第4話〜目立ちたくない〜

緒里side


目立つことは悪いこと


別に目立ってるつもりなんてなかった

むしろ友達なんて居なかったし


それでもいじめられた

理由なんて、ただの妬みだろうって分かってる

それでも辛かった

耐えられなかった


唯一出来た友達は、私が裏切った…


助けてくれた子がいた

見て見ぬふりしてる子が多くて、彼女も最初はそうだった


休みの日にたまたま会った時は普通に話してくれたけど

学校では全くだった


ある日、いつものように始まった私の悪口

でもその子は止めた

「もうやめよう」って「誰も得しない」って、そう言って私に微笑んだ

その日の授業中、トイレに篭って泣いていた私に声をかけてくれた

「大丈夫、私たちはどこへだって行けるよ。学校は狭いから、もっと広い世界があるから」

その言葉は私の心に響いた


次の日からいじめの対象はその子に変わった

でも私は助けなかった

見て見ぬふりをした


助けて、またいじめられるのが怖かった

見て見ぬふりしてた時の罰だって言い聞かせて、声もかけなかった


高校では目立たないように

縛っていた髪を下ろして、前髪も目にかかる位まで伸ばして、コンタクトを辞めてメガネにした


君は世界は広いって言うけどさ、学校は狭いって言うけどさ、それでも、怖いんだよ


いじめられて裏切られて裏切って

そんなの、もう嫌だ


だから


茜「部活!入らない!?」

そんな言葉は要らない


陽向「なんで謝るの?」

私だって悪くないのに謝るのは嫌だ


黒江「2人ともありがとうね」

なんで?私何もしてない


君たちが眩しいよ

だからお願い、声をかけないで



茜side


んー、やっぱり諦めきれない…

せめて、どっちかだけでも…

黒江「諦めきれないんでしょ」

茜「え!?」

黒江「陽向さんと緒里さん」

茜「うん」

黒江「はぁ…仕方ないなぁ」

茜「え?」

黒江「ちょっと待ってて」

黒江、どこ行くんだろ…

待っててって…


黒江side


仕方ない…乗りかかった船ってやつだよね

メンバーも早く決めなきゃだし、俺を変えてくれた部長さんに付き合いますよ〜


黒江「ねぇねぇ、陽向さん」

陽向「ん?」

黒江「今日のお昼、空いてる?俺らと一緒に屋上で食べない?」

陽向「…なんぱ?」

黒江「なんでだよ!」

陽向「冗談冗談wいいよ〜」

黒江「ほんと!?ありがと!」

陽向「いえいえ〜…君たちってことは、茜ちゃんと緒里ちゃんもいるんだよね?」

緒里「…ぇ?」

黒江「あ、」

緒里「えっと…」

陽向「あれ、違った?てっきり昨日のメンバーかと」

黒江「いや、今から誘おうと思ってたんだ、どうかな?緒里さん」

緒里「…ぁ、えっと」

急だし、困るよね…むしろ陽向さん誘えたのが驚きなんだけどw人気者なのに

陽向「一緒に食べよーよ ニコッ」

緒里「ぁ、はい、分かりました…」

黒江「ほんと!?緒里さんありがと〜!2人が来てくれたら茜も喜ぶよ!」

緒里「…はぁ」

陽向「へぇ」

ん?なんだ、?なんか…

あぁ、そっか、

黒江「じゃ、またお昼に!」

陽向「はーい ニコッ」

緒里「はい」

俺と同じ

自分を塞ぎ込んでるような…

だから茜は2人を放っておけないんだね、俺の時と同じでさ

ほんっとお人好し


黒江「茜」

茜「あ、黒江、どこ行ってたの?」

どう伝えようか、場所の後にメンバーのが驚くかな?w

黒江「今日のお昼は屋上ね」

茜「え?うん、いいけど」

黒江「それと、」

茜「??」

黒江「緒里さんと陽向さんもいるから」

茜「…あ、え、?ん?」

ビンゴww驚いてる驚いてるww

黒江「えっ…え!?ほんと!?」

黒江「ほんとほんとww」

やっと理解が追いついたねw

嬉しそう、よかった

茜「やったー!!」

黒江「www」


緒里side


茜「やったー!!」

黒江「www」

本当に喜んでる…

陽向「ホントに嬉しそうじゃーん、嬉しいねぇ、ニコッ」

緒里「え、あ、はい」

陽向「ねぇそれ、ホントに思ってる?」

緒里「ぇ…」

なんで?どうして?そんな簡単に気づかれる?

陽向「…ごめんごめん変なこと聞いたねー、気にしないで ニコッ」

緒里「ぇ?」

陽向「じゃあ、またお昼にね〜」

緒里「ぁ、はい…」

陽向さん、転校初日から人気者…あの子といたら、目立ってしまう。それに何だか、怖い…いつも貼り付けたようにニコニコしてるのに、急に真顔になって的を射るようなことを言う

茜さんも黒江さんも明るい人だ。友達だって普通にいるし、まぁ最近は2人でいることを良く見かけるけど…

あまり一緒に居たくない。

今日きりにしよう。てか、今日も関わるつもりなかったんだけど…まぁ仕方ないよね


この時、私は知らなかった。

この後、私にとっては最悪の出来事が待っているなんて…


           〜𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹 〜

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