第廿週目
【無造作気取り 風にたなびく トレンチコート ベルトださ】
冬は好きだ。確かに手足はひりひりと冷えていくのであまり活動する気にはならないけれど、その埋め合わせをするように人は夏よりもファッションの工夫を施すようになる。
なかには羊のように、まるまると着込むだけの者もいる。冬毛のようにダウンでパンパンになっているタイプ。
他方で、街々の雑踏には、それで防寒できているのかとかえって疑念すらも催すような、オシャレに特化した人もいる。
いずれにせよ、不毛の土地のなかで人類は着飾り、他者よりも目立とうと古来よりしてきたに違いない。その生存本能こそが、男女の境なく冬服のレパートリーを膨大にしていったのだ。
なかには戦時中に誕生したものもある。そのひとつが、トレンチコート。
だからこそベルトの結び方にも多種多様なものが開花していった。その方法と印象の差異は未だ人類には計り知れない。きっと誕生200周年の折にトレンチコート文化史学者によって定められるのではないだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます