15、異国の流行りの文化と女子トーク(☆)
さっきの話がまだ終わる前に昼休みが終わってしまったので、放課後プリンツェッスィンたちは中庭のガゼボに再度集まった。
「その異国の文化って何?」
プリンツェッスィンは従者の言ってる意味がわからなかった様子で尋ねる。
「はい。好きな人にチョコレートをあげて告白するという文化で、もうすぐその日なんです」
そう言ったシャイネンはどこから持ってきたか雑誌のあるページを三人に見せた。
「これ流行りの女性誌よね。シャイネンが持ってるとは意外だわ……」
「シュティッケライ様、意外とは失礼ではないですか?」
「だってそういう流行りのものは馬鹿らしいって見向きもしないと思ってたから」
「まぁ、確かに流行りに振り回されるのは馬鹿らしいとは思いますが、情報ほど使える武器はないので」
シャイネンは仄暗い笑みを浮かべる。
「それで、このチョコレートを渡して気持ちを伝えればいいのね? 確かに物を渡すと一緒に気持ちを言うのはいいかもしれないわ!」
そう言いパンと手を叩いたコヘンは、乗り気であった。
「あのね……。私、料理全然出来ないの。お菓子作りも一回もしたことなくて……。コヘン! 助けて!」
プリンツェッスィンがコヘンに縋り付く。
「ねぇ! チョコレート四人で作らない?!」
シュティッケライの提案にプリンツェッスィンもコヘンも賛同した。
「何故私が入ってるのでしょうか……」
ボソッと呟いたシャイネンに、三人は含み笑いをする。
「だってねぇ」
「まあ、見てればね」
「シャイネンは素直じゃないからこういう事がないと、ね」
コヘンとシュティッケライ、プリンツェッスィンにさえもにまにまと笑われながら言われた。
「よく意味がわからないのですが……」
シャイネンは少しだけブスっとした顔をする。
「ま、とりあえずシャイネンはグレンにあげればいいのよ!」
「姫様、何故あのクソ野郎にチョコレートをあげなければならないんですか」
シャイネンはふぅと溜息をついた。
「義理チョコっていう、感謝の気持ちを持ってる相手にあげるのもありなんだって!」
「これは決定事項なんですね……。分かりました。姫様が望むなら私もあのクソ野郎へあげることにします。材料も大量買いの方が安上がりですからね」
三人にここまで焚き付けられ、シャイネンは降参する。
Xデーの前日、コヘンとシュティッケライは王城に呼ばれた。二人は恐れながら城の中の調理室に入らせてもらう。
「光熱費と材料費を四等分するといくらになる?」
シュティッケライがプリンツェッスィンに尋ねた。
本質が真面目で神経質であるシュティッケライらしい発言にプリンツェッスィンが口を開く。
「教えてもらうんだから、費用はこちらに持たせて?」
チョコレートはこの国に入ってきたばかりで、伯爵令嬢の二人にとっても高価なものであった。流石王女様とコヘンとシュティッケライは呆然とするが、お言葉に甘えることにする。
プリンツェッスィンはチョコを溶かして型に流すという簡単なチョコを作ることにした。シャイネンは甘いものが苦手なグレンツェンの為にクリームチーズティラミスにする。コヘンは出会いがクッキーだったのでアイスボックスクッキー、シュティッケライは生チョコを作ることになった。
◇
次の日、お茶会の日じゃなかったがレッヒェルンをいつもの学園のテラスに呼び出したコヘンは勇気をだして彼にクッキーを渡す。
包みを開けたレッヒェルンはアイスボックスクッキーを掴み大きな一口で食べた。
「へぇ! 新作か? 本当コヘンのクッキーは美味いよなぁ! 今日は色んな人がプレゼントくれるけど、やっぱお前のが一番美味いよ!」
「そ、そうですか?!」
レッヒェルンが褒めてる言葉も頭に入らないほど、コヘンは緊張し声をうわずらせる。
「サンキューな! また週末、楽しみにしてるからよぉ!」
結局伝えることが出来ずに、週末のお茶会の約束をするだけで終わってしまい、コヘンは情けなさで泣けてくるのだった。
◇
シュティッケライは生チョコを持って、ビブリオテークがいつもいる図書室へ向かった。
渡そうと図書室で彼を探していたら、丁度ビブリオテークが女子生徒のチョコを断ってる場面に出くわしてしまう。
