八色運動会⑺
木天蓼愛希
第1話学校の本館には学級階級があった。樹君を探しに!生徒達に囲まれてしまう。
新葉達は樹君を連れて帰る為、本館にやって来た。所がD組を騒がせたC組の宮森香子ちゃんから本館の事を聞かされる。学級階級のカーストがあった。新葉達はそれを聞かされ嫌な思いをする。こんな所は早く出ようと樹君を探し始める。所が探している最中にここにいる生徒達に出っくわして仕舞う。
「お早よう御座います」
生徒達は挨拶すると、直ぐに端に避け、道を開けて頭を下げたのだ。ビックリする新葉達。恐れながらも中央を通して貰う。
「そうなんですか?凄いですね〜」
などと、樹君がチヤホヤとされている声がして来たのだ。
「樹君。ここにいたんだ。探したんだよ。もう、帰ろう!」
新葉が声を掛けた。
「おー、新葉君。帰ろう。友達沢山出来たぞー。おーH組の友達も来てくれたんだ。サンキュー」
樹君は皆んなに呼び掛けた。
「お前。H組だったのか。騙したのか?ケッ」
他の生徒達が急に人が変わった様に態度を一変した。
「友達になったろ。何でそんな事、急に言うんだ?」
樹君は意味も分からず困惑して言う。
「余所者の別館H組の人間なんて知ってたら、相手にしなかったさ。俺達D組はC組とかB組の子だと思ったから、友達になりたかっただけだ。お前達なんか余所者と友達なんかになってやるものか‼︎」
D組の子が怒鳴った。
「酷い。何て事言うのよ。余所者って、私達ここの学校の人間よ。私達と貴方達の何処が違うって言うのよ」
言って、渚が怒った。
「クラスでレベル比べるとか意味分かんない。皆んなで仲良くすれば良いじゃ無い」
海咲が言って、怒りを露わにした。
「俺らがレベルを決めたんじゃねー。俺達悪くねぇよ。早く出て行けよ」
D組の子達が言った。お互いに引けない状況でいる双方は言いたい事を言い合い騒ぎが大きくなっていた。そんな中、騒ぎに駆け付けたのか、女の子達率いる生徒がこちらに向かって来た。それはまるで医者の回診の様に女の子を先頭に後ろに生徒達を従えて中央を堂々と歩いて来たのだ。新葉は何処かで会った事がある様な顔に記憶を巡らして見る。すると、記憶の端に思い当たる人物を思い出した。そうだ。あの時の女の子だ。初回の運動会の時に磯崎航平君の後ろを歩いており、ひょっこり、顔を出した人物。その子だったのだ。
「何を騒いでいるの。向こうまで聞こえて来たわよ。はしたない。やっぱりD組よね」
その女の子は言ったのだ。
「違うんですよ。
D組の生徒達は片膝付き、忠実ポーズを取り、取り繕うとした。
「H組が……………。あなた達は何をしていたの」
紅音はD組の生徒達を叱責した。紅音はズケズケとH組の前に立ち。
「あなた達はここへ来るべきじゃ無い所よ。間違って入って来たんなら、直ぐにここから出て行きなさい」
紅音はキッパリと言った。H組の生徒達は唖然とした。紅音は新葉を発見して新葉の前まで来たのだ。
「あなたは林早葉の弟よね。白状しなさい」
紅音は強い口調で新葉に言った。新葉はその強い口調に震え上がり、居た堪れなく逃げ出したい気持ちになった。
「そうだけど………………⁈」
弱々しい口調で新葉は答えた。
「やっぱりね。早葉何かの…………………。あんたは弟なんだから、私は絶対にあんたの事なんか認め無いんだから、分かった」
紅音は有無も言わさず、言い切った形で新葉に圧力的に言った。それを聞いたD組の生徒達は新葉に注目し、睨み付けたのだ。すっかり萎縮しまっていた新葉だったが思い切って聞いてみた。
「早葉何かってどう言う事。お兄ちゃんがなんか悪い事でも君にした。恨まれる様な事したの」
新葉は言って、聞いた。
「すっとぼけないでよ。全部早葉のせいよ。あんた弟なんでしょ。弟なら同罪よ。あんたなんか絶対に許さないんだから、認め無いんだからね」
紅音は言うだけ言うと後ろを向いて行って仕舞おうとする。一度立ち止まると紅音は………………。
「早く追い出しなさい」
一言言うと振り返る事無く、そのまま行って仕舞う。
「待って、まだ話は終わって無い。何を怒っているか分からないよ!」
新葉は言うが紅音は取り付く島もなく行って、しまった。
「帰れ。出て行け」
言って、D組のクラスの子がどんどん僕達を押して追い出そうとする。僕達は押されながら、追い出されていた。
