第138話転生事情
「あ、前の種族はどんだけ頑張ってもそんなに強くなれないです。
限界まで鍛えても今の魔法なしの自分の方が身体能力は高いと思います。
それに、身体の再生能力も無いに等しいです。
腕の骨が折れた程度でも治るのに30日とかかかります」
種族としての貧弱さにルリウィン含め皆絶句してしまう。
「ふむ、それだけ脆い上に一つの死でアウトとなれば、我々が楽しんでいるような娯楽が浸透しないのも当然と言えるな。
ウィリィンが直感的な行動をほとんどせず、考えてからしか行動しないのは持ち前の気質だと考えていたが、安易な行動が死に繋がるかもしれぬという考えが本能として刻まれている種族的な特性も影響していそうだな」
「考え過ぎて、動きが遅れて対処が間に合わないみたいな事態にはよくあったので、最近は少し改善されていればなと思います」
「我々の娯楽は戦闘とセットの物が多いわけですが、ウィリィン様は楽しめていらっしゃいますか?」
「はい、戦闘とセットの物が多いだけで、今の食事や、大浴場で湯に浸かるなど戦闘が絡まない娯楽はしっかりと楽しめていますし、オーラの類は前世では空想の類でしかなく、実在しないものでした。
当たり前に存在するものでしかないかもしれませんが、自分にとっては未知で、可能性の塊のように感じられて、とても工夫し甲斐があるものになっています。
それに鍛えたら鍛えただけ身体の動きが眼に見えて良くなっていくのが実感できるのも楽しいと思っています」
「身体の適応能力がとても高いからな。
成長を実感できるのはモチベーションに繋がるだろう」
「まあ、その分上との差を嫌でも意識してしまうわけですが」
「強さの上限に関しても青天井ですからしょうがないですわ。
しかし、地道な努力を積み重ねていくしかないですわ」
「そこらへんは身にしみて感じてます・・・」
「さて、そろそろウィリィン対しての質問は良いかの?
あまりウィリィンばかりに質問してもな、逆にウィリィンの質問に対しても答えてやれ。
ウィリィン、何かあるか?」
「あ、え、うーんと、転生って自分みたいに割とあることなんですか?」
「天然で転生して赤子から生まれ直したという話は極まれにですがありまして、生前の人を知っている者が魂の形を見ると瓜二つだったり、本来の赤子の魂と混ざり合っているように見えることもあるそうですわ。
ただ、ウィリィンちゃんまで明確に人格がある場合はほとんどなく、本人の思いこみで済まされてしまうレベルのことが多いですわ。
ただ、何人かいることは確かですわ。
超越者に近かった実力者に多く、なりそこなったのが転生と言う形になったのではないかと言われてますわ。
人工的な転生の術は今結構ホットに研究されている内容になりますわ。
我々は寿命が超越者にならない限りはほぼ固定ですので、それをどうにか延長できないかというコンセプトを元に研究がされていますわ。
現状の成果では転生自体はできるのですが、魂再の仕組みがうまく再現できないらしく、手動で誰かが魂の状態から元に戻してあげないといけないそうですわ。
異なる世界からの転生という話は聞いたことがないですわ」
「そうだな、私も初めて聞く事象だ。
このアドバンテージ、十全に活かせ。
あと、我々も注意するが、実験対象として攫われぬようにな」
「お母様、やっぱり黙っていた方が良かったのではなくて?」
「どうせこういったものは言わなくてもバレる。
下手に隠す方が注目を集めるでな。
それにウィリィン、別に合意の元の実験であれば構わんだろう?」
「まあ、自分の根源的なところが気になるは気になるのと、この研究で長生きできる可能性が増えるのは悪くはないとは思う。
なるべく、自分の生活を破壊されないようにはして欲しけど。
権力者がいつまでも居座るとかの問題もそこまでないよね・・・?」
「身体が赤ん坊になれば、弱体化は必須であろうからな。
力での権力の奪い合いが正当化されているので、気に食わなければ排除してしまえばいい。
まあ、眼をつけられるまではわざわざアクションを取るつもりはないし、交渉の窓口は私が担当するのでな、そこは安心するといい。
こういう輩はダメと言われると逆に燃え上がるタイプだからの、門は作ってやる方がも揉め事は少なくできる。
実力が充分につけば、自身で嫌と跳ねのけても良いぞ」
「それに、転生も良いですが、それなら現在進行形でリセットも無しに寿命を超えている超越者のなり方を研究した方が有意義ですわ。
まあ、お母様を含めとんでもない実力者しかいませんので、要求をされてもあしらわれるのがオチですが」
「それもそうだな。
自身と向き合い、実力をつけ続けるだけなのだがな?
別に同時になれる人数に上限があるわけでもないぞ」
「それでもたどり着けるのがほとんどいないのが要因なのですわ?」
「まあ、寿命を延ばしたいと考えるのはあまりおらぬ。
寿命が固定なのでライフプランもやろうと思えば生まれた直後から考えられるし、そういうものだと認識しておるものがほとんであるのでな」
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