第1話〜隣の席〜

黒江side


俺は、毎日をテキトーに過ごしている。当たり前の朝、当たり前の日常。そんなことの繰り返し。


「あそこ美味いよな〜!」

「分かる!」

黒江「確かに美味しいよね」


食べたことも無い店にまで好評価をして


「あいつマジでウザイ」

「え、それな?w」

黒江「調子乗ってるよね〜」


思ってもない事を口にして


そーやってテキトーに関係を繋いどく、ただそれだけの事。だってさ、大変じゃない?いちいち人の気持ちを考えてさ、行動するのとか。

黒江「((ボソ…分かるわけないじゃん?人の気持ちなんてさ」

だから俺は何も考えない。分かりもしない人の気持ちなんて考えたって埒が明かない。やっぱりテキトーが1番だよな


?「ねぇねぇ!!」

随分と朝から元気だな…

黒江「……」

?「ねぇってば!」

いや、もう、これは…

黒江「((ボソ…うるさっ」

?「え、今うるさいって言った!?酷くない!?」

黒江「は?」

?「あ!やっとこっち見てくれた!」

黒江「え、もしかして俺に話しかけてたの?」

?「そうだよ!黒江さん!」

黒江「いや、なんで俺の名前知ってんの」

?「なんでって…隣の席だもん!!」

黒江「いや、それでもなんで覚えてんのさ」

?「仲良くしたかったから!!」

黒江「へ〜…」

面倒くさそうな子だな…俺はあまり仲良くしたくないんだけど…

?「ところで黒江さん!」

黒江「ん?」

?「アオハル部入らない?」

黒江「は?え、何それ」

なんか急に勧誘された、?

?「アオハル部!私が作った部活なんだけどさ!人が足りないの!だから入らない!?」

面倒くさっ…正直入りたくない

黒江「それ、何する部活なの?」

?「みんなで青春っぽいことする部活!」

いや、なんだそれ…

?「今絶対、何だそりゃ的なこと思ったでしょ!」

黒江「うん」

?「え!?そこは嘘でも違うよ!って言うところじゃないの?」

黒江「知らないよそんなの。なんでそこまで考えなきゃ行けない訳?」

やば、イラついて強く当たっちゃったわ

?「……」

あー、これは流石にやばいかな?

黒江「あー、えっと」

?「黒江さんってさ、あまり感情剥き出しにした事ないよね?」

黒江「え?」

?「なんか、いっつも周りに合わせてるイメージ!だからなんか、嬉しい!」

黒江「……そう」

なんなんだこの子…気が狂う。

?「周りに合わせてばっかりだと、つまらなくない?」

黒江「…いや、楽だよ?何も考えないで済むから」

?「ふーん」

自分で聞いといて…

黒江「てか、君誰さ」

?「え?あぁ、私は茜!よろしくね!黒江さん!」

黒江「茜ね、確かに隣の席の人そんなよーな名前だったかも」

茜「ちょっと〜!ちゃんと覚えといてよね!」

黒江「はいはい」

陽キャやん…ほんと、俺とは違う、太陽みたいな人

「茜さーん」

茜「あ!部活!考えといてねー!」

黒江「え?」

茜「じゃ!」

黒江「……」

嵐の前の静けさ。いや、嵐の後の静けさ、か。

黒江「((ボソッ…つまらない、ねぇ」

そりゃあ楽しくなんかないさ。でも、そこまで自分のこと周りに言う必要も無いしさ。いちいち考えて行動するのは大変でしょ?

黒江「だったら、楽しくなくたって別にいい」

俺は楽な方を選ぶよ


その後は何も無く普通に学校生活を送った。

朝以外は別に茜さんも俺に必要以上に話しかけてくることは無かったしね。


       放課後

茜「黒江さん!」

黒江「ん?」

茜「駅前のクレープ!食べいこ!」

黒江「…へ?」

いや、なんで俺なの?え?

黒江「…友達と行きなよ」

茜「あー、なんか気付いたら帰っちゃっててさw」

何それ、それって…

良く考えてみたらそうだ。なんで何の関わりもない俺を1番最初、かは分からないけど、部活に誘ったんだ?もしかしたら友達が部活に入ってる可能性もある。でも…

茜「それに!黒江さんと行きたかったし!」

黒江「ッはぁ…いいよ」

茜「ほんと!?やったー!」

俺が行くって言うだけでこんな喜ぶんだw

黒江「喜びすぎでしょw」

茜「うるさいな!wよし!行こいこー!」

黒江「あ!待ってよ!」


       クレープ屋

茜「んー!美味しい!!」

黒江「うるさっw」

茜「ひど!w」

黒江「てか盛りすぎでしょそれ」

茜「美味しいからいいんですー」

黒江「太るよ」

茜「やめて!?w」

久しぶりだな、こんなに楽しいの

友達と放課後遊ぶこともなかったしなぁw

あれ、待てよ?茜さんは友達でいいのか?ただの隣の席の人ってだけな気がする

茜「こーゆー事!」

黒江「え?なにが?」

茜「アオハル部の活動!」

黒江「……」

茜「友達と放課後とか、休日とか、遊んでさ、高校生っぽい青春の思い出を作る!これがアオハル部なのです!」

黒江「ふーん…」

茜「考えてみて、欲しいな…」

黒江「うん、わかった。考えてみるよ」

茜「え、ホント!?ありがと!」

黒江「うん」

…どうしたんだろうな俺w前の俺だったらそれとなく断ってたと思うんだけどなぁw


        夜

黒江「ふぅ〜…」

夜は好きだ。暗闇に包まれるような。でも、その中には確かに光があって、月光が照らし出してくれる。

俺は1人が好きだ。何も考えずに済むしねw

でも、なんだろう。また、一緒に笑い合いたいとか、思っちゃったんだよね。

もっと沢山の人と、笑顔で居られたら、どれだけ楽しくて、幸せだろうか、と


           〜𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹 〜

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