幻と現実

琥珀

夜明けのキャンバス

 目を開けると灰色の世界が私を照らす。

白い君と黒い君、僕の目に映る君は何色だろう。

 何色でも構わないと始めは思っていた。いや、今思うと君を見つめすぎてはいけないと自分に思い込ませていたと思う。一度白色だと思い込んでしまうと、白の脅威をも知らずに白色が世界一美しく、輝いて見えてくる。その白色に染まる日常が、最初で最後の、理想と現実が重なった瞬間であることを、この時はまだ知らない。

 辺り一面、真っ白の雪に飛び込んだ僕は間違いだったのだろうか。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幻と現実 琥珀 @harry0731314

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