない、そんな場所に、

一瞬で。。。

連れて来られたのだ。。。


「どう言うことだ。」

思わず、言葉が出た。

と言うより、頭が、混乱して、

現状をまるで、把握出来ない。


「すみません、了承を得たので

契約は、成立しました。」


この子は、いったい何を笑顔で、

言っているんだ?

   普通じゃない。

それだけは、はっきりとわかる

聞くのが怖かったが、

聞くしか無いので聞いてみた。


「どう言うことなんだ、と言うより、

ここは、何処なんだ?」


俺じゃなくても、絶対、突然、

こんなシチュエーションになれば、

誰もが、言うと思う。


「付き合ってくれると、

言われたので、普通の事だと、

思いますし、どう言うこと?

と言うと

こう言うことですけど。」


そう言うと、彼女は俺の手を、

引いた。


「ここは。」


見覚えはある。。ただ、この景色は、

子供の頃に見た景色。

どう言うことなのか、理解に

苦しむ。。。


「私と一緒に、この事件を消すのを、

付き合って貰います。」


事件を消す?手伝う?どう言うことだ?余計混乱する。。


「これを読んで下さい。」


全く状況が、理解できないまま

彼女が、差し出したファイルを

、声を出して読む。。。


「住宅で、火災。。。一家心中。

家に荒らされた様子は無く、

警察は事件の可能性は無く捜査を、

打ち切る事を。。。」


これが、どう言うことか、

さっぱりわからない。

これを、俺に読ませて、だから、

何だと言うのか?


「これで、わかって貰えましたか。」


理解に苦しむ。これが、

何だっていうんだ。。


「この案件が、解決しないと、

元の時間に帰れないって事がですよ。

如月晴人さん。」


「つっ。何で、俺の名前を。」


まだ、名乗ってない、

俺の名前を、彼女は呼んだ。

それに、事件を解決しないと、

帰れないと。だか、しかし、

少し、頭が、状況を理解してきた、

この女の子は、

彼女が欲しい俺が作り出した妄想で、

今の現状は、夢。

だとするならば、夢の世界に、

付き合ってやるのも、楽しいのでは、

ないかと。。。


「状況は、理解したよ。事件を

解決すれば良いんだね。」


夢なんだから、

ノリで良いんじゃないかと。

俺は、そう答えた。


「やっぱり、頼りになりますね。

私は、神﨑 あかりです。

一緒に頑張りましょう、先輩」


先輩と言う、シチュエーションに、

俺の心は、ときめき、

夢なんだから、どうとでもなるし、

悪い夢でも覚めれば終わると、

思っていた。。。


彼女の案内で、まず、事件の、

起こる家の、様子を見る。。


「誰も居ないんじゃないか?」


雨戸も、全て閉じられていて、

人の気配が全くない。

すると、あかりは、周りを見渡すと、

家の門扉を、静かに開けて、

俺に手で、来いと、合図をすると、

中腰の姿勢のまま、中庭に移動した。。


「静かに。」


彼女が、手を水平にして、俺の

言葉を遮った。。


ん。何か、少し聞こえる。。


「小さな、うめき声?」


「先輩。聞こえましたよね

まだ、この時間は、生存している事が、確認出来ました」


夢にしては、緊迫感も、半端ない。

俺は、心臓の高鳴りを、感じていた。

まじで、ヤバい夢。


「私が、インターホンを、鳴らすので、先輩は、もう一度、音を聞いていて、

下さい。」


「わかった。」


あかりが、インターホンを、鳴らす。

   「ピンポーン」


待機している、俺の方には、

泣くような、もがくような、声が、

聞こえた。

そこに、あかりが、戻って来た。

何か、反応有りましたか?


「ああ、うめき声と、

もがくような声と言うか、

音が聞こえた、俺は、思うんだか、

中で、

誰かが、拘束され、

喋れないように、

猿ぐつわ見たいな物を、

されているんじゃないか?

しかも、声を、

出そうとしてるって事は、

今、家族以外の、第三者は、

居ないんじゃないか?」


「さすが、先輩。私も、

そう思います。」


先輩。良い響きだ。俺は、

彼女に提案する。

「正面の玄関は、人目に付く、

勝手口から、中を確認しよう。

鍵は、俺が開ける。」


本当は、普段は、隠しているのだが、

俺の趣味は、鍵を開ける事だ。

何故隠すのかと言うと、

知られると、色々変な目で、

見られるからだ。。

でも、夢の中でなら、そんな事は、

どうでも良い。

俺は、勝手口に周り、馴れた手付きで、鍵を開ける。


「ガチャッ」


そのまま、静かにノブを回す。

細心の注意を払い、中に侵入する。。。

「これは!」

家族四人が、布団に巻かれて、

まるで、芋虫の様にされている。

その異様な光景に、息を飲む。。。

その内、三人は、寝てるのか、

まるで、動いていない。

小さな、布団だけが、もぞもぞと、

動いていた。

   「ほどくぞ。」

縛っている、細目のロープを、

ほどくと、小学生くらいの、女の子が、汗だくで、泣いていた。

口には、やっぱり、

猿ぐつわをされており、

それも、外してやる。

「ううっ。怖いおじさんが、

お父さんと、お母さん、お姉ちゃん、

私に、ビリビリを、くっ付けて、

目が覚めたら、布団で、巻かれて、

怖かったよぉ。」


「ビリビリ?スタンガンか、何かだな、あかりは、どう思う?」


「先輩と同じ意見です。」

急いで、みんなの、ロープをほどき全員布団から出した。」


脈を見ると、全員無事のようだった。


女の子をなだめながら、警察に、

通報を入れる。


「ここの、家族は、火災で、

亡くなったんだよなぁ」


火元が、何なのか?事件だと、

悟られない様に、犯行したとすると、

証拠が、残らなかった、

そう言う事になる。。


「先輩、何かわかりましたか」。


あかりが、泣いている、

女の子をあやしながら、

俺に期待の眼差しを向けてそう言った。


「さっきのファイル、もう一度見せてくれるか?」


「はい。」


なるほど、火元はキッチンか。

俺は、キッチンに、移動して、

コンロに目を向ける。

なるほど。。。天ぷらを、作る準備が、してある。それと、

キッチンのすみには、煉炭。大体、

理解した。火事になったのは、

夕方。つまり、犯人は、

もう一度、戻ってくる。

この、煉炭で、家族を殺すために。。。


キッチンから、戻ると、あかりに、

俺の推理した事を、

あかりに、説明した。


「恐らく、この後、煉炭で、

家族を殺害しに、犯人が、戻ってくる。そして、料理中の、天ぷら油が、

発火して、全員死亡と言う、

筋書きだろう。」


この時には、夢と、現実の、

境界線から、俺は、既に、

外れてしまっていた。

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