妹の親友とは秘密の関係なので ~押入れの中で密着ひそひそデート~
丸焦ししゃも
01_プロローグ 押入れの中で
「先輩、私たちの交際、妹ちゃんには秘密にしませんか?」
◇
「せーんぱいっ! 来ちゃいました!」
「こんなの妹ちゃんに見つかったら怒られちゃいますよね」
「妹ちゃんに黙って、先輩のお部屋にお邪魔するだなんて……」
「だーめです! 絶対にまだ言っちゃダメですからね。私たちが付き合っているのを知ったら絶対に妹ちゃんがショックを受けちゃうので!」
「だって、先輩の妹ちゃんと私は幼馴染でもあり親友なわけですし……」
「それに先輩は本当に鈍感なんですからっ!」
「そんなんだから何年も私の気持ちにも気づいてくれないんですよ」
「子供の頃から何回も妹ちゃんと遊びに先輩の家にお邪魔していたのに!」
「お泊りだって何回もしているのに!」
「先輩のお父さんに連れられて、子供の時にみんなで海に行ったこともあるじゃないですか!」
「全くもう……」
「……えへへ、半分冗談です。こうして先輩と付き合うことができて今はとても幸せです」
「妹ちゃんにはとても悪いなぁと思っているのですが……」
「自分の気持ちに嘘はつけないです」
「はい、その妹ちゃんは今日は塾ですよね。妹ちゃんが帰ってくるまでには私も帰りますので」
//SE 玄関のカギを開く音
(妹が家に帰ってくる)
「あれ……?」
//SE 階段を上る足音
「い、妹ちゃんもしかして帰ってきちゃいました!?」
「先輩! 早く隠れないと!」
//SE 押入れを閉める音
(二人で自室の押入れに隠れる)
※ここから女の子の声は全てひそひそ声
「す、すみません……咄嗟に押入れに隠れてしまいました。先輩は一緒に隠れてなくても良かったのに……」
「きょ、今日は塾で遅くなるって聞いてたんだけどなぁ」
「だ、大丈夫ですよ。靴は持って上がってきたので」
「荷物は先輩の部屋に置きっぱなしですが……」
「……妹ちゃんって、勝手に先輩の部屋に入ってきたりしませんよね?」
「で、ですよね……! 普通は勝手に入ってこないですよね」
「それなら安心ですが……」
「……」
「ふぅ……」
//SE 作業音
(隣の部屋で妹が何かをしている)
「い、妹ちゃんが遠くに行くまで一応隠れてますね……」
「ふぅ……」
※しばらく押し殺したような呼吸音が続く
「……どうして妹ちゃんは帰ってきたんでしょうか? 忘れ物かな?」
※さきほどの呼吸音が次第に普通の呼吸音に戻ってくる
「……先輩」//耳元で囁くように
「こんな風に、狭くて暗い所に二人でいるとドキドキしませんか?」//楽しそうに
「ハラハラもしちゃいますけどね」//声が耳元に近づく
//SE 衣擦れの音
(彼女が自分の肩に頭をのせてくる)
「えへへ、先輩の肩に頭をのせちゃいました」
「明るいと恥ずかしくてこんなことできないので――」
//SE 唇の開閉する音
(リップ音が聞こえるくらいの距離感に)
「昔はこんな風によく三人でかくれんぼしてましたよね」
「今は昔と違って、とても悪いことしている気分です」
//SE 衣擦れの音
「……」
「先輩、私、もっとくっつきたいです」
「ダメですか……?」
//SE 髪が衣服に当たる音
(彼女が肩にのせた頭を少しすりすりしている)
「ふぅ……ふぅ……」
※彼女の呼吸音がしばらく耳元で聞こえる。
「少し……暑くなってきましたね……」
「やっと……先輩と恋人らしいことできてますね……」
//SE 階段を下りる音
(押入れの中にいるので音は遠め)
「……あっ! 妹ちゃん行ったかな?」
「ふぅ、ふぅ」//呼吸音(息を整えている)
「ふぅ……」//少し大きな声に戻る
「あ、汗かいてしまいました……」//恥ずかしそうに
「先輩、私たちこれからは妹ちゃんに見つからないようにデートしないとですよね」
「そこで実はいいアイデアがあるのですが……」
//SE 押入れを開く音
※女の子の声が元の音量に戻る
「今度、一緒に漫画喫茶行ってみませんか?」
「個室なら誰にもバレないと思いますので」//はにかむような感じで
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます