全知全能の洗礼
ヤントイッヒ。
それはルアル文明に属するとある文明宇宙で誕生した、全知全能の神という概念である。
その宇宙では、知的生命体の信仰が神秘を生み出すという『物理法則』が存在していた。暗闇を恐れれば闇という『無』から魔物が生まれ、太陽に三本足のカラスがいると信じれば恒星内で怪鳥が羽ばたく。想えば全てが成り、想えば全てが果たせる。夢のようでもあり、悪夢のようでもある宇宙だ。
ヤントイッヒは『全知全能の神』という信仰から生まれた。故にその存在は全ての宇宙が誕生する以前からあり、尚且つ未来の全てを知っている。知的生命体の信仰から生まれたのに、宇宙誕生前に存在するのはおかしくないか? そのような疑問に意味はない。知的生命体がいると願ったから時を遡って生まれただけの事。真なる神秘には理屈も整合性も関係ないのだ。
無限の力を持つギガスも、自身に勝利をもたらすタナトスも、全知全能たるヤントイッヒからすれば有象無象と変わらない。ルアル文明が誇る最後にして究極の切り札――――それが全知全能神ヤントイッヒである。
全知全能であるヤントイッヒは極めて傲慢であるが、されど同時に知的生命体には寛容な『善神』でもある。知的生命体への過度な干渉は好まず、幾億の民が助力を願えども簡単には力を貸さないが……本当の危機となれば自ら動き出す。
今回のような宇宙の危機であれば、ヤントイッヒもまた本気で対処する。
そう、本気で対処していた。
【気に入らない】
だからこそ、善神ヤントイッヒはそのような『感情』を抱いた。煌々と輝く人型の光(この宇宙の知的生命体が全知全能の神をそうイメージした)が苛立ちを示すように揺らめく。
ヤントイッヒは全知全能である。
全知とは全てを知っているという事。これは宇宙が辿ってきた歴史を全て把握し、全ての生命の行いを知識として記憶している……というだけではない。未来に起こる事も全て把握しているのだ。だからこれから何が起きるのかも全て分かっている。平行宇宙だろうが多元宇宙だろうが運命を変える存在だろうが関係ない。『全て』とは、それらを含めた『全て』なのだから。
そして全能とは全てを行える力だ。全知全能が存在しない証明として「自分に持ち上げられない重さの石を生み出す」というのがある。持ち上げられないなら全能ではないし、生み出せないならやはり全能ではない、というロジックである。だが真なる全知全能にそのような小手先の『いちゃもん』は通じない。『持ち上げられない石』と『持ち上げられる力』が同時に存在すれば良い。全能の力の前では、言葉上だと矛盾するものの存在さえも許容される。目の前で披露すれば、観測者は二つの現象を同時に目撃し、同時に正しい事を理解してしまう。
全知全能とはそのような力だ。必ず勝利する能力を持つタナトスであっても、ヤントイッヒに挑めば勝利と同時に全滅する。何かがおかしいと誰も思わない。そういう結果を生み出せるのが全知全能なのだから。
当然侵入生物が相手でも、その全知全能は発揮される。五千万もの宇宙に匹敵する大群だろうと、ヤントイッヒの前にはアリの行列と変わらない。全滅させるだけの力を過不足なく振るった。
なのに奴等は――――侵入生物は生き延びている。
おかしな点はそれだけではない。そもそもヤントイッヒは侵入生物について知らない。ルアル文明の科学者により解明された事柄は余さず知っているが、それだけなのだ。これまで奴等が見せてきた能力や、今どのぐらいの個体がいるのか、その個体差はどの程度なのかという事しか分からない。他に隠された能力はないか、その起源はどんな存在なのかなどは不明なまま。全容がまるで掴めていないのである。
