第一週目

【机を変えて 幼き日々と 離れていけど がく長し】


 有り難いことに、僕が買ってもらった勉強机というものはそこそこしっかりしたものであるので、つい先日まで現役で使用していた。一方、文机というものも所有している。旅館や文豪などが使ってそうな座卓である。

 我が書斎には本の壁があるわけだが、その限られたスペースで二つと机は要らないのが実際のところ。なので、夏越大祓よろしく、その古くて大きな机を手放し、文机にノートPCを置いて、こうして執筆している。

 勉強というもの自体はかつてと大きく変わっている。

 その内容もさることながら、小テストや義務教育というものなどからは遠く隔たった今日、僕がしている勉強なぞは、例えばコーチングや語学であれば、意識の高い表現をすればスキルアップのため。実のところを言えば道楽であり、脳や人格が腐らないようにするためであるのだけれども。

 机が小さなモノへと変えられるようになったのは、このように、“べんきょう”の内容が変わったためだ。けれど、その意義は違わず、大人となった今でも、学習の日々はこれからも続く。

 起きて半畳寝て一畳というけれど、文机の前で文章を考える時間は、半畳というわずかなスペースであることを忘れさせる豊かさがある。日々の喧騒から離れたその時間は、なるほど学生の頃に親しんだ方丈記の世界である。

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