第115話ロープ。

「おう任せろ!」


言う者。


「手伝わせて!」


言う者。それぞれが快く引き受けてくれた。


「あっ。そうだ。新葉君。朝陽君達が釣り勝負をした時の日に川の途中でペットボトルが沢山捨ててあった所が会ったよ。さほど、遠くじゃ無い。そこに取りに行って来るよ!」


陽斗君と壱平君が思い出して取りに行ってくると言う。


「有難う。頼むね!」


新葉はその言葉を聞いて喜んだ。


「あっ。そうだ。イタズラする為に仕掛けに使ったロープがあった。取ってくる」


言って、小野君と富岡君(E組)が場を離れて取りに向かった。生徒達は川の端と端に分かれて打ち合わせが始まった。


「僕の声が聞こえるかい?」


新葉が大きな声で喋った。川の濁流と激しい雨の音で耳が支配される。それでも、新葉の声は通り皆んなの耳に入って来たのだ。


「聞こえてるよー!」


女の子の声が聞こえた。


「おい。何やってんだよ。早く助けを読んで来いよ! お前ら何かに何が出来るって言うんだよ。余所者何かに助けて貰うかよ! 早くしろよ!」


四人は震える声で叫んでいる。


「心配しないで! 先生達には呼びに行って貰っている。直ぐに助けるから、もう少し待ってて! それともう時間が無い。今助けないと皆んなが危ない。もう直ぐ、ここは氾濫危険水位だ。僕も以前岩の上危険水位で怖い目にあった事がある。どんなに怖かったか! 恐怖だったか、僕は知っている。今は僕達の前であっても強がりしなくていいから! 必ず助けるから! もう少し頑張ってしがみ付いてて!」


新葉は掻き消される轟音の中、力いっぱい叫んだ。


「うるさい。怖いもんか! 余所者のくせに偉そうに言うな!」


四人はそれぞれ、言いたい放題言った。新葉は淡々と行動を示し、四人の救出に走った。


「皆んな。聞いてくれ! ロープが届いたら、大きな木に縛って欲しいんだ。葉っぱの青々と茂っている物が良い。枯れた木はダメだ!」


新葉は言った。新葉は近場の仲間にも同じ様に説明する。


「おーい。ロープ取って来たぞ! 捨てて、あったペットボトルも有りったけ持って来たから、使ってくれ!」


取りに行った小野君と富岡君が必要な物を取りに行って戻って来たのだ。

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