第10話鍛錬開始

(うえええ、勝てないのでは・・・?)




(ウィリィンにはそいつらとは違い、死に対する退避感が強い、そこを強みとしてうまく生かせ、お主にしかできない戦い方を期待しておるぞ?)




(まあ、血筋的にも環境的にもあなたが強くなれないことはないわ、それは保証する。


それ以上はこいつの言うとおり、発想とセンスの話になってくるわ。


ただ、最悪ある程度強ければ私たちもあなたを守る口実ができるから。


そのレベルまでは頑張りなさい)




(分かりました。頑張ります!)




少しハードルが下がりホッとしつつも、気合を振り出し答える。




(よし、それでは実際の鍛錬を始めていこうかの。


ちなみウィリィン、話を聞いていて忘れておるかもしれぬが、癒しの炎の発現が途絶えておるぞ?)


(ふぇ?う、苦し、!?)




その言葉にハッとし、自身の身体に注意を向けると癒しの炎で消費されていた魔力が完全に供給されており。


それをお構いなしにおしゃぶりから供給される魔力によって体が魔力過多に陥り、


全身、特に血管の細い部分(鼻の奥の方)などが痛くなってきた。


反射的に口から入ってくる魔力を遮断しようとしたが、できず、じわじわと広がる痛みにあせり、まともな思考ができない。




(あと、こういった不測の事態に対しての対応力だな。


こればかりは場数と振り返りを繰り返すしかあるまい。)




(課題の説明してないで、落ち着かせなさいな、ほら、魔力を使うのよ。


口から入ってくるのは止められないから。なんでもいいから使いなさい)




アウィリィがウィリィンをなでて落ち着かせながら解決方法について伝える。


彼女は言われたことを思い出し、癒しの炎を再度展開することで魔力を消費し、事なきをえた。




(ハアハア、焦った・・・・)




(ふふふ、かわいい。でも戦闘だとその隙は致命的ね。


驚くのは構わないけどその間相手にやりたい放題されないようにしなくちゃね)




(そうだな、どのような状況でも周りの状況に頭の領域を一部割けるようにしなければな。


よし、鍛錬の内容が大方決まったな。


適性を見て再調整は必要だろうが、早速初めていこうか)




っというと、ウィリィンの口に手を伸ばし、おしゃぶりを外した。




(ほれ、授乳の時間だ。)




ルリウィンが胸をウィリィンに突き出し、飲ませようとする。




(えっと、昨日これ飲んで殺された記憶があるのですが・・・)




(そうだな、でもさほど苦しくなかっただろう?)




確かに毒のおかげで感覚麻痺し、いつの間にか死んでた上、


魂再時も母親が耐えられるギリギリのレベルまで癒しの炎でサポートしてくれた。




(まあ、ルリウィンは自在に成分を変えることができるから、本来の乳を飲ませることもできるんだけど。


一番楽に死ねる方法だと思うから、これで死ぬ時の練習もしましょうって話よ)




(今日はしっかりと癒しの炎をかけてやるうえ、前回のような疲労困憊にはならんだろう。


その点は安心せい、ほれ)




また、急かされ、話の流れに流され、仕方なく咥える。




(ん、なんか前回と違って世界が回らない?なんかすごいおいしい)




とてもおいしいのを感じた後は、この味をずっと飲んでいたいと感じるようになり、


飲めば飲むほど、渇きを感じるような錯覚に陥っていた。


もう、無我夢中であふれ出てくる液体を体内に摂取している。




(ちなみに、もう聞こえていないかもしれないが、前回とテイストを変えてみた。


前回は毒性が強すぎてあまり飲ませることができなかったので、


中毒性をあげて沢山接種できるようにした)




(へえ、ちなみにこのまま放置するとどうなるのかしら?)




(授乳をやめれば、中毒性の毒が体内に摂取できなくなったことに対して苦しみ始め、最終的にはショックで死ぬ。


飲ませ続ければ毒以外に含まれている多量の栄養と魔力で体が膨れ上がり、爆散するな。


苦しませるつもりはないので、今回は後者だな)




それから少しして、パンパンに膨れ上がったウィリィンはそれでも母乳を飲み続けることを止めることができず、限界を迎え




(おいしい、もっと、もっともっとぉぉぉぉきぇぇぇぇぇ!?)




爆散した。




(では、癒しの炎を頼むぞ、私の方はウィリィンに語り掛けて魂再こんさい中に魔法が使えるように指導する)




(了解)




身体が崩壊し、魂だけの存在になる。


普段ならこの段階で耐え難い激痛に襲われるが、何か暖かいものに包まれており、それがない。


そして遠くから声が聞こえる。




(・・・―い、おーい、意識が戻ったなら返事性せい)




自分に向けられた言葉であることを理解し、急激に意識が覚醒し始める。




(あれ、ここは・・・?って何も見えないというか、身体がない!?)




(ウィリィン、今お主はいったん死んで魂だけの状態になっておる。


本来ならば激痛が走るのとのことだが、アウィリィが癒しの炎で覆ってくれておる。


痛みはないか?できそうであればこの状態で魔法を練習してみよ)




(わ、分かりました。うぐぐぐぐぐ、あれ、思った以上に難しい)




ウィリィンは戸惑いながらも意識を集中させ、魔力を練ろうとする。


が、身体がないため、うまく魔力を動かすことができない。




(初回でそれだけ魔力を動かせば上出来だな。


どうだ?魂だけだと練り上げる核となる部分が無いような感じに襲われるだろう?


しかもお主の場合激痛に耐えながらこれを行う必要がある。


このように苦痛を感じないようにしっかりとサポートするゆえ、しっかりと使いこなせるようになれ

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