魔王退治

魔王対峙

【強くてニューゲーム】

【つづきから】

---------------

第7客室をノックする。返事はない。部屋に入る。

「パクパクですわ~」

「あっ」

間違えてしまったようだ。部屋には、ドレスを着た女性がいた。

「失礼しました」

「貴方、職員さん?」

「ええ、そうですが……」

「ワッフルはいかがかしら?チョコが一番ですわ!」

机にはプレーン、スイート、ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、そしてチョコレート味のワッフルが並んでいた。

……ベリー多くない?

「じゃ、じゃあチョコレートいただきます」

「そうぞですわ~」

「ありがとうございます、それでは……」

「いいってことよ!オーホッホッホッ!ゲホゲホ!」

「大丈夫ですわ、お行きなさい」

「失礼いたしました」


第8客室をノックする。返事はない。部屋に入る。

「あれ?居るなら言ってくれれば良かったのに」

「言ったッスよ!」

どういうことだ?そうだ、防音ルームだから中の声は聞こえないのか。

「勇者クンさあ、最近調子に乗りすぎじゃないっスか?」

ガラの悪い先輩のように凄んでくる。

「あれはシュレが!……そっちこそ!なんで置いていったんだよ!」

「……そうっスね、悪かったっス。ただ、ポータルを人間が通るのはやめたほうがいいっスよ?」

「なんで」

「人間の精神を壊すからっスよ。入ってから出るまでに長い時間を要するっス」

「1年くらい?」

マキナは否定する。

「10年?」

マキナは否定する。

「100年?」

マキナはまた否定する。嘘だろ?

「せ、1000年?」

「その倍っスよ」

「2000年!?不可能だ……」

「だから言ってるじゃないっスか……」

ああ、そうだ。

「通っている間に寝ていれば……!」

「無駄っスよ、二酸化炭素がないのでそれは無理っス」

「……?」

「睡眠魔法の事っスよね?あれは正確に言うのであれば、気絶魔法っスね」

「それがどう関係するんだ?」

「気絶魔法は長期間気絶させ続けることはできないっス。仮に多少強くしても長い時間の中ではほんの些細なことっスね」

「はあー……無理か」

私の浅知恵である机上の空論はマキナにあっさりと完膚なきまでに叩きのめされてしまった。


「あ!1分待ってウェイトて欲しいっス、"礼拝"の時間なので――」

そう言うと、マキナは黙ってしまった。

礼拝?マキナには信仰する神がいるのか。意外だ。

無神論者の私には心底どうでもいいことであったが、1分なら待ってあげることにした。


「お待たせしたっス」

【「なにをお願いしたんだ?」】

良くわからないが興味もないのに聞いてしまった。お願い?

「よくぞ聞いてくれたっすね!」

「あ、ああ……」

「マザー・グル様に"この世界"がもっと良くなりますようにってお願いしたっス!」

「へー、それは良い心がけですねー」


「『朕は貴様を取り込みたい』っス」

「『貴様にチケットを買わせるべきではなかった』っス」


えっ……?

「ち、ちん!?」「急に何言うんすかー、やめるっスよ」

あれ?いや、今とんでもないこと言って。

「貴様って言った?」

「言ってないっスよ?」

「ごめん、それで?」


「都市機能の一体の管理を行っていて、スーパーウルトラすごい超知能AI神!なんすよ――」

ああ、また長話が始まった。


――――


――


「それで、本題なんすけど、これを聞いてほしいっス。」

やっとだ。


「もしかして、隕石ぶっ壊したらいけるんじゃないっスか?」

「「マキナは黙ってて」」

「……はい、っス」

「あ、あああッ!!」

「な、なに?」

「ああああああああああああああがあああああああ!!!!すぐにけせすぐにけせすぐにけせ」

「目から魔王█ームが!?え?」

「マキナ!魔王█ームは魔王ビームではない!記録してくれ!」


「えーっと、なんですかこれ?こんな話をした覚えはないし。誰といる?」

「クラス3暗号化記憶領域にあった記録っス。アッシも記憶にないっスが、魔王と勇者クンもいれて3人の会話と見られるっスね」

「あー、そうですね、そう思います」

魔王ビーム?魔王ビームではない?

「これより前の会話は?」

「アッシも年なんで?」

「年齢の問題じゃないですよね?」

「ぐぬぬ……」

一本打ちとったり!じゃなくて!

マキナさんも記憶が消されるような事態があったってこと?

でも、魔王からビーム(仮)なんて見て……ああ、そうじゃなくて見ると記憶がなくなるのか。おそらく。

「それと、勇者クン。魔王とどういう関係なんスか?指紋フィンガープリントが一致するなんて異常っス」

「あれは私だったもの、だそうですが」

「あー、なんて運命なんっスか!?フィンガープリントが一致するってそういう……」

「って、知ってたんすか!?どうして教えてくれなかったんすか!?」

「伝えるタイミングなかったし」「確かにッス」

「これでシュレ様に対抗できて、正気にできるかもしれない鍵を見つけたっスよ!」

あ、そうだった!シュレが未来でおかしくなるのを阻止するための旅であることをすっかり忘れていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る