第3話



「ちょっとだけ覗いてみる?」


マヤが言った。

その声には、興奮と不安が

入り混じっていた。

彼女はカメラを調整する。

赤いランプが、

彼女の顔に、不気味な光を

投げかけていた。


デイビッドは、一瞬ためらった。

恐怖と未知への抗いたい魅力との間で、

心が揺れていた。

この場所、何かが違う。

まるで、目に見えない存在が、

ふたりの行動を

監視しているかのようだった。


「5分だけだ」


デイビッドが決断する。

拭いきれない不吉な予感が、

彼の胃袋を締め付ける。


「それからすぐにここを出る。

例外は無しだ」


彼らは重苦しい暗闇の中を、

慎重に進んでいった。

汚れた壁、剥がれ落ちたペンキ、

それらを懐中電灯の光が、

断片的に照らし出していく。

空気は冷たく、

重苦しくなっていった。

まるで、地の底のようだった。

正気を失った世界の、

さらに奥底へと降りていった。


蝶番が壊れかかったドアが、

今にも崩れ落ちそうなほど傾いている。

最後の病室で、

彼らは「それ」を見つけた。

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