少し困ったような迷惑そうな顔をしてるビブリオテークを見て、シュティッケライは他人つまり親しい人以外が作ったものが彼は嫌なのかもしれないと思った。
すぐさまポケットにチョコを突っ込み、何も見てなかったような顔をしてビブリオテークに近付く。
「先輩! これ、私の刺繍で作った作品です! 前見せるって言ったのに遅れてしまってすみません!」
「え……? ああ、ありがとうございます。凄いですね。思ってたのよりももっと出来が良くて驚いてます。大切にしますね」
ビブリオテークはそう言い微笑んだ。シュティッケライはチョコに添えようとしていた栞のプレゼントだけ渡し、その場を去る。
無事栞は渡せたが、シュティッケライは自分の寮部屋の二段ベットの下で、一人で泣きながら生チョコを食べたのだった。
◇
シャイネンはつい作ってしまったが、グレンツェンに渡すのも癪なので自分で食べようとする。
しかし後ろからどこからがやってきたグレンツェンにティラミスを取られ、振り返ると既に食べている彼がいた。
「何盗ってんの、窃盗よ」
シャイネンはギロりと仕事の相棒を睨みつける。
「不味そうなの持ってんなぁ〜って思って。残飯処理手伝ってやってんだから有難く思え」
「不味いなら吐き出せ、このクソ野郎」
シャイネンはイラッとしてグレンツェンに蹴りを入れた。
「物は大切にしろって教わんなかったのか?」
グレンツェンは憎まれ口をいい、ニヤリと笑う。
「ご馳走様、不味くはなかったぜ」
グレンツェンは背中を向けて手をヒラヒラと振って去っていった。
「素直に美味いって言いなさいよ。本当素直じゃないんだから。ま、そんなところが……好きなのかもね。私も馬鹿だわ、こんな奴を好きになるとか、愚かにも程がある。趣味が悪すぎるわ」
◇
「兄様! はい、チョコレートです!」
二人がけのソファーに座り、プリンツェッスィンはヴァールにチョコを溶かして固めただけのチョコを渡す。
「わぁあ! ツェスィーからチョコ! 凄い! ……美味しい! 世界一美味しいチョコだよ!」
目に涙を溜めながら世界一美味しいチョコだと頬張るヴァールを見て、プリンツェッスィンは微笑んだ。
「大袈裟ですよ」
「全然大袈裟じゃないよ? 料理があまり得意ではないツェスィーが頑張って作ってくれたんだ……。僕にとってこれ以上美味しいものはないよ。それに、手も痛かったでしょ?」
ヴァールはチョコを作る際、包丁で怪我して傷付いたプリンツェッスィンの指を、手で包むようにそっと握る。
「ツェスィーが僕のために頑張ってくれたことが一番嬉しいんだ。味なんて二の次だよ。あ、でも世界一美味しいのは本当だよ?」
ヴァールはふわりと微笑んだ。
「ヴァール兄様は、私に甘すぎです。今までそれが普通だと思ってましたが、学園へ行くようになってヴァール兄様の甘さが異常なのが分かってきました。あんまり甘やかされると、私ダメ人間になってしまいます!」
プリンツェッスィンは少し頬を膨らます。
「ふふ、甘やかしてるのバレちゃったか〜。でもね、やめないよ? 僕は君をどろどろに甘やかすのが好きなんだ。もしダメ人間になってもいいよ。僕が何から何までツェスィーのお世話するから」
そう言うヴァールの笑顔は眩しかったが、何から何までが食事から排泄までの様な気が一瞬したプリンツェッスィンはゾッとした。そして溜息をつき、降参したように笑う。
「兄様、ダメ人間にした責任とってくださりますよね?」
愛する従兄に抱きつき、上目遣いでキスを強請った。ヴァールはプリンツェッスィンがくれたチョコレートを口に含み、愛しい従妹の唇を奪う。体温でじわりと溶けるチョコレートを互いの口内で渡し合った。その甘美な味に二人は酔いしれる。
口内のチョコが溶け終わると、ヴァールはもう一つチョコレートを口に含み、プリンツェッスィンの首筋から鎖骨へ下ろしながら溶けたそれを付けていった。
「ふぁ、んん、あん。にい、さまぁ……」
プリンツェッスィンの服と上の下着をずらして脱がし、彼女の薄桃色の突起にチョコレートをつけながられろれろと舐めとる。
「ツェスィーのここピンク色で可愛い。ちゃんと感じてくれてるんだね。ピンって立ってるよ」
ヴァールはくにくにと尖る薄桃色の突起を嬲った。プリンツェッスィンも胸だけで感じてしまうほどはヴァールに調教されている。