全知全能であるヤントイッヒに知らない事があるなど、『論理的』にあり得ない。何故ならヤントイッヒは全知なのだから。例え別宇宙の存在であろうとも、例外とはならない。宇宙が幾つあるのかすら知っている。なのに、侵入生物の故郷が何処にあるのかさえ分からない。
ヤントイッヒがこれまでルアル文明の表舞台に出てこなかったのは、ルアル文明を脅かす文明も生物もいないと知っていたからこそ。もしも知っていたなら、それを乗り越えるために全知全能の力が必要であるなら、ヤントイッヒはたっぷり傲慢に振る舞いながらも力と知識をとっくに貸している。
本来ならば、侵入生物のような存在はあり得ない。
それでも全能の力を活用して観測を行えば、理屈はどうにか分かった。侵入生物達は『説明不能』な力に対する感受性がない。タナトスの力を無効化した時のように、真に説明出来ない、自身では及ばない力は一切通じない性質を持つ。
全知、理屈もなく全てを知る事も侵入生物達からすれば『説明不能』の力だ。すると侵入生物達は、その全知に含まれない。全知の力を受信しない=全知も侵入生物を捕捉出来ないからである。
結果として、侵入生物の存在をヤントイッヒは知る事さえ出来なかったのだ。
……それを差し引いても、こうも分からないものかとも思うが。確かに理屈上全知に含まれないだろう。だがそれならば、侵入生物は全知の対象外だと知っていなければおかしい。全知とは本当に全てを知っているのだ。知らない事がある事も知っていなければ矛盾してしまう。
調べれば分かったが、言い換えれば調べるまで分からなかったとも言える。他に何か隠されたものはないか『全能』の力で観測したところ、特になし、との結果が得られたが……その全能の直感が訴える。「まるで信用ならない」と。
全能で得た結果に、全能が不信感を示す。いくら言葉上の矛盾など関係なく機能する全能でも、全能の結果が矛盾するのは流石におかしい。何かしらの、それこそ全知の対象とならなかった時のような『小細工』をされているのではないか。
挙句、今や侵入生物達は自分と同じ『次元』に立っている。全知全能以外には立ち入れない領域なのに。
【知性なき愚物が、我と同じ位置に立つとは】
目の前にやってきた侵入生物に、ヤントイッヒは侮蔑の言葉を投げ掛けた。
侵入生物は返事をしない。彼女達にそれだけの知性がないのもあるが……それ以前にヤントイッヒを前にした途端、何故か巨大な肉塊へと変貌したからだ。全長十万光年もの巨体がぐちゃぐちゃに潰れ、今や直径五万光年の不格好な塊である。
肉の表面は脈動するように動き、生きてはいるらしい。だがそれ以外の行動は、ヤントイッヒの全能の観測を用いても確認出来ず。
わざわざこの場に乗り込んできたのだ。その目的が敵であるヤントイッヒの排除ならば、普通なんらかの行動……攻撃などがある筈。ところが侵入生物は肉塊となった後は、ぐねぐねと蠢くだけでこれといった行動を取らない。元々侵入生物には知性など感じられなかったが、今や本能すら見られない有り様だ。
一体、コイツは何をしているのか。
ヤントイッヒには分からない。全知全能であるにも拘らず、侵入生物の今の気持ちや目的を知らなかった。本来ならば今と過去だけでなく、未来の存在が抱く感情さえも知っている筈なのに。
ただ一つ言える事があるとすれば、侵入生物の『目論見』をわざわざ待ってやる必要はないという事だ。この形態の目的が攻撃にしろ防御にしろ、そのままにしておけば都合の悪い展開になる。その予感だけは、全知の力がハッキリと教えてくれた。
【光あれ】
創造を意味する言葉が、ヤントイッヒから発せられる。
瞬間、世界は光に満ちた。
光の氾濫だ。しかし高出力の光エネルギーではない。触れたもの全てを焼き尽くす『全能』の光である。
ただの光エネルギーであれば、例え宇宙を焼き尽くす出力であろうとも侵入生物は吸収し、それを糧にして増殖する事が出来た。されどヤントイッヒが繰り出した光は性質が異なる。全能の力を帯びたそれは、吸収されて性質が変化する事を拒むのだ。
