夢現
のなめ
第1話 Hello,Dreaming
H―――o,la――es a―― gent―――en!
「あー、あ〜。こほんっ!こっちの方だったかな……」
ホログラムに投影された小さな少年が咳払いをしてこちらをみている。
紳士淑女の皆々〜、ようこそ夢の中の世界へ!
ボクは今、キミたちの心に直接語りかけています…………。
確か、キミ達はこれを言えば喜ぶんだよね……?
「まぁいいや。とりあえず、ここの説明をしないとね」
ここは言葉通りの『夢』の世界。現実の世界でうまくいかないことも、ここでは全てが上手くいく。そんな世界。
遠い遠い目標や、あの日願ったもしもが簡単に叶う世界だよ。
ここにくる方法はーーーーうーん、目を閉じて眠ること?
実は恥ずかしい話、よくわかってないんだよね。
でも、こんな『理想』みたいな世界に誰でも入れたら混雑しちゃうし、わからないくらいがちょうどいいよ。うん。
理想の世界でも、たま〜に迷子になる客人さんもいるみたいだけどね……。
「――ん?なに?えぇ……あー。羊ちゃんね、わかったわかった」
「……あれ、もしかして聞いてた?」
ちょうど今、迷子になりそうな
せっかくだし、キミ達にも見てもらおっかな。迷える羊達の行く末をね。
どれどれ……迷える羊ちゃんは……『夢見る少女』かぁ。
これは面白くなりそうだなぁ。キヒヒッ。
「……え?なに?羊ちゃんのプロローグが欲しいって?」
キミ達はきっと映画とか見にいく時に、ちゃーんと下調べするタイプなんだね。
見たいなら見せてあげるけど、羊ちゃんのネタバレ踏んでも文句言わないでね?
「こほんっ。じゃあ、目を閉じて真っ白なキャンバスを想像して〜」
1枚目のキャンバスには、一本の長い道路と地平線。
夢見る少女は、果てしなく続く舗装された道を進み続ける。
進む道の先には?
「これでよし。じゃ、ボクは次の現場があるから。またどこかの世界で、会えたらいいね〜」
そう言い残すと、少年のホログラムは綺麗さっぱり消えてしまった。
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