(13)6月24日 月曜日

 着信アラート音。画面上の『応答』表示をスワイプする。



***



「おはようございます。6月24日月曜日、午前7時くらいをお知らせします」


「というわけで犬童いんどうです。さて──」


「雨ですね。大雨ですね。どう考えてもプールの授業は中止になりそうです」


「天気予報も外れることがありますからね。しかし晴れの予報なのに、この雲たちはどっから来たのでしょう」


「いまさら、てるてる坊主を仕掛けても遅いでしょうね」


「────。はぁ、またそれですか。プールの授業が楽しみなのがそんなにおかしいですか?」


「でも──そうですね。嫌がっている女子が大多数なのも事実ですからね。疲れるのもありますけど、うちの学校の場合は男女合同ですからね」


「競泳水着なので体のラインがモロに出ますし、好きでもない男性たちから性的な視線を浴びるのは、苦痛ですよね」


「────。『犬童さんは気にならないのか』、ですか。はぁ、まあ、それは」


「こう言うと勘違いされそうですけど、正直、あまり気になりません」


「わざわざわたしの貧相な体に注目する男子はいないと思いますし、まあ、もし見たいという方がいるとすれば、見たいなら見れば……という感じですね」


「進んで見られたいわけではないですし、盗撮とかは嫌ですけど」


「水着姿の男女が集まった状況で、一切性的な目で見るなというも無理がありますから」


「とはいえ、このご時世ですからね。男女合同のプール授業はやめた方が良いと思いますよ」


「────。ふふ、それは面白いですね。『女子たちから見られていると思われるのが嫌で、プールのときはむしろ普段よりもそっちの方を見ないようにしている』、ですか」


「まあ、そうなりますよね。女子の水着姿をガン見しているがバレたら、教室で気まずい思いをしますし、最悪、嫌われて、これからずっと無視されることになりますからね」


「どうしてもプールの授業中に我慢できなくなったら、わたしを見て我慢してくださいね。わたしはなんとも思わないですし」


凹凸おうとつのない、つまらない水着姿ですけど」


「────。『それはそれでまずいことになる』、ですか?」


「どれがどれで、どうまずいことになるのか分かりませんけど、まあ、でも、女子がいる側は見ないようにするのが賢明ですよね」


「さて、いつもよりも話が長くなってしまいました。そして一番大事なことを言い忘れていました」


「来週は期末テストです。あとは分かりますね? では、学校でお会いしましょう」

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