第8話おしゃぶり
(は、はいよろしくお願いします。どちらも当主?なんですね。
なんかそんな方2人に鍛錬して貰うなんて、恐れ多いような感じがするんですが)
(ああ、気にするな。基本的に何事も自己責任の弱肉強食ゆえ、
我々に口出しできるものもそういないし、よっぽどの有事以外は我々が抜けても回るようになっておる。
今はウィリィンの鍛錬の方が大事だと考えておる。期待しておるぞ?)
(私等なんてそんなもんよ。
それとルリィウィン、あんた生後3日の子を虐めてるじゃないわよ)
少し炎を洩らしながらルリィウィンを窘める。
(おお、すまんすまん。早速鍛錬に入るかの、まずはこれを咥えておけ)
(んぐう?)
口に何かをねじ込まれた。
その物体から魔力が供給され続けられているのが感じ取れる。
(ほれ、とくせいおしゃぶりだ。これでいくらでも魔力を補充できるぞ)
(かわいい~、あんたにしてはいいデザインじゃない)
アウィリィが頬を緩ませる。
(そうだろう?よし、ウィリィン。昨日教えた癒しの炎を常に使い続けろ。
ちなみにこのおしゃぶりには魔力の放出を止める機能はつけていないので、
使い続けないと、供給過多で体の至る所から逆流したり、最悪の場合、体が破裂するので気を付けよ)
ウィリィンは破裂するという言葉に少し青ざめながら癒しの炎を使い、
体内の魔力を消費し、おしゃぶりから供給される魔力を吸収していく。
癒しの炎は燃費がかなり悪く、供給が全然足りないので、少し安心する。
というより、最悪おしゃぶりを口から離せば大丈夫なことに気づき、安堵する。
(ちなみに、これ以外に注意点が二つある。
一つ目、一日たつごとに魔力の供給量がその日の1.3倍になる。
魔力の吸収力、変換力を鍛えなければ先ほどの破裂が現実的になってくるなぁ?
二つ目、このおしゃぶりには呪いがかけられておる。
そのため、私かアウィリィ以外では外すことが出来ぬ。
まあ、口は開くから、鼻が詰まっていても窒息することはないから安心せい。
なお、食事は私が与えるので心配せんで良い)
(!?!?!?!?!?)
ウィリィンは口を開けるが、おしゃぶりは離れてくれず、
頭を激しく振っても、手で引っ張ってみてもびくともせず、絶えず口内に魔力を供給し続けている。
一通り試し、外すことが不可能なことを理解し、諦めた。
(こ、これってまさか寝ている時も・・・?)
(もちろんだ。最初の頃は魔力を使い切ってから寝ればギリギリ破裂しない程度に設定してあるのでその間に慣れろ。
まあ、その前に目が覚めて魔力を消費するだろうが、それでは体が休まらんだろうからな。
呼吸するように魔力を使えるようになれ。
ちなみに魂再時の魔法の発動はこれ以上に難しい)
(そうね、魂再が一番苦しいでしょうから、これぐらい緊張感をもって取り組まないと・・・
かなり大変かもしれないけれど、頑張りましょう)
(わ、わかりました。ちなみになんですが、おしゃぶりである理由は何かあるのかなぁ?
精神年齢的に少し恥ずかしいというかなんというか、
口に物を咥えていることで安心している自分がいることにも少し敗北感というか後ろめたい何かを感じてしまうのですが)
(魔力の吸収は粘膜から吸収しやすいことが分かっていてな。
鼻や、耳も選択肢にあったのだが、その二つはなかなかものを摂取するようにできておらんからな。
ちなみに下にも2つ口があるのだが、どうしてもというのならそっちに変えてやってもいいぞ?)
別の部位に装着する物質をちらりと見せ、にやにやと笑いながらそう尋ねる。
(おい、そこらへんにしとけよ)
アウィリィが炎を全身からメラメラと燃え滾らせながら凄む。
(おお、すまんすまん。ちなみに、血液に直接流す方法が一番効率良いのだが。
吸収して、自分の魔力に置換していない魔力が混ざると気持ち悪くなったりと副作用が強いのでやめておいた。)
(あ、はい、おしゃぶりが良いです)
(勉学についてはほれ、これで学べ)
ウィリィンは右腕に腕輪を装着される。
ルリウィンがそれに少し触れると画面がウィリィンの少し離れた場所に現れる。
(えっと、これは?)
(動画再生装置だ。まだ文字は読めんだろうから自動で動画が流れ続ける設定にしておこう。
色々操作方法はあるが、取り敢えずは言語を理解できるようになれ。
空き時間を工面して取り組め。腕輪に3秒ほど触れれば画面は消えるぞ。
少し触れれば起動する)
(あ、はい頑張ります)
思った以上にハイテクな教材が出てきて少し戸惑いつつも、最高の環境でいつでも勉学を学べることに異論はない。
(そして、我々2人が教えることとしてはまずウィリィン、お主の戦いの主軸についてだ。
それを知るためにはお主の本質について見出す必要がある。闘いについてどう思う?)
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