10代から20代の時に書いた詩(9)

天川裕司

10代から20代の時に書いた詩(9)

この字面を追っ掛けてる時が、一日の中でも稀な楽しい時間さ。京都に住んでまる12年間、その人生の中で最も楽しい事が、字を書く事なんてね。笑い顔までも堅くなっちまいそうだ。


夢の途中で起きちまって、目がランランして、なんだか眠れそうにない。…明日も楽しく生きてくぞ、と勇ましく、両手一杯の力で、明日の風を切り裂いたさ。そんな見栄っ張りさえもこの世間では、力付けてくれる。ああ、それにしても明日は朝早くから教習だ。せっかくの夏休み、来年の夏休みの為と頑張るんだ。そうでも思い込んで今は行くのだ。単位は別としてね。


おいてめぇ、ちょっとは〝うん、その通り〟って一回で納得しろよ。いっつもいつも〝…て言うか〟なんて俺の言ってる事と同じ事繰り返して言いやがって。てめえは馬鹿か?言ってる事がわからねえのか?お前の言ってる事と、俺の言ってる事は結局同じ事言ってるんだよ。途中で同なじだ、と分かってもそれでも尚、〝…て言うか〟を曲げずに気付かない振りをしやがって。胸糞悪いんだよ。はっきり言ってやろう。てめえの思い方は思いっ切り的外れなんだよ。要領の悪さはずば抜けているお前。その性格、最近ムカつくぜ。(笑)


もうすぐAM2時だ。


父さんの健康が保たれますように、お願いします。―――


他人(ひと)を殺してまで、恰好付けて生きようなんて思わないさ。


いつしか人間恐怖症になっちまった。その恐怖症は、人間(ひと)を殺して紛らわすくらいに膨れやがった。惨ったな、…突き進むだけの勇気なんてやっぱり結構疲れるもんなんだよ。普通の見知らぬ他人(ひと)に会っても勝手な人見知りが身に付いて、先走りしてしまうのさ。それがやめられればこんなにも悩まないのに、癖みたいにやめられないんだ。だからそういう他人(ひと)の集まりに出会う度に過度な程の心構えをして。全然余裕なんてないんだものね。また他人(ひと)には分からない、という所がその種(たね)でもあるんだな。


「雪の無言坂(じんせい)」

随分遠くまで来たような気がしていた。そろそろ帰ろうと思う。元在った僕自身の場所へ。きっとそこはこの世じゃない、別の場所。毎日、今ある景色を否定して生きて来た。否定しなかったのは両親と神様だけ、否定しきれなかった。それは僕の強さだ。元在る自分の場所へ帰って見たい。友達も、正義も、隣人も、恋人も、人間も、すべてを否定し続けるこの場所を忘れ去って、近い自分の場所へ帰りたい。ただこの世の場所じゃないから、理解出来ないんだ。


沢山の人が生きて居る。その中で両親に見詰められながら僕も生きる。何をするにせよ、弱さがあれば臆病だ。他人(ひと)の下に付くのがイヤな僕は、創始者のような偏見と、頑なさだけを得手にする。女に対しては無縁であるように、と偏見を。友人に対しては孤独なものだ、と偏見を。どちらの頑なさも、日々生きていく内にころころ形を変える。偏見の裏返しも結局偏見なのだ。精神分析表も、他人が決め付けた事、そう思い食い下がらない。従うのは生前、〝弱かった〟と後悔するとでも思っているのだ。こんな性格でこの世を生きて行くのは、至難の業だろう。怖さと身構えが無いと笑われるこの世間で、堕ちて行くのは容易い事。覚えたくはないが、やっぱり怒りを覚えてしまう。


「Dream & Money in this spirits」

正直になってみろよ芸能人。きっと爪弾きにされちまうぜ。そうだよな、だからそうやってやってかなきゃいけないんだよね。


僕はちっとも面白くない人達の冗談に合わせて笑ったから、胃にでっかい穴が開いちまったんだ。それが生きていく為だったって?この行き先は〝死〟だったじゃあねえか。笑わせるぜ。(笑)―――――――


へえ、この長い前髪を上げるだけでこんなに違うんだねえ。


人差し指に黴菌が入っちまって、痛むんだ。深爪したように、嫌な痛みだよ。どうやったら治せるんだろう、って考えたけどやっぱり時を待つしかないんだ。ったく、頭の後ろにも絶えない傷があるってのにね。