結果、本来ならば餌に過ぎない筈の光が侵入生物達を焼いた。焼く、という表現が正しいかは甚だ怪しい(光に飲まれた物質は新たな光と化していた)が、そう例えるのが起きている結果を言い表すのに一番適している。直径五万光年の巨体は眩い光に包まれ、
このまま消え失せろ。ヤントイッヒはそのつもりで力を使っていた。
だが、侵入生物達は消えない。
最初は為す術もなく焼かれていた侵入生物だったが、どうやら『対抗措置』を講じてきたようだ。具体的には浴びた光を吸収した後、変換などの処理を経ずそのまま体外へと排出……要は素通りさせているらしい。
受け止めようとするから焼けるのであり、無視するのならダメージはない。理屈としてはこんなところか。無論全能であるヤントイッヒの力は、こんな小手先の方法でどうにか出来るものではない。しかし現に侵入生物は、全能の力をこの単純なやり方で無力化していた。
なんにせよ光による攻撃は通じなくなった。ヤントイッヒは次の手立てを講じる。
【遡れ】
命じた瞬間、狂い出したのは時間。
時間が『逆行』を始めたのだ。ルアル文明の技術でも、時間を巻き戻す事は出来る。しかしヤントイッヒが行ったのは、世界の『流れ』を遡らせる事。全ての時間が、過去に向けて流れ始めたのだ。
また時間とは通常時空における座標を示すものだが、ヤントイッヒが居座るこの高次元では、ヤントイッヒの意のままに時間の定義が行える。この領域に時空は存在せず、過去と未来は概念的なものに過ぎない。
時空さえ自由に行き交う侵入生物の身体も、過去へと遡っていく。蠢いていた身体は徐々に解れ、無数の個体の状態に戻りつつある。巨大な塊だからこそヤントイッヒの放つ力に耐えられたが、バラバラになればその耐性は失われる筈だ。更にヤントイッヒはダメージだけは逆行させない。つまり光などで失われた分は戻らず、侵入生物はただバラバラにされていく。
そして耐性さえも巻き戻す。
ここでもう一度光を使えば、今度こそ全てを焼き尽くせる。そうはさせまいと慌てて抵抗性を再獲得する事もない。何故なら記憶さえも逆行させたのだ。この攻撃に耐えても、また時間を巻き戻し、再び光を使えば良い。退屈なやり方だが、これで確実に討ち滅ぼせる……
ところがヤントイッヒの思惑を、侵入生物は打ち破った。
時間遡行に歯向かい、状態を前に進めてきたのだ。一体何をしたのか。ヤントイッヒが見れば、全てが明らかとなる。
どうやら侵入生物達は、自分の内側に独自の『時間定義』を構築したらしい。その時間定義はなんらかの数式的な表現をされており、物理法則に縛られていない。
ヤントイッヒであればその定義を解読し、それに合わせた時間逆行を行える。だが侵入生物はその時間定義を、ごく短時間で更新していた。一回一回の変化は小さなものであるが、ランダムであるため予測出来ない。どんな乱数を使おうと全知であるヤントイッヒに予測出来ない数値など本来存在し得ないが、侵入生物達は全知から外れる方法を身に着けている。お陰で次の数式がどうなるか分からず、全く対応出来ない。
驚くべきは、時間逆行を受けた後にその適応を行っている。時間逆行を受けたのならば、本来記憶も巻き戻っている筈なのだ。何かされた事すら覚えていないのに、どうして適応しているのか。
そして侵入生物達の集まりは、これでもう遠慮はいらないとばかりに激しく蠢く。肉塊状の身体を膨大なエネルギーが駆け巡り、大胆に代謝・消費していた。肉塊自体急速に萎んでおり、ヤントイッヒの前だと言うのにエネルギーをどんどん消耗している。
それがなんらかの準備なのは、例え全知を使わずとも窺い知れる。そのままにすれば、侵入生物は目的をすぐに達成するだろう。
【動くな】
