第124話おっさん、破壊力バツグン

少しだけ楽しみにしていたんだが、民放各社がウチのソーラーパネルを扱う際に偏向されるようなことはなかった。


まあ、国営放送たるJHKの放送を否定することになるからな。


JHKが必ずしも正義ってわけじゃないが、適当な下調べで真逆の内容を放送するわけにもいかないんだろう。


それこそ炎上してしまう。


だがAIえいの扱いは若干違っていた。


JHK同様、うちに取材に来て取材して帰っていったところもあれば、わざわざスタジオまで呼んで収録だったところもある。


取材の方はまたあのAIえいのプレゼン撮って、工場映す程度なんだが。


ただそれだけじゃJHKとほぼ変わんなくてつまらんっつっておねだりされたりもした。


AIえいの方をチラチラ見ていたのでバズってる件でも聞きたかったのだろう。


まあ、対応の良かったところにはうちの工場で働くロボット達の頑張り具合や優秀さを見ていってもらったが。


受け答えするばかりか指示通り動くロボットたちに頭のいいスタッフは驚愕し、そうでもない奴は今のロボットはすごいんですね〜なんて言ってたな。


あとスタジオ収録と言って招いてくれた呼び付けてきたところもあったが、テレビ局ってところに興味があったので喜んで足を運んだ。


ここで発生するのがAIえいと他の出演者の絡みだ。


内容がエコ関連だからそこまでバラエティ色は無いにしろ、今やニュースですら芸人だってアイドルだって出演している。


なので全く他の出演者と絡まないとは思っていなかったしそうなっても別に構わないと思っていた。


またAIえいが美人広報としてバズっている件に触れてくるところもあったので、そのへんの対応は全部AIえいに任せていた。


大御所に『セクハラです』と言おうが、怒って途中退場しようが何やってもいいぞと。


だが収録が始まるとAIえいは大人しかった。


まるで借りてきた猫のように。


いうて会社やソーラーパネルを紹介するだけ。


グイグイいかなきゃならん芸人でも可愛さアピールしなきゃならんアイドルでもない。


席は用意されていたが、端も端。


自分の出番である『話題の会社』なるコーナーまで自分から話すこともないため大人しくしているしかない。


はずなんだが。


いや、大人しいは大人しいのだが存在感が大人しくない。


まずめっちゃ姿勢がいい。


そして微動だにせず、やはりあの無表情のままなのだ。


となりのアイドルの子はなんなら怯えている。


超絶美人が無言で無表情で誰をも一瞥せずにそこにいるのだ。


気まずいったらないだろう。公開処刑だろうか。


いや、いわゆる公開処刑状態でもあるのだ。


となりのアイドルの子も有名でかわいい、きれいが売りの注目株だ。


だが。


テーブルが緩いカーブの半円状のため一番端にいるAIえいが位置的には手前のはずなんだが、顔、いやもう頭の小ささが違う。


遠近法に従うなら1番デカく映るはずなのだが・・・うん、一番小さいね。


加えて、肌のしろさ、キメ細かさはあの芸能人御用達の変な白いライト未使用でも4K放送の高画質を返り討ちだ。


さらにスタイルもほっそい上にでっっっなのだ。


俺の理想を体現した完璧アバターにスキルで変身してるわけだから、チートもいいところではあるんだが。


これは美容チートとでも言えばいいんだろうか。


ともかく共演女性が気の毒になるレベルである。


まあそんな感じで存在感以外は本当に大人しくしていた。


そして出番が回ってくる。


司会が「新しい方式のソーラーパネルを開発し、今それが話題になっている伊座間製作所の相田さんにお越しいただいてます」


とウチの会社を紹介しAIえいにカメラが向く。


ここでも無表情のまま抑揚なく小声で「よろしくお願いします」と応えるAIえい


どうやってるんだか知らんがめっちゃ聞き取りやすいんだけどな、抑揚のない小さな声なのに。


まあやることはプレゼンとまではいかないが、その絵を貼ってもらったパネルを出して新方式のソーラーパネルの説明をちょっと説明したりするくらい。


なんだが、軽く挨拶したくらいのところで司会の人がしなくていいのに、


「社長さんも応援で見学にいらっしゃってますね」


と振ってきた。


その瞬間、AIえいは今バズっているあの笑顔で俺の方に向かって小さく手を振る。


多くのカメラがめっちゃ一斉にAIえいに向くが、一台だけ俺の方に向く。


そーゆーのいいから。


と思いつつも、とりあえずめっちゃイケメンの顔を作って軽く片手を上げて応えておく。


隣のアイドルの子なんかAIえいにめっちゃ見惚れてるぞ。


と思ったのがAIえいに伝わったのか、カメラがAIえいから外れた隙にアイドルの子の方を向いて更ににっこり。


あっ、と思ったがもう遅かった。


アイドルの子の目は潤み、頬がどんどん上気していく。


おそらく結構な人が気づいただろう。


だって司会は話振らなくなったし、カメラもその子抜かなくなったもん。


本人も自覚があるのか、両手で頬を押さえてうつむきがちだ。


休憩をはさんでようやく赤面が収まったように見えたが、メイクでごまかしてるな。


髪で隠れているが少しだけ見えてる耳がまだ赤いし、AIえいの方をチラチラとしきりに気にしている。




おんなコマしやがったぞ、あのスキルAI






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る