09.お部屋を探検した
お父さんとお母さんが遠くへ出かけたなら、いっぱい時間がかかると思う。だからディーとお風呂に入って寝ることにした。お部屋は広くて、隣にベッドもある。扉がいくつもあって、全部開けてみた。
「ここは?」
ディーが開いた扉の先は、お風呂があった。一緒に入るけど、もう少し後で。開けたままにして、次はトイレ。魔法がかけてあるから、流さなくても綺麗になると教えてもらった。これ、僕のお家のと同じだ。
こっちの壁は終わりで、右に曲がると窓があった。でも大きな窓で、僕の足の先からディーに抱っこしてもらわないと届かない高さまで。ここはお外へ出る窓なんだって。外にはお庭があって、いっぱい花が咲いていた。
いくつもある大きな窓を通り過ぎて、突き当たりの扉の先はベッドのお部屋だ。ここは最初に見せてもらった。でもこのお部屋の奥にも扉があるの、僕、見つけちゃったんだ。振り返って首を傾げる。頷くから、走っていって扉を押した。
「開かない」
「これは逆だ」
ディーが引いたらすぐに開いた。お洋服や道具がいっぱい。銀の太い棒だったり、ベルトや革の長い靴もある。きょろきょろして、ぱたんと閉めた。ここはディーのお洋服置き場だね。
「そうだ、賢いな」
ぐりぐりと頭を撫でるディーへ、得意げに胸を張る。僕もお洋服の部屋を持っていたの。だから知ってるんだよ。そう褒めたら、僕の服を取りに行ってくれるみたい。お父さんとお母さん、渡さなかったのかな。
お風呂の間にアガリが持ってきてくれると聞いて、安心した。お風呂入っても同じ服着たら、また汚れちゃうもん。今の僕の服は、あの石のお部屋で着せられた布だった。薄くて寒くて、なんだか汚い。
手で掴んで確認して、お風呂に入って洗わないといけないと気づいた。ふかふかの絨毯があるお部屋なのに、僕が転がって遊んだら汚れちゃう。
「ん? 子供なのにしっかりしてるな。汚れるくらいいいぞ」
でも、僕が嫌なの。そう言って手を引っ張る。歩く途中で、左側にまた扉を見つけた。周りに何も置いていない場所に、ぽつんとある。お風呂と扉を見比べた僕に、ディーが開いてみせてくれた。
細長い廊下がある。あの石のお部屋の外と同じだ。歩くためのお部屋だよね。首だけ出して見回した僕は、扉の近くに立っている人にびっくりした。尻餅つきそうな僕を、ディーが抱っこする。
「護衛だ、強いんだぞ」
ディーがそう告げると、お兄さんは笑ってぐっと腕に力を入れた。ぼこっとお肉が動く。すごい。あれはお父さんもやってたけど、ぶら下がると楽しいんだよ。知らない人にお願いしていいのかな。
もじもじした僕から理由を聞いて、ディーは頷いた。でも最初にディーの腕から挑戦、硬いし揺れるのも楽しい。交代で、護衛の人もお願いした。ゆらゆらする間に、お肉が動いてしがみついちゃった。
「ありがと」
お礼を言って手を振り、扉を閉める。ずっとあの場所にいるのかな?
ディーと一緒に、今度こそお風呂の扉をくぐる。
「うわぁ……」
着替える部屋から覗いたお風呂は、びっくりする大きさだった。
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