ヤントイッヒは、その行動自体を阻害する。
侵入生物達はその動きを止めた。蠢く肉塊が完全に静止する。
全能の力は運動の概念さえも操作する。前に進む、後ろに下がる……その座標的な『概念』を消し去ったのだ。最早どれだけ運動エネルギーを生み出したところで、この世界で物体が動く事は出来ない。
そしてこれは時間停止ではなく、動くという概念そのものの消失。アクションゲームの世界で、ジャンプという機能を削除するようなものに等しい。最早ボタンを押そうが、ジャンプ台を踏もうが、どうやってもゲームキャラは飛ばない。
更にエネルギーの循環など、生命活動も止めてしまう。時間は止まっていないのにエネルギーは巡らない。いずれ全細胞が機能を維持出来なくなり、そのまま死に至る。
……筈だった。
だが侵入生物の集まりは、再び蠢き始めた。最初は弱々しく、だけど段々強く。最後は先程までと変わらぬ勢いで。
これにはヤントイッヒも困惑する。『動く』事のない世界で、何故動いているのか。矛盾を無視出来る
理由を探れば、やはり答えはすぐに分かる。
侵入生物達は動いていない。自身の活動を『動く』のとは別のものに再定義し、それで活動を維持しているのだ。先のアクションゲームの例えを使えば、物理演算やダメージ演出を『ジャンプ』の代わりとしているようなもの。
このような真似が出来るのも、侵入生物達が量子ゆらぎを操れるからだ。物理法則の創造・改変が出来るのならば、独自解釈だってお手の物。これにより全知全能を上書きしている――――
なんて、これだけで納得出来るものではない。
量子ゆらぎの操作など、ある程度発展した文明ならば可能な行いだ。だがそれが全知全能を超えられないのは、全知全能が『無限』の力でもあるため。全てを含むがために無限でもあり、有限の操作を遥かに上回る力で塗り潰す。
つまりは力押しだ。量子ゆらぎを操り、クリエイションエネルギーという無限のエネルギー源を手にしたルアル文明であっても、ヤントイッヒの全能は止められない。だというのに侵入生物達は難なく対応している。
その理由も全知故にヤントイッヒは理解出来た。これもまた説明不能に対する感受性がない事に起因する。侵入生物達が物理法則や概念を書き換えた領域自体が、説明不能の力への抵抗性を持つのだ。即ち侵入生物本体だけではなく、その生活空間さえも説明不能の力を拒絶している。
あらゆる『不思議』や『奇跡』を許さない。それが侵入生物達の故郷に満ちる物理法則なのだろう。世界だけが相手なら、ヤントイッヒの力で問題なく改変出来るが……侵入生物達がその性質を補う事で相殺し、無効化出来るという訳だ。
――――尽く、全知全能が打ち破られる。
ヤントイッヒが超越的だからこそ、その力が通じない。これが相性の悪さかと、今まで無縁だった存在にヤントイッヒは感嘆する。そういった気持ちも全知全能故に知っているが、眼前の存在に対し心から感じたのは初めての体験だ。
しかし焦りはしない。
『絡め手』が通じないのであれば、ただ大きな力で滅すれば良い。それこそ、侵入生物にも理解出来る形で。
【滅べ】
ただ一言、ヤントイッヒはそう述べた。
それで全てが終わる。
放出されたのは『滅びの力』。どんな生命も、文明も、逃れられない終わりの力である。全てに共通するものという意味では、全能の根源に特に近い力の一つだ。
それは何時か訪れる『終わり』の状態へと遷移させるもの。
死などという生温いものではない。終わりを迎えたものは何一つ、情報も痕跡も残さずに消えてしまう。更にこの力はその存在が内包する『終わり』を利用しているためどんな存在でも、例え不老不死だろうと抵抗性を持たない。そして状態の書き換えと違い、そこに向かう性質を強化するだけなので『滅びの力』自体を打ち消す事も不可能。
