第117話 おっさん、来ちゃった

会見も無事?終わり、試合までオレは穏やかに過ごすことにした。


まあいろいろあったっちゃあったが、会見自体がそもそも非公開と言うか、特に配信するわけでもなし、来ていた記者が取材内容を記事にするぐらいだからあの程度で大ごとにはならないらしい。


まあその辺の記事をしっかりチェックしているボクシング界隈の奴らや、そいつらが発信するSNSをチェックするような奴らの間ではそこそこ騒がれたようだが。


それだって世間的にはプチバズにも届かない。


まあ界隈での騒ぎは大きくなってきてはいるが。


炎上上等な俺としてはもうちょっと騒がれて欲しいがまあ勝ち続ければそれも叶うだろう。


とりあえずは計量もパスできる見通しだし、マジでヨガでもやってようかな。


いきなり今週だけ週三じゃなくて毎日にしたら、女神は怒るだろうか。


ただ、言いたいんだよな。会見のあとは、ずっとヨガをしていたと。


そうすれば藤堂はヨガに負けたことになる、とはならなくても5日間ヨガしかやってなかったやつに負けたことになる。


今日は火曜日で女神のとこに行く予定は無い。


無いんだが、ヨガだけやりに行ってみるか。


そういえば「来ちゃった」してやると言っておきながら、全然その約束も果たせてなかったしな。


そうと決めたら早速俺は、女神の部屋に転移する。


が、留守。


いや留守ってことはないだろうが部屋にはいなかった。


そういえば、ヨガ部屋っていったらアレだがトレーニングルームはそのままなんだよな。


そっちか?


と思いドアを開けて中を覗いてみると・・・


いた。


え、真面目にヨガやってるぞ。


まあ、あのあと何回か一緒にやってるし、そのたび楽しそうに、充実した感じでやってるなーとは思ってたが。


結構ハマってたんだな。


早く痩せたいだけかもしれんが。


そういえば、1人だとタンクトップにスパッツスタイルでやってるんだな。


そこに俺が出ていって大丈夫だろうか。


なんて思っていたら女神と目が合った。


「あっ!どうしたんですか?今日予定の日じゃないですよね?」


特に気にした風もなくこっちに駆け寄り出迎えてくれる。


おぉっ、素晴らしい。


あ、お腹の御肉のぽよぽよ感もちょっと引き締まってきたがまだまだいい感じだ。


もうこのままでいいのに。


「おう、前約束しただろ?来ちゃったぞ?」


「ああ、それですか。ってじゃあダメです。もう一度、やり直してください。

今のじゃただのシンちゃんです」


「ん?まあ、俺はシンだが」


「あ、そうでしたね。

いえ、そうではなく。

その、あなたは女の子に「来ちゃった」を期待する時にさっきの感じで言われて満足できますか?」


「!!」


女神に指摘され、俺に電流走る。


お、俺は何ということをしてしまったんだ。


そうだ、「来ちゃった」には満たさなければいけない条件があるのだ。


まず言い方。


これはまあほぼ恥ずかしそうにモジモジしながら言う『その・・・、来ちゃった』が一強ではあるが、明るい感じの娘が気まずそうに『えへへ・・・、来ちゃった』もアリだし、いたずらっぽく『・・・来ちゃった』もアリだと思っている。


だが間違ってもさっきの俺のような言い方は無しだ。冒涜と言ってもいい。


そして、


前に何かつけてもいい。だがその後、『来ちゃった』の前にはが必要なのだ。


そのにより、無限のイメージが膨らむのだから。


例えば『ごめん・・・、来ちゃった』の場合、『・・・』には、(会いたくて)や(我慢できなくて)、(終電行っちゃって他に行くとこないから)など、何を入れてもよいのだ。


これは受け手の想像もそうだし、言う側が込める想いのどちらにも当てはまる。


さて、やり直しだ。


「じゃあ俺がチャイム―は無いか、ノックすr―「あ、付けますね」」


と女神が言うとあのボタンがドアの横にえてきた・・・


まあいいが。


「・・・じゃあチャイム鳴らすから開けてくれよ」


「はい!じゃあ閉めますね」


女神もノリノリだな。


まず俺がチャイムを鳴らす。


がちゃり、と女神がドアを開け俺に気付く。


「ど、どうしたんですか?」


急の来訪に驚いた感じを出してくる。


マジでノリノリな。


俺は乙女漫画のイケメンばりに開いたドアをガシッとつかみ、


「ごめん、(ヨガがしたくて)来ちゃった」


クールに言い放った。


どうやらこうかはばつぐんで女神は顔を赤らめながら、


「はい、(私もちょうどヨガしてたところです)上がってください」


と招き入れてくれた。




このあと滅茶苦茶ヨガした。





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