第49話 焦らず急ぐ! ★リオ SIDE
ソラが、最初の魔物が現れたと教えてくれた。私が居るのは王城の1番端にある倉庫のような場所だった。場所を広く使えるのがここだけだったから、ここを使わせてもらう事にしたわ。
今回スタンピードが起こる場所は、運良く城からそこまで離れていない草原だった。スタンピードに巻き込まれない程度離れた場所に、タンカ100台と人員を200人用意して貰い、怪我人をこの倉庫まで運んで来るよう指示してある。
「早速怪我人が来るよ〜怪我を治したら、また魔物倒しに行くのかなぁ〜?」
問題はそこだった。最初のうちは士気が高いだろうから、治療して草原に戻る人が多いだろうとは思っているのだが、全員が戻って貰っては困るのものね。大勢の人が手に追えないと逃げて来たところで、カミルと魔道師団で殲滅する作戦だからね。
1人目の怪我人は、左肩からザックリとお腹にかけて裂けた傷があった。『ヒール』でサクッと治して行く。2人目は足の肉を引きちぎられた様だ。これもサクッと治すと「ありがとう!ありがとう!」と、泣きながらお礼を言われた。お役に立てて良かったわ。
のんびり構えてられたのはここまで……
「タンカが列になって城に向かっているよ〜」
「救護班の方!入り口で、軽傷と重症に分けて移動させてください!軽傷は入り口の左手奥に!重症は右手中程にお願いします!」
「どうして重症者を右手手前に置かないの〜?」
「あっという間にスペースが埋まっちゃうと思ったからよ。手前からでは、後半の人を奥に運ぶ事になるから、運ぶ人も大変でしょう?」
「なるほど〜リオ賢いね〜」
「ふふっ、ありがとう。さてと、頑張らなくっちゃ!」
軽傷の人達は10人程纏めてエリアヒールをかけた。
「動ける様になった人は、怪我人を運ぶのを手伝って貰えるとありがたいです!よろしくお願いします!」
大声でお願いしながら回復して行く。既に100人は治療したかしらね?次々と運ばれて来る怪我人は、重症の人が増えて来た。これは急がなければ助からないかも……
「こちら、危険な状態です!優先的にお願いします!」
救護班の人から声を掛けられて、急いで向かう。横腹を喰われ、肋骨も見えている。エクストラヒールをかけた。あっという間に回復するのを目の当たりにした救護班の人達は、安堵した表情で「こちらもです!」と私を呼ぶ。
人って、助けられると分かっていれば、少し落ち着いて行動出来るのよね。ちょっと軽傷の人には我慢して貰って、重症で命の危険がある人から治して行く。
参加している人数は1000人を超えるらしいから、焦らずに、でも急いで治療しなければならない。あれから魔力量は5万を超えているし、自然回復するスピードも上がったから大丈夫だと信じたい。私を信じ、任せてくれたカミル達の期待に応えられる様に、私に出来る目の前の事をやるだけだわ。
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