スキルむかしのまほうを手に入れたが、現代魔術に勝てるわけないだろと追放されたので旅に出ました。どうやらこのスキル、全種族の失われた魔法が使えるようで???
トス
プロローグ
「おぉ勇者よ よくぞ召喚に応じてくれた」
――俺の名前は
ある日、俺はいつも通り会社に行く道を歩いていたんだが、突然足元が光出して下を振り向くと本とかで見る魔法陣が描き出されたんだ。
その場から離れようとしたが、足がピタリと動かなくなりそのまま光に飲み込まれ意識を失った――。
意識が戻り、目を覚ますとそこはお城の中で王様がこちらを見下ろしていた。
周りには他に五人、俺と同じ状況のようだった。
この状況小説で読んだ事がある。
これはまさか異世界召喚ってやつですか!?
「勇者たちよ 早速で悪いがスキル鑑定をさせていただくぞ」
そうして俺たちはスキル? と言うものを鑑定された。
一人また一人と鑑定を受けていった。
一人目の人は勇者、一人目の人は賢者、異世界と言えばというチートスキルだ。
この流れ、俺もチートスキルってやつを持っている展開じゃないか?
俺の期待度は少しずつ高まっていた。
五人目の人が終わり、ついに俺の順番が回ってきた。
どんなチートスキルを持っているんだろうな?
俺の期待度はピークを迎えていた。
「さて、次はお主の番だな」
「はい! 宜しくお願いします!」
「では、鑑定を頼むぞ」
……。
「お主の持つスキルは、『むかしのまほう』」
スキルむかしのまほう、それって聞いただけでは分からないけどとんでもない力が秘められている系のやつじゃないですか!?
俺は期待しながらスキルの説明を聞こうとした。
「すみません、そのスキルってどんなやつなんですか?」
「現代魔術の発達した
「お前はいらん。追放だ。」
あれ? スキルの説明は? 俺も勇者パーティーに入れるんですよね? 追放?
俺は思っていた言葉と違うものが返ってきたため、混乱していた。
思わず問いただす。
「え? ですが、勇者召喚したのってそちら側ですよね? だったら追放するにしても何か……。」
このまま追放なんてされたら俺は知らない地でこの身1つで生きていかなきゃならないんですよ? そんなの現代人の俺には難しくないですか?
「こいつをこの城からつまみ出せ!」
俺は勇者召喚された直後、追放された。
俺の何がいけなかったんだ、スキルむかしのまほう……こいつのせいなのか。
考えても仕方がない。
もうこの先どうなろうとやってやるしかないんだ。
「よし、せっかくの異世界だ 旅に出よう」
勇者じゃなくてもやれることはあるはずだ。
未練がないとはもちろん言い切れないが、このままここに居ても何も起こらない。だったらいっそ旅に出てみるしかない。
そうして、俺は何も知らないこの異世界の旅に出た――。
――一年後
俺は七つの国を巡った。
一年で七つもの国を巡れた理由は簡単だ。
それはスキル『むかしのまほう』による
これは見たことのあるものに瞬間移動出来る能力なのだが、何故か行ったこともない国の地下へだけは飛べた。
飛んだ先に毎回石像があったがなんだったんだろうか。
そんな感じで国巡りして分かったことがある。国同士で仲良くしているところは少なく、ほとんどの国で戦争だったり内乱などが行われていた。中には鎖国している国もあるらしい。
そして現在、俺は中立国ニュートラリティにいる。
ここには、様々な理由で自国を出てきた多種多様な種族が暮らしている。
かくいう俺もここが一番落ち着く。
今は田舎に大きめな一軒家で七人暮らしをしている。
七人で暮らしている理由だが……。
おっと、これが理由だ。
「パパ お夕飯ですよ」
この子は人族のミヤある国に行った後一旦人の国に戻ったのだが、その時に拾った。拾ったと言っても決して変な意味じゃないからね?
