美少女くんとイケメンちゃん
@Takahisa_SA
僕らの始まり
第1話 告白は突然に
「どうやら私は……君を……愛してしまったようだ」
四月も半ばの放課後。
桜の花びらがヒラヒラと舞う夕暮れの体育館裏で、僕は突然愛の告白をされている。
そのあまりの唐突さに僕、竹越龍之介は困惑した。
思わず頬が熱くなったが、それより困惑が勝った。
「だから、私の恋人になってくれないだろうか」
余りにも真っ直ぐ過ぎて全く冗談に聞こえない言葉。
しかもそれが学校一のイケメン女子、春日野桜さんが言ったものだから本当に困惑しかない。
何、なんで急に? 寧ろ、なんで僕?
告白に答える以前に、事態がまるで飲み込めない。
「もちろん、不躾な申し出だという事は百も承知だ。いますぐに答えを出そうとしなくても良い。答えは幾らでも待つつもりだ。どうかな?」
「あ、えっと……」
ようやく、何とか声を発し、僕は浮かんだ疑問をそのまま口にした。
「その。なんで、僕なんですか?」
「んッ」
「いや、僕ってその…かなり特殊な見た目の人間だから…」
視線を泳がせ何とかそこまで歯切れ悪く口にした。
僕の見た目は、はっきりいって恐ろしく特殊だから。
「ああ、その事か」
対して、すぐに気付いて手を叩く春日野さん。
「確かに君の見た目は男子というには可愛過ぎる。まるで可憐な少女のようだ。流石は学校一の美少女なんて呼ばれる人だ。今も頬を紅潮させて実に可憐だ」
「うっ」
そのものズバリの答えを言われ僕は思わずウっとなる。ここまではっきり言い切られると、嫌でも現実を突きつけられる。
「だが、君はそんな見た目とは正反対に勇敢で自分の危険も顧みずに人を助けられる勇敢で男らしい男性だ」
が、そこからの言葉は思いもしないものだった。
「昨日、君は広場から飛んできたボールから私と弟妹を身を挺して守ってくれた。そんなの出来る男は君以外いない」
そこで思い出す。確かにそんな事もあったっけ。
「いや、あれは当然の事をしただけで。僕は大した事はしてないです」
「そんなわけないだろう。あんな事を平気で出来る男は君以外にいない。私はイケメンなどと言われるが、私では出来ない。君は素晴らしいく勇敢でカッコいい。私にはとても出来ない。私は胸を打たれたよ」
そう告げて、春日野さんは真剣なまなざしを僕に向ける。
「だから、もう一度言う。竹越龍之介君。私と、どうかお付き合いをしてくれないか」
綺麗にお辞儀をしてもう一度春日野さんは言った。
そんだから、僕は更に困惑を深めた。
同時に昨日の事について思い出した。
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