第二十二週目
【過去のわたしと 未来の嫁が ナイフ片手に 舞いおりる】
今の自分を見たら、過去の自分はどう思うだろう。
希死念慮を抱いた過去の彼は、どうせ死ぬならと、恥じも外聞も捨てて、興味を持った小説執筆をはじめた。
作家にはなれないだろうという達観はありつつも、自己のアイデンティティとして重視したその習慣を、今では小説を一切書かずに、都々逸などという需要の無い韻文を思いのままに書き連ねている今のわたし。
幼少期、タイムトラベルものが好きだったわたしは、未来の自分を殺したところで、過去には何ら影響はないだろうと考え、自前のタイムマシンに乗ってやってくる。確かに寿命は確定するが、殺人罪には問われまい。
すると、そんな危機を知っている、わたしの未来の嫁(なぜか地雷系ファッション)が、過去のわたしを食い止めにやってくる。
タイムトラベラーに挟まれつつも、今のわたしは冷静に分析する。
未来の嫁が居るということは、過去のわたしは“自殺”に失敗するのだな、という壮大なネタバレを。ナイフでカチャカチャとチャンバラごっこを繰り広げる最中、わたしはやはり都々逸を詠むのであった。
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