「ちょっと何するのよあんた達。ふざけないで、押さないで危ないんだから、痛いじゃ無い。やめなさいよ。あんた達、ここじゃあダストってゴミ扱いされているのよね。あんた達だって、大した扱いされていないじゃ無い。私達に対してそこまでの扱いする」
陽奈ちゃんはここの扱いに腹を立てている。
「何だと、お前らと一緒にするな。ボロ小屋教室で人間扱いされていない余所者の分際で俺達よりも下なんだぞ。分かって言っているのか?」
D組の男の子が逆に腹を立てる。
「何よ。クラスで比較されるのも嫌だけど、生活環境も差があり過ぎるし、別々の建物にされるし、人間扱いされて無いですって、なんて事言ってくれちゃっているのよ! 私達は言うならば、お客様の様なものだったでしょう。校長先生からだって、歓迎するって言われたんだよ。母校になる様に遠慮なくって、言ってたのに何なのよ。この仕打ちは?」
海咲ちゃんも納得の行かない扱いに我慢が出来ないでいる。
「お前ら、何言ってんの。そんなの学校の建前に決まってんじゃん。受け入れれば、金が入って来るから、受け入れたに決まってるじゃ無いか? まんまと騙されたんだよ。分かったら、さっさと出てけー。お前らの来るところじゃ無いんだからな!」
D組の子は畳み掛ける様に罵倒する。
「新葉君。こんな所にいつまでも居られないわ。早く帰りましょう。みんなが待ってる」
渚ちゃんが、精一杯の抵抗で僕に呼び掛ける。
「こんな所⁈ お前達のボロ小屋の方が良いって言うのかよ。笑っちまうぜ。流石は三大Fールだけの事はあるぜ!Fール。バカ。Gールドフール。黄金のバカ。Hードフール。ハードなバカ。だからな!」
D組の男の子は散々な言い方をして、侮辱しまくった。
「さっきから、黙って聞いてりゃあー。言いたい放題言うのな! その辺でやめとけ。お前らが底辺扱いされて居るからって、俺らに八つ当たりするな!」
樹君は言いたい放題言われ、反撃の言葉を投げ掛けた。
「何だとー。その言葉は許せね〜。皆んなやっちまおうぜ!」
D組の男の子はカーッとなって、クラスの男の子達に呼び掛ける。D組の男の子達は樹君。新葉達の周りを囲み、今にも殴り掛かりそうに襲い掛かろうとする。新葉達は一つに固まり、防御体制を作る。
「お前達。俺とやりあ王っていうのかー。掛かって来いやー!」
樹君はD組の子達に言い放った。D組の子達は怒った形相でこちらに詰め寄って来る。
「樹君。彼等に手を出しちゃダメだからね!」
新葉はこの状況を鑑みて、行動に釘を刺す。
「なの、分かっているよー。けども、正当防衛って事も有るだろう⁈」
樹君は返事はするが何とも心許無い。なので、新葉を更に釘を刺す。
「そうかも、だけど、樹君の場合には過剰防衛って言葉があるじゃ無いか? 僕は心配だね。そんな事、言っている場合じゃ無いです〜。逃げますよー⁈」
新葉は渚ちゃんの手を取ると、後ろへ後ろへと退いている。同じ様に大地君は海咲ちゃんの手を取り、同じ様に逃げようとしている。駈君は陽奈ちゃんの後ろに逃げ込み服の裾を持ち、ぶるぶる震え上がっている。樹君は皆んなの前に立ち塞がり、皆んなを守る体制を取っている。だが、新葉達はD組の子達に囲まれて身動きが取れない。逃げ道が無い。後が無い! そうした時、壁にもたれ掛かっている女の子(生徒)がいた。
「ダンッ!」
その子は壁に足を投げ出し、壁を足裏で蹴り、壁を鳴らし、キッと、こちらを睨め付けた。どんどんと押していたD組の生徒達が手を止めてそこに整列したのだ。そして、その子の指示を仰いだのだ。新葉は今度は何者だと思った。その子はD組の子に手を振り、散れと合図を出したのだ。D組の子達はザワザワとする。『今日は一体どうなってるんだ。あの二人に会うなんて、どうすんだよ』などと、D組の子達は口々に小声で洩らす。D組の子は逃げる様に去って行ったのだ。この時、新葉は助けてくれたんだと思った。
「フッ。面白いじゃ無いあんた。けど、もう、ここには来ない事ね。関わらない方が身の為よ!」
その女の子は言った。そして、その女の子はその場から離れようとする。
「あっ。待って、君の名前は…………………………………」
新葉は言って、引き留めた。
「私。私は
その子は名前を答えると行ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます