モブ転生者が世界一危険な森でレベリングした結果、最凶の美女が釣れた
あおぞら@書籍9月3日発売
第1章 禁足の森でレベリング
第1話 親に捨てられる俺、人生ハードモード過ぎるって
———さて、これからどうしようか。
俺ことレイト・バーゲンセールは、周りを見渡せど人1人どころか動物1匹、草木1つたりとも見当たらない、何もないだだっ広い荒野で1人ため息を吐く。
持ち物と言えば、奇跡的に持っていた2リットル程の水とクソ不味いパンみたいな物だけだった。
「本当にどうしようか」
ちょっとしたパニック状態である。
どうやら、普段ケチの権現みたいな両親が珍しく『旅行に行こう』と言ったのを、何も疑うことなくフラフラ付いて行ったのが運の尽きだったらしい。
ウチのクソ両親の奴らは旅の道中———つまりはこの荒野で、馬車から突き落としてきたのである。
まだ13歳の俺を、だ。
まぁ大方貴族のくせに平民なんかよりよっぽどケチな両親のことだ。
俺の養育費や2年後に入学する予定だった学園の学費を払うのが嫌で捨てたんだろう。
だからと言って、はいそうですか、と納得出来るわけないんだけど。
「チッ……あのクソ親共め。俺が生き残れないとでも思ってんのか? だったら残念でした! 俺は転生特典で【不死】スキルを貰ったので死なないのでした! いつか目の前に現れて驚かせてやるからな、この野郎!!」
そう、俺は転生者だ。
てか人生2周目じゃなかったら普通に親に突き落とされたショックで泣いてるよ。
現時点でもちょっと泣きそうだったけど。
補足だが、この世界は、前世で俺がそこそこやっていたゲーム———【英霊召喚】に酷似している。
と言っても、俺が転生したキャラはストーリーに名前すら出ないモブなので、勿論一切関わる気はない。
ストーリーと言うかゲームの概要をざっくり言えば、学園に主人公が通い、たくさんの出来事をガチャで手に入る英霊達を編成して共に解決する、といった感じか。
ま、ありがちなゲームってヤツだ。
結構キャラデザ良くて気に入ってたけど。
「———ってそんなこと今はクソほどどうでも良い! これからどうするかを考えないといけないんだよ」
因みに俺がこうやって1人で喋っている理由は、黙ると普通に病みそうだからです。
家族に捨てられるって普通にダメージデカいんだわ。
俺は泣きそうになるのを我慢しつつ、今後のことについて思案する。
現在地は、荒野。
そして【英霊召喚】の中で何もない荒野と言えば……【無法荒野】か。
うわぁ……よりによって1番人間の街から遠い所じゃんか。
まぁだからここで俺を捨てたんだろう。
ほんと次会ったらぶん殴ってやる。
「一応此処から1番近いのが……あぁ、【禁足の森】だったな。詰んでる」
禁足の森とは。
文字通り人が足を踏み入れたら最後、2度と出ることは愚か、骨すら見つからない正に魔境。
ゲームではストーリーの1番最後に開放されるのだが、レベルMAXが150の世界で、レベル150の敵がうようよいる頭のいかれた場所である。
そんなところにレベル5の俺が行ってどうなるかって?
文字通り———ぐちゃぐちゃになります。
骨も残らないって言ったでしょ?
まぁ救いがあるとすれば……死なないってことと、死んでも経験値が入るってことくらいかな。
…………あれ? 乗るしかなくないか、このビッグウェーブに。
「はぁぁぁぁ……痛いのは嫌だなぁ……」
そう文句を垂れつつ、どうせこの場にいても生産性皆無なので……仕方なく向かうことにした。
「———なるほど、人間はこういった時に心の底から後悔するんだな」
「ガルルルルル……」
俺は目の前のレベル145の大型狼モンスター———ダイヤウルフをぼんやりと眺めながら呟く。
ヒグマより2回りほど大きな体躯。
そんな巨大な全身を覆う光り輝く白銀色の体毛は、文字通りダイヤモンドと同レベルの硬度を誇る。
鈍く光る牙や爪はダイヤモンドより硬いと言われ、最高ランクの冒険者のタンク役ですら数発でノックアウトされる凶悪さだ。
そんな頭のおかしい特徴を持ったモンスターこそ、目の前のダイヤウルフである。
コイツ……ゲームで防御力も攻撃力も俊敏力も高かったんだよなぁ。
嫌いだったなぁ……コイツに何度台パンしたことか。
対する俺は完全に抵抗するのを諦め、昔のことを思い出していた。
いや無理無理。
こんなヤツに生身のレベル5が勝てるわけないから。
しかしこのまま何もしないのも嫌だ。
「…………よし、話し合お———」
———グシャッ。
俺の健闘虚しく、前足の攻撃により即死。
これが———【不死】という転生特典を手に入れた俺の、最初の戦闘(?)だった。
そして、この時の俺は知らない。
まさか、ダイヤウルフなんて可愛い子犬にしか感じなくなる程ヤバい女に目を付けられるなど———。
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新作です。
今作はめちゃくちゃコメディー作品です。
宜しくお願いします。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
モチベで執筆スピード変わるので、続きが読みたいと思って下さったら、是非☆☆☆とフォロー宜しくお願いします!
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