いるかのかいる版『意味が分かると怖い話』

いるかのかいる

『アイドルデスマッチ』

人の死が娯楽となった時代、

友愛と美羽の二人のアイドルが居た。

幼い頃からの幼馴染で、生きるのも死ぬのも一緒と言える程の仲だった。


『アイドルデスマッチ』

それは、二人としての晴れ舞台でもあり、生死の境目でもあった。

ステージの上でパフォーマンスをし、その投票率に応じて勝敗が決まる。


観客からの投票率が多い者は、スポットライトを浴び、

またすぐ次の晴れ舞台へ向かう権利を有する。

しかし、投票率が少ない者は一瞬の間もなく死ぬ。


二人はAブロックの出場者として選出させられた。

ここでは個人戦。友人だろうが、誰もが敵。誰かが必ず死ぬ。

幼馴染同士が敵同士になり、片方を殺してしまう場合もある。

そんな容赦ない大会に。


二人は、誰かを失わせることも出来なかった。

自分だけ目立ち、票を独占しようなんて事もできるはずがなかった。


そこで、二人はある策を考えた。

「二人で共に同票を狙えば、生きるのも死ぬのも一緒。」


同票の場合、片方が死ぬこともなく、二人共生きるか死ぬかの二択となり、

二人は共に離れることはない。

大勢の観客が見守り、しかも、リハーサルなしのぶっつけ本番ともいえる状態の中、

この策はよりにもよって荒唐無稽で、

奇跡が起こらない限り実現が難しいものだったがやるしかなかった。


スタジアムには、合計1455人の観客。

スタジアムの客席では、サイリウムが大きな太陽の光を作り出していた。

二人のデビュー曲が流れ、二人の歌声とパフォーマンスはシンクロし、

会場内を圧巻させたのだった。

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