この頭から首にかけての痒さ。あ、少しマリちゃんの気持ちが分かるなぁ。俺、それ見て嫌な顔してたっけ。なって初めて分かるものなんだよね。


モス…柔らかな毛織物。


孤独な人は、もう一人の孤独の人と一緒になっても、一緒にはなれないんだ。自分でそう決めたから僕の人生は、こうなんだ。


この文章学歴のモチーフ?…そりゃきみ人間に生まれたからだよ。そう、すべては人間に生まれたから故の、欲の極みの苦悶だ。


騙された、騙された、女に騙された。俺の欲が強いばっかりに五万円も損する破目に。いっそのこと女に生まれてりゃ良かった。そしたら、男特有の欲しがる欲に捕われずに済んだのに。女と男が同居しているこの俺にとって人生は、掛け替えのない苦しみさ。苦しいけれど死ぬ事は中々に出来ない。少なからず生(せい)への執着心がある。日頃の呆れた苦悩を抱え、更に追い打ちを掛ける程に女に騙された俺。面白くて吹き出しちまった。死刑を宣告されてない故に窮屈な無い物強請りは、まだ同なじ事をほざき続けて生きている。最低だ、この〝平和ボケ〟。この世は平和ボケに悩まされている。世界まで目を遣らずとも近場でその最低さは分かる。動物の輩よりも知恵のある分、堕ちていった人間はまた地位と名誉で更にその器を堕とす。そんな世間の中で女に騙された、騙された。俺の憎んだ人間(おとこ)の欲が強い自分に、唾を吐きかけた。五万円だよって払った上に心も、ずたずたになっちまった。おまけに女に対して怖い程の偏見が付いてしまって、男とも女とも真面に話せない。どうしてもこの汚れていると知ってる世間で、男と女と話したくないんだ。かと言ってまるっきり話さなかったら例えようもない孤独に堕ちて行く。孤独は人間を狂わす。俺は両親をこれ以上、悲しませて不安にさせたくはない。だから〝仕組まれた自由…〟の中で俺はまだ生きて行くんだ。誰かの意見だが、俺はまた自分でそう思った。―――

何を信じていいか分からない。神様の事が解らなく成り掛けている僕は、また人間の欲望の方向へとのめり込んで行く。頭を抱え込んで蹲り、〝どうしようか〟と悩む自分が居る。――――五万円を失くした上に、少し眠くなりながら明日の事を考え始めた。


8月28日PM1時57分

〝生まれ変わったら何になりたいですか?〟―――――

(女)「やっぱり、男になりたかったですね。もう、一度女になったから、女の気持ちは分かりました。ですから今度は、その気持ちを分かった上で、生まれ変わったら男の人になりたいですね。」


「Queen」

それを聞いてた僕(TV番組かなんかの)。そりゃお前、今の俺がそうさ。この前世(まえ)俺は女だったんだよ。それが生まれ変わって男になったのさ。だから君の言う、〝気持ちは分かった上で…〟っていうのはよく分かる。(笑)でもね、辛いもんだよ。泣くほど、死にたいほど孤独を覚えるぜ。男と女が同時に分っちまうんだから。どん底の気分ってのがあるだろ、まさにそれさ。それを毎回、毎回ステップにして生きてかなきゃいけないんだから、本当もうやりきれないさ。言ってみれば娼婦の自殺の気分を味わいながら映画の撮影をしている、並のスターさ。いつやめても誰も何も言わない孤独を、いつも覚悟しなきゃならないんだからね。そうあの頃の熱かった気持ちも冷めたんだ。もう一回選ぶとするなら、俺は間違いなく天使の方を選ぶね。(笑)Good bye.


俺は生きている。死んじゃない。生きていて出来る事はいろいろある。何故これ程死を思うのか。無い物強請りにも程がある。


日々思い煩う事は、そんなにも大した事じゃない。余裕のあったあの頃が分からなくなった。今の僕はどんな思い方なのか、僕に真実を教えて欲しい。人間としか交われないこの場所は、教会の延長戦。神様でも降りて来てこのベッドの上で僕に語り掛けてくれないものか。もう繰り返しのこの距離は御免だ。夢のような事、僕は錯覚する。神様の存在の事で迷う僕。あまりにも尺度が違うから、神様のする事に疑問を感じるばかりの今。生きる事とは、神様から離れて行くことか。試練とは、神様から離れて行くことか。怒る事を、忘れてしまいたい。忘れたい事は沢山ある。無い物強請りは僕の愛を狂わせた。


