即狂むかしばなし! 〜地中からドドドとパイナポォ〜
極楽司狂
れじぇんず邂逅
第一幕 桃が今日、狂狂ぱぁ(1)
むかぁし むかし あるところに おじいさんとタマネギがおりました
おじいさんは山へ鬼狩りに タマネギは川で
「フォーーーーーーーーーーーーーーーーーゥ!」
と雄たけびをあげながら陽気にサーフィンを楽しみました
おじいさんが過呼吸になりながらも全集中し 鬼を一刀のもとに切り捨てていると、地中から、
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドンブラコッッッ!!!
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドンブラコッッッッ!!!!
と爆音を轟かせ、何かがこちらに向かってくるようでした。
おじいさんがおそるおそる音のなる方向へ接近を試みると、
ドドドドドドドドドドドッカーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!
おおきな おおきな パイナポォが大地を割って現れました。
これにはおじいさんもびっくり仰天。
驚きのあまり腰を増やしてしまいました。
おじいさんは増えた腰を巧みに扱い、おおきな おおきな パイナポォを家に持ち帰る事にしました。
おじいさんが家に帰ると、タマネギは「一皮剥けた男になりたい」という考えのもと自分の皮を身が見えるまで剥き続けた結果、大量の残骸だけを残してしんでいました。
おじいさんが残骸をよそに包丁を取り出し、〝俺以外に誰か居たかなぁ?〟と思いながらおおきな おおきな パイナポォを山で鍛えた太刀筋を頼りに一刀両断しようとすると、なんとぎっくり、不意にパイナポォは二つに割れ、
「きのこォーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!食べたァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいッッッッッ!!!!!」
という鳴き声と共に、目ン玉を駒のようにぐるぐる回転させ、口からは泡を吐いた、それはそれはたいそう元気な赤ん坊が現れたではありませんか。
おじいさんは、びっくり仰天。
驚きのあまり、腰が元に戻ってしまいました。
おじいさんは、その赤ん坊に、「
覚えていた最後の食事が、4日前に食べた桃だったからです。傍で倒れているパイナポォの残骸の事など、今や綺麗サッパリ忘れてしまいました。
おじいさんは、桃我狂を愛情込めて育てました。途中、桃太郎が女性であった事に気が付きましたが、まぁいいかと思いました。
おじいさんはパイナポォから生まれた桃我狂に、得意料理であるタマネギのプディングをよく作り、それはそれは大切に育てました。
その結果、
「きィーーーーーーーッのこ!のォーーーーッこのこ!さーーーーッかなぁのッこォーーーーーーーーーーーーーーー!!
ドォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッッッ!!!」
家をボールに蹴鞠する程、元気かつ強靭な子に育ちました。
おじいさんは、凄まじい風圧と共に猛スピードでせまる桃我狂の蹴ってきた家を片手で受け止めると、
グワッと太陽のもとにブン投げ、
ズドォンと地響きを起こしながら元あった場所に着地させると、
桃我狂の桃の葉のような鮮やかな緑色の瞳を見つめ、言いました。
「桃我狂や、最近鬼々山のモノ共が村や街でFUNKY《ファンキー》の限りを尽くしておる。
陰キャにとってはまるで地獄の獄卒の様じゃ。ちとブッ飛ばして掲示板で晒してくれんかの?」
「おェーい。いってくらぁー」
桃我狂は、眠そうに目を擦りながら言いました。
常に半目でやる気が無さそうに見えても、心はフルスロットルそのものです。
桃我狂は、
右目にかかった茶色の髪をかきあげ、
後ろ髪を軽く纏め、
例の衣装に着替えると、
腰に掛けた刀とハンドスピナーだけを持って出発しようと歩き出しました。
おじいさんは、ボコっと地中から桃我狂の目の前に現れると、
「旅をするならこれを持っていきなさい。キビッキビにキマるきび団子じゃ」
と言って、キビッキビなきび団子と家紋を持たせました。
「...ンうェーーい。じゃ行ってくらァーーー」
桃我狂はうっすら微笑むと、今度こそ鬼ヶ山に向けて出発しました。
しばらくして、桃我狂が歩いていると、犬が現れました。
「もーーもたーろさんもーーもたーろさん、お腰に付けた、きび団gごおォふゥゥッッ!!!??」
桃我狂は、無言で犬を殴り飛ばしました。
犬の顔面はひしゃげ、血飛沫が舞います。
「...俺ェ犬、きらいぃーー。……特に、おまえみたいなの」
桃我狂がそう言うと、犬は突然、その場でガクガクと身体を激しく痙攣させました。
その動きは、脊椎動物としての骨格を完全に無視した、極めて不気味で不自然なものでした。
「モ」
「ヒ」
その眼光は焦点が定まっておらず、壊れたコンパスの様にぐるぐるぐるぐるまわっています
「セ」
しばらくして、地の底から響くような、恐ろしい声を発しました
「モ゛
タ
も゛ ロ゛
ざ ン
オ じ
ゴ
に つ
ケダ
キビ 」
犬の周囲に禍々しい邪気が発生し、それは次第に犬の中へ、身体中の穴という穴から注がれました。
目は飢えた狂犬病の犬の様に紅く血走り
体毛は黒ずんだ心を表すかの様に変色し
この世の全てを平らげたい欲求が剥き出しになった様に口からは消化液が湧き続け、夏のゴミ捨て場の様な異臭を放ちます
そして
「.....……ヒドヅゥ゛ゥ...う゛ァダジに゛ィ゛...!」
身体は欲望と悪意と共に大きく膨れ上がり
「…………寄ォォォォォォォォォ越ォォォォォォォォォォォゼェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェェェェェェェェェェェェェェェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッッ!!!!」
耳をつんざく咆哮と共に、大仏程の大きさの大犬へと変貌しまいました。
辺りには黒い風がなき、暗雲が立ち込め終わりの見えない闇が世界を覆います
「モ゛ォォォォォォモダロザァーーーーーーーーンッ!」
大犬は、何十倍にも巨大化した漆黒のツメを、空間すら闇に帰す程の風圧を以て、付近の居住区目掛けて振りかざそうと
「ブゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
ドッカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!」
桃我狂の華麗な飛び蹴りをみぞおちに
ドガァァァァァァン!
とくらいました。
「!?グギャァァァァァァァァァァァァ!!?」
あまりの衝撃に、大犬は目を見開いて黒い血をゲボァと吐き出しました。
桃我狂は宙返りしながらズダンと着地すると、大犬の顔面を見上げ、桃の葉色の瞳をギラリと光らせると、高らかに叫びました。
「うっせェーーー黙って聞きやがれノラ犬ふぜーがァ!俺ェの名はァ!偶然生まれた桃我狂!悪鬼退治のォーーーーーーーッ!」
再び犬鬼がグアッとツメを振り下ろしたかと思うと、瞬き一度の間もなく自慢の刀を抜き、ズバァと一閃!
「ギャアアアァァァ!?」
桃我狂は刀を片手で軽くブンと振り、血飛沫を散らすと、右目まで掛かった前髪を激しく揺らし、元禄見栄を派手に切った。
「ア゛、はァじまりはじまりィィィーーーー!!!」
そう名乗りを挙げるや否や、桃我狂は強大な大犬目掛けて、勢い良く放たれた矢の如く、飛びかかった!
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