六人の少年アダムの創世大残酷
西 喜理英
第1話 The Garden of Earthly Delights
どこか、ヒロエニムス・ボスの『快楽の園』という絵を思わせた。
マッパの人々が乱痴気してる妖怪の遊園地ってな感じの絵だ。
聖書の内容を描いたらしいのは判るのだが、あれって本当にキリスト教に忠実なのだろうか? と疑ってしまうようなヘンテコさもあって強く印象に残っていた。
だが、もうネットもないのだ。
検索して見比べることも出来ない。
――我らの新天地、この楽園と。
それはもう、西から昇ったお日さまが東に沈みそうなヘンテコさだった(さすがにそれはない)
動物層に植物層、全てが見慣れぬものだ。
変わらないは太陽と夜の月。空の青さは、もっと異様に青く深く、そしてどどーんと高い。
びっくりするほど広大な緑の大地に、ポツポツと深い森。すっかり見る影もなくなった、かつての文明、廃墟となったその建造物が点在していた。
そんな楽園で、おれを含む六人の中学二年の男子が暮らしていた。
柔らかな草のベッドで気持ち良さげに寝息をたててる者、大きな河川で魚を捕まえようと奮闘してる者、木に登り、たわわに実った果実をむさぼる者など、いたって平和そのものように見えた。
中でもリーダー格のやつがシキって名だ。
背の高いシキは小柄なツバキをよく可愛がっていた。
「いいぞ。うむうむ。たっぷりとご褒美をくれてやらんとな」
「ああん! ちょ、そこ弱いッ! だ、だめぇ……」
ベッドのある部屋から、時折、二人の色めく息づかいが漏れていた。
そこに、ちょっとイカついモヒカンのパンチロも混ざることも多い。
するとツバキの甘い声色は痛々しく変わる。
「や、やめてよ!! こんなの酷いよ! ぼ、ぼく、男なのにッ!」
シキが吐き捨てるように言う。
「いやキサマは女子だ。我らのメス豚だと言うこと忘れるな!」
パンチロも黙ってない。
「女顔してるお前が一番抵抗ないんや! オラオラもっとにぶっかけや! ぶっかけまくりや!」
「おとなしく受け入れるんだな、メス豚」
中二男子が寄ってたかって、一人の中二男子をターゲットにしていた。
……さて、おれたち六人の中二に、いったい何があったのかって思うよな。
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