第114話必ず助ける。

「助けてくれ! 立原君が足を滑らせ川に落ちた。助けようと川の下まで下りて来たんだけど、突然川の水が増えて動けなくなった。立ち往生しているんだ」


木村君がそれに答えて助けを求めた。


「今、助けてやるからな!」


H組朝陽君が元気を付ける言葉を伝えた。


「有難う。助けに来てくれて! 猪が出たんだ。逃げようと思って逃げたら、川に落ちちゃって、こんな事になっちゃった。僕らが悪かったです。ごめんなさい。なんて言うと思うか⁈ 余所者なんかに助けられてたまるか! ずっと、恩を着せられて生きて行くなんてごめんだ。オレ達は助けを待つ!」


立原君が足を押さえて言った。


「おい。時間が無い。益々増えて行くぞ。その場所はいずれ、水没するぞ。早く離れないと助からないぞ!」


河岸に居た子が叫んで言った。


「余所者何かに助けられてたまるか?」


他の三人も拒む。


「うぬぬぬぬぬ。むむむむむむむむむむ! たくっ。なんて奴らだ。こっちは助けてやろうって言ってやってるのに〜。くぅぅぅぅ。クソッタレが可愛くねー! こんな奴ら助ける必要ねー!⁈」


むず痒そーに体を捻り、イライラを抑える樹君の表情がそこにはあった。


「まあまあ。樹君」


新葉は樹君の気持ちを察する。そんな中、益々増えて行く水位。


「必ず、助けるから、頑張ってて!」


新葉は大きな声で叫んだ。新葉は仲間に向き直り仲間に伝えた。


「一人は先生に伝えて欲しい。三人はお店に行って、二リットルのペットボトルを貰って来て欲しい。浮袋替わりにするんだ。ロープも頼みたい。残りの人は三手に分かれて川の端と端で向かい合った形で助けて欲しい。僕のパパから、お爺ちゃんがお兄ちゃんの友達を助ける時の事を聞いてるんだ。どれ程荒れてる川が恐ろしいか? 困難か? それでも救いたいか? 皆んな皆んな聞いたんだ。だから、皆んなにも協力して欲しい。一人じゃ無理だから、一人じゃ助けられ無いから。けど、どうしても助けたいから、お願いします!」


新葉は皆んなに頭を下げてお願いした。

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