軽く達してる可愛い従妹の太ももを撫で上げ、下の下着越しに秘所に手を添えた。
「濡れてる……。ちゃんと感じてくれてるんだね」
「兄様、恥ずかしいです」
「可愛い」
ヴァールはプリンツェッスィンの耳元で囁き、耳たぶを食む。
スカートを捲りあげ、下の下着をするりと下ろし脱がせた。プリンツェッスィンの足を左右に開き、下生えが生えていない薄桃色の泥濘が現れる。そこは既にとろとろになっていて、愛液が溢れていた。
ヴァールは泥濘を見て、頬を染める。そして顔を近付け、ぺろりと舐めた。
「ひゃ!」
「ふふ、さっきのチョコも甘くて美味しかったけど、ツェスィーの方が甘くて美味しい」
ヴァールはプリンツェッスィンの片胸をふにふにと弄りながら、ぺちゃぺちゃと彼女の愛液を舐めとる。舌で秘芽をぐにぐにと嬲り、上も下も責められ可愛い従妹は快感が昇っていった。そろそろ大丈夫そうかと、中指をつぷっととろとろの果肉に少しづつ沈めていく。
「あっ! あん! あああ!」
優しくゆっくりと中指を抽挿していき、指を腹の方へ曲げザラザラとしたところを指の腹でくるりくるりと刺激していった。たまにトントンと刺激をする。
「ああああ!!」
そしてプリンツェッスィンは生まれてきて初めてイってしまった。軽くイったことはあったが、俗に言うオーガズムは初めてである。ビクンビクンと体を痙攣させながら、はぁはぁと荒い息をする愛しい従妹をヴァールは恍惚とした表情で見つめた。
「ちゃんとイけたね」
ヴァールはプリンツェッスィンの頭を優しく撫で、額を合わせる。
「兄様……。凄かったです……」
「ふふ、ツェスィーは男を煽るのも得意なんだね。ツェスィーが誰かに取られないか心配だな」
ヴァールは心配そうに眉を下げた。
「そんなこと絶対起きません。私は兄様しか愛せませんから」
「本当に?」
プリンツェッスィンは手を伸ばし、ヴァールの頬に手を添える。
「兄様こそ、私以外に取られちゃわないか心配です」
「それこそないよ。ツェスィーしか愛せないからね」
そして二人は深く深く、貪欲に唇を貪った。暫くキスを楽しんだ二人は微笑み合い、乱れた服を着直し、従者たちにもういいとこちらを向く許可をする。
「やべぇ……何これ本当に何これぇ。早く結婚してくれ……俺のチンコが爆発して死ぬ」
「姫様の声がアンタに聞こえなくてよかった……。あんな声聴いたら男共は即堕ちよ」
「なぁ……そんなに俺が姫さんに惚れたら困るか?」
「困るに決まってるでしょ! 姫様には若がいるのよ?! 二人の邪魔をしちゃ……?!」
シャイネンが言い終わる前に、グレンツェンが彼女に抱きつき言葉を遮った。そして首筋に吸い付く。
「な! 何するの!」
シャイネンは思いっきりグレンツェンの側頭部を殴り、彼を床にたたきつけた。
「痛てぇ……。側頭部って危険なんだぞ?! 俺じゃなきゃ死んでたかもしれねぇ!」
「そんなんで死ぬタマじゃないでしょ! ってか殺す!」
グレンツェンは手を振りあげたシャイネンの腕を掴み、自分に引き寄せる。そして抱きしめ、シャイネンの首元の匂いを嗅いだ。
「はぁ……。無理。お前のこと抱きたい」
「〜!! 離れろ! この発情クソザル男! 匂いも嗅ぐな!!」
「俺だって抱きたくて抱くわけじゃねぇよ! ここまで興奮させられて、チンコバッキバキで痛ぇからだ!」
「……あっそ! やっぱアンタ最低! 殺す!!」
痴話喧嘩をする従者たちを見た主人たちは微笑ましいと笑みを浮かべる。
「仲良いね」
「そうですね」
そしてヴァールはそうだと思い出したかように話し出した。
「あ、グレンに許可もらったから話すけど、グレンはシャイネンのこと好きだよ」
「ふふ、言われなくても分かってましたけど。あ、そうです! 私と兄様のこと……コヘンとシュイには言ってもいいですか?」
プリンツェッスィンもヴァールに承諾して欲しかったことを言う。
「ツェスィーが信用に置けると判断したらいいよ」
「はい。あの二人なら大丈夫だと思いますよ」
充分愛し合えた二人は意固地になってる従者二人を連れて、夕飯の席に着くために部屋を出たのだった。
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