着信

金子ふみよ

第1話

 もうすぐ20時になる頃だった。スマホに着信があった。名前を見る。親戚のおじさんだった。少しため息をついてスマホをもって応答しようとしたら、切れてしまった。すぐに折り返しの電話をした。

「おう、どうした?」

 おじさんは不思議そうに出た。

「今、電話もらったみたいなんですけど」

 用件を告げるとさらにおじさんは不思議がり、

「いや、かけてないぞ」

 と言った。私はそれほど長話をおじさんとしたくはなかったので、

「すいません、スマホが不調なのかもしれません。ご迷惑かけました。失礼します」

 畳みかけるように低姿勢を保った。

「ああ、はいはい」

 おじさんはそそくさと電話を切ってくれた。ほっと息を吐き、スマホを睨んだ。一体、今のは何だったのだろうと探求心が起こりそうになっていた。が、ネット検索するのも煩わしい。電子機器特有の誤作動か何かだと勝手に納得して、風呂に入ることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

着信 金子ふみよ @fmy-knk_03_21

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る