この力を、ヤントイッヒはほぼ加減なしに放った。本気でないのは、有り余る力がルアル文明さえも終わらせてしまう事を防ぐため。だがその限界に位置する量で力を発している。加えて無限の性質と有限の性質を両方持たせており、どちらに耐性があろうと効果を発揮するようにしていた。
一分の隙もない、全能が放つ力。一体化した侵入生物達でさえも、それは耐えられないものだった。
侵入生物の身体が瞬く間に消し飛ぶ。
いや、力から逃げようとして肉塊状の身体を仰け反らせたのだ。全ての個体が、此度の攻撃がどれだけ危険なのかを察したのだろう。しかしもう手遅れである。全能のヤントイッヒが用いる力は、『命中』しているという概念的性質を持つ。発動したのと同時に命中しており、躱す事など出来ない。
全身を満たす滅びの力により、侵入生物達の身体は光輝く未知の粒子に変わる。力から逃れるためか激しく藻掻き、量子ゆらぎ操作の力をフルパワーで発動させているが、如何に侵入生物でも死ぬ事がある以上滅びの力は塗り潰せない。
侵入生物達が消えていく。
これで勝負は付いた。ヤントイッヒは、全能の力は、ついに侵入生物を打ち倒したのだ。とはいえ全知全能であるヤントイッヒにとっては、既に知っている結果である。当然の結果に喜びなんてものは湧いてこない。予想外は幾度もあったが、この結末は分かっていた。
ともあれこれでルアル文明を脅かすものは、跡形もなく消えた――――
【……馬鹿な】
その筈なのに、ヤントイッヒは『驚き』の感情を持つ。
知っている。
ヤントイッヒはこの結果を知っていた。本来ならばそれは驚くに値しない。何故なら全知全能であるヤントイッヒにとって、全宇宙の過去現在未来に起こる事は既知に過ぎないからだ。
しかしヤントイッヒは、侵入生物について知らない。
知らなかった。少なくとも今まで見せてきた行動以外は、どんな秘密があるのかさえも分からない。だからこそ全知が通じず、今まで行った攻撃が度々破られる……『不足』のある結果に終わった。知っていた筈の結果が、何時も違うものだった。
なのに、どうして今この結果だけは知っていたのか?
知っていた原因は予想が付く。侵入生物がろくな抵抗を見せなかったからだ。しかし何故抵抗しなかったのか。あまりにも滅びの力が圧倒的だから流石に出来なかったのか? そうかも知れない。だが今まで予想外のやり方で、何度も生還してきたのが侵入生物。最終的には滅びたとしても、ろくな抵抗すらないのは奇妙を通り越して怪しさすら感じる。
嫌な予感がした。
本来全知であるヤントイッヒは思考など必要としないが、されどこの『未知』に対しては無限の知識を動員して原因を探る。全能故にその思考速度も無限大であり、あらゆる可能性が閃く。
そして閃いた可能性の一つが的中した。
今いる侵入生物の身体から、エネルギーが枯渇している。抵抗出来なかったのではなく、抵抗するだけの体力がなかったから何も出来なかったようだ。
【――――面白い】
故に、ヤントイッヒは『微笑み』を浮かべる。
あらゆる宇宙開闢の遥か以前より存在し、全ての歴史と将来を知るヤントイッヒ。その意識の向き先は、全て消え去った筈の侵入生物達の中心部。
ただ一匹だけ、体長十センチの生き物がいた。
黒い身体をしていた。脚のないイモムシのような胴体、口を持たない丸みのある頭部、背中から生やす肉質の四枚翅、細長い二本の触角……それらはいずれも侵入生物の特徴。やや触角と翅が短く、身体が小さくなった事を除けば今までの侵入生物と一見変わりない。
だが、ヤントイッヒは侮らない。
そいつこそが何万もの宇宙に匹敵するエネルギーを吸い尽くした存在であると、神の身に宿る全知は今、ようやく理解したのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます