第三話 付き人の二人
トントン、と部屋の戸が数回鳴る。
「
「おはようございます、
「お元気そうでなによりです。凰の森で発見したときは意識が揺らいでおられましたから、心配していたんですよ。いやー、よかったよかった」
「毛ほども心配の色が感じられないのだけど」
「思ってはいるさ、見えないだけで」
当人たちがどう思っているかはわからないが、少なくとも
(わたしと、鳳凰様よりも、ずっと)
その言葉を吞み込んで、音羽は笑顔を彼らに向けた。
「そういえば、
「俺の出番はもう少し後! 鳳凰王から、
「そう、だったの」
鳳凰に気を遣わせてしまったことに申し訳なさを感じる。罪悪感からまたうつむいてしまった
「
「気にすんな、王も、きっとこう言う」
「ちょっと
「少しくらいいいじゃねえか。小さいころからの仲だろう。なあ
「うん」
「
二人は彼女を〈姫巫女〉としての
二人とも、なにも返すものがない自分によく尽くしてくれていると
もっともその当事者である二人は、鳳凰の命令以外にも自分の意志で
「……そういえば、わたしに用事ってなんだったの、
「え? あー……ただの口実ですよ」
「口実?」
「王に様子を見に行けと言われたのは本当。でもそれだけじゃあ中に入れてもらえないと思ってね」
きっと様子を見に来たとだけ伝えられていたら、放っておいてほしいと彼を突き返していたことだろう。うまい人だな、と
「……ずるいわ
「そうですね。俺はずるい男です」
それでも彼を嫌うことはできない。
ふと、
「ねえ
「はい。捜索には俺の部隊が出ました。いつも森の湖に行っていることは知っていたので、その周辺を捜したところ、すぐに御身を見つけることができました。……いや、少し違うか。森の動物たちが俺たちのことをあなたの仲間だと理解したのか、道を誘導してくれましたからあなたを早く見つけることができたんですよ」
「……え。ほ、他にだ……なにもなかった……?」
「? ええ、
彼の言葉に
「そう……。元気になって、あるべき場所に帰ることができたのね」
「良かったですね、
「うん」
熊が無事で安心したと思っている
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