第24話 例えるなら朝凪の(24日目・朝凪)


ふ、と、宗也そうやは目を開けた。

朝の気配がする。寝落ちたベッドの上で、宗也はカーテンの隙間から入って来る薄明かりに目を細めた。掛けた覚えの無いタオルケットに触れ、宗也は静かにベッドから床を見る。泊まりに来ていた満寛みちひろが、宗也の敷いた布団の中で、静かに寝息を立てていた。昨夜、満寛が取ったであろう行動を想像し、宗也は柔らかな笑みを浮かべる。

(起こしてくれても良かったのに)

今日も暑くなりそうな気配を感じつつも、今はまだ多少冷えた空気に、宗也は穏やかな気分になった。

(朝凪、って言うんだっけ、こういうの)

ここは海ではないけれど。静かで、満ち足りた時間、場所。夜が終わる最後の青い光が、宗也の中に優しく満ちて行く。

(起きたら、満寛と何をしようかな)

あれやこれやと楽しい予定を考えるながら、宗也は微睡み始めた。

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