第4話 風のめぐる家<2>

「ただいま!泥棒入ったって本当?」

 次の日、風麗荘に帰ってきたヘジュは、一番に昨夜の事件のことを言った。

「大丈夫だよ。何も被害はなかったから」

「……?」

「本当に大丈夫だよ」

「そう?ならいいんだけど……」

 カディスの話に、ヘジュはちょっと妙な顔をしながら頷いた。



「ねえねえ、ナンシー、カディスさんが泥棒の被害なかったっていったの、本当かな?」

 ヘジュは夜、ナンシーの部屋に行ってこっそり訊いてみた。

「さあ。どうしてそんなこと訊くの?」

「うん……。カディスさん、何か隠してるみたいだったから。ちょっと元気なかったし」

「そうだよね。私もなにかひっかかってるんだけど……」

 うーん、と首を伸ばして考えていると、ナンシーは、一つのことに気がついた。

「カディスさんがいつもしている銀色のブレスレット、私は今日、見ていない……」

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