他人事(ひとごと)ながらに、僕はその人を愛していた。他人事(ひとごと)だとは知りながら僕は自分で勝手に線を引いた。欲望に溺れるような無様なハイエナにはなりたくなかったのだ。間違っていても、それが僕の生き方だからと、この一つの人生を僕なりに美しいものにしてみようと。他の奴等に負けたくなかった。人生に負けたくなかった。月並みな人間の欲望に負けたくなかった。生まれて死ぬまでが、僕の舞台。僕だけが、その飾り付けが出来るのだから、自分なりのステージにしていい筈だ。僕は世界から爪弾きにされる事に、孤独の恐怖を感じた。話す言葉も儘ならぬ程に言葉に気を遣った僕は、この居場所を窮屈に感じた。しかし、表切って、孤独の恐怖に苛まれる事を思うとやりきれなくなる。どうしようもない独り善がりは、僕だから仕方ない。カウンセラーも受けてないのだから。そしてその延長線上に両親が居た。両親が居なくなれば、僕はある意味強くなれる、と。その意味は言葉をきちんと喋れない僕には語れない。誰にも分かって貰えなくて当然だろう。〝以心伝心〟を信じない僕の愛は、勝手にこの世を呪っている。ただ〝死んではいけない…〟、〝死ぬものじゃない〟、そんな言葉だけが無責任にも僕の心に入って来る。唯の独り善がりが僕の生き方なのさ、と、自己主張主義のこの今の流行(しゃかい)に反発。せめてもの反発(笑)―――――――人を信頼し、語り合う事に疲れを覚えた。それまでの期間に年数は関係ない。この社会に出て、隣人との影のやり合いをする事に、馬鹿らしさを感じた僕は、自殺を選ぶ。悪いとは思わない。好きでこの世に生まれて来たんじゃない。それなのに、この訳の分からなさ、この臆病。いい迷惑さ、そんな俺の心が、あの方に分かる筈もない。(笑)これもせめてもの反抗かね。―――


…ったく、神戸の人、5000人がこんな風に死んだってのに、あの方は何を考えてらっしゃるのかねえ。人の最大の不幸は〝死〟になっている。しかし、そちらのお国ではそうでもないらしい。人には死の向こう側が解らない。そういう現実な限り、人の不幸は〝死〟さ。全員天国へ行ったかな?



「さよなら」

たった一日が人生じゃない。僕は目の前の事ですべてが終わったような顔をしてる事が最近多い。以前そうでもなかったのに、最近になって刺激がなくなった所為か、煮詰まって、行き詰って来たみたいだ。この年になったら、愛する者の一人くらい居てもおかしくない。でもそれが一人も居なくて、それが両親になっている僕は、その状況を完全な意地にし始めた。そして、行き着いた愛と生(せい)の執着は、この世の場所じゃなかった。この世では完全に口を閉ざしたい、と人との煩わしさに怒りを覚え、自分を暖めた。きっと、もう以前のような考え方は続かないだろう。卑怯にも他人(ひと)の暖かさは僕が他人(ひと)に裏切られて人間(ひと)を憎もうとする頃にやって来る。〝いい迷惑だ〟と、その暖かさに応える。そんな繰り返し、この先も繰り返すのだ。〝意味の無い事〟と分かってながら、その事を始終やってれば人間は狂う、と言う。どこかの国でそういう拷問があったと言う。まさに現実でも精神的な拷問だ。(笑)そう、尾崎豊は、ここから脱出(卒業)したんだ。一見、楽に見える。その誘惑に負けたくなるのも僕だ。愛など、生きている間だけの戯言。この愛とは恋愛の事、僕に女の事を分かち合えと言うのは無理な話。本来、一緒に居るべきじゃないのだ。別々ならもっと良かったのに。戯言に惑わされずに済んだ。僕が知る愛とは他人(ひと)を救う愛だけ。出来るかどうかも分らないその愛だけだ。他人(ひと)の為、両親の為、その愛。僕は弱い人にしかその愛を見せない。見せられる事が出来ない。親孝行を生涯の目標とした僕は、この一生だけは〝女〟と無縁にしたいのだ。死ぬ時に、きっと幸せだろう。死んだ後に〝浮気したなぁ〟とあいつに言われる事もないからね。もうすぐ、この場所からも去るつもりさ。この世の色に染まらずに、あいつに会いたい。



生きる事の正体は辛いものさ。



〝お前には俺が居るから…〟、〝君には私が居る…〟、そんな優しい言葉掛けてくれる奴、一人も居なかったなぁ。俺は掛けたこと何度かあったのに。ま、仕方ないか(笑)、期待する方がおかしいんだから。


かの有名なデビッド・ボウイとのツーショットさ。(笑)

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10代から20代の時に書いた詩(9) 天川裕司 @tenkawayuji

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