金髪ロングでモデルみたいな小さな顔をしており、いつも笑顔の超絶可愛い俺の娘だ。
「他の
「あ、今パパと二人きりですね!」
ミヤが俺目掛けて飛んで来た。
「あっ、こら! 抱きつくな!」
ミヤは俺に対してとても人懐っこい子だ。
だけどもうちょっと俺との距離を考えてほしいものだ。
ミヤをはじめ、俺は旅の途中で男女合わせて六人の子供たちを拾った。
差はあれど、どこの国も緊迫している状態だ、どうしても独りぼっちになってしまう子が出てきてしまう。
俺は出会った子だけでもと子供たちを拾った。
「ただいま~」
「おかえり」
「おかえりなさい」
外に出ていた子供たちが帰ってきた。
「今日の夕飯なに~?」
俺は今まで生きてきた中で今が一番幸せかもしれない。
だが、いつまでも一緒にいるわけにはいかない。
俺はこの間から考えていたことがある。
子供たち同士が仲良くなってきた今、言い出すべきなのかもしれない。
「みんな、話しがある。」
「なに?」
「俺はまた旅に出ようと思う」
短い間だが、この子たちと家族として暮らしてきたためだろうか。
涙を抑えるのに必死だった。
「じゃあ着いていく!」
「ダメだ」
「やだ!」
本当は一緒にいたいが、こう言ったのにも理由がある。
それはスキル『むかしのまほう』のことだ。
ここで暮らしながらスキルを極めていくことができるならいいが、むかしのまほうはこの世界のことを知れば知るほど強くなる気がしたからだ。もちろん突発的に思ったことではなく、旅を経験したときに感じたことだ。
スキルを知ることで自分だけでなく、子供たちの力になれるかもしれない。
「ごめん」
子供たちは泣き出してしまった。その様子をみていると涙を抑えていた俺もついに泣いてしまった。
「パパが決めたことだから」
「そうよ、お父様を信じましょう」
そう言い出したのは、ミヤとエルフ族のナーシャだった。
ナーシャは子供たちの中で一番年上のお姉さん的存在だ。身長が高く、ミヤよりも少し薄い金髪の髪をしている。まつげが長く目がパッチリ開いていて、その美しい瞳は世の男性、いや、女性も吸い込んでしまいそうだ。
二人は子供たちの中でも、いつも率先して下の子供たちの面倒をみてくれる。
俺一人では全員の面倒をみるのは大変だからと言い手伝ってくれる。
「姉さんたちがいうならわかった」
この子は魔族のマアト子供たちの最年少組で、みんなの弟。
マアトは半人半魔だ。左側の頭から綺麗な角が一本生えており、左目のみ角膜の部分は黒く、真っ赤な瞳をしている。
マアトはとにかくイケメンだ。近い将来誰もが放っておけなくなるモテ男になるんだろうなあ。
息子ながら少し羨ましい。
「マアトがいうなら私たちも納得しなきゃだね」
ミヤがそう言うと、みんな納得してくれた。
突然のことで子供たちには迷惑を掛けてしまうが、子供たちの中で上手くまとまったらしい。
短期間でこんな成長するとは……俺はしみじみ思うとホロっと涙が流れた。
子供たちと別れる日が来た。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい!!!!!!」
子供たちに見送られ、俺の旅はまた始まる――。
――三年後
俺はニュートラリティへと戻ってきていた。
最初に三年前子供たちと暮らしていた家に戻ると、凄く綺麗な状態ではあったが今はだれも住んでいないらしい。
家主は俺のままだったので、子供たちの粋な計らいだろうと涙が出た。
俺は子供たちの事となると涙もろいらしい。
冒険者ギルドに来た。
どうやら、子供たちはニュートラリティで冒険者をしているという話を聞いた。
しかも、子供たち六人で組んだパーティーとして活動していると聞き、俺はニヤニヤが止まらなかった。親として素直に嬉しい、いつの間にかみんな大人になったんだな……。
その影響を受け、俺も冒険者になろうとしているわけだ。
「あの、冒険者登録したいんですけど」
「はい、承りました。 では、こちらに手をかざしてください」
出てきた水晶玉に手をかざす。
その後、渡された書類を書き、冒険者登録は終わった。
特例がない限り、最初は皆同じEランクからスタートするらしく、最高はSSランク。
SSランクはパーティーとしてだとニュートラリティでは三パーティーいると聞いた。
基本冒険者はパーティーを組み、組んでいる者はパーティーのランクと同じランクになるらしい。
「さて、頑張りますか!」
子供たちと再会したとき恥ずかしくないように出来るだけランクを上げていこうと思う。
いつかは子供たちと冒険したりして……と妄想が止まらなくまたニヤニヤしてしまった。
「おいお前気持ち悪いんだよ」
「?」
どうやらニヤニヤ顔をみられて、それが気に障ったらしい。
「ルーキーが調子のるんじゃねえよ、てかよくみたらおっさんじゃんw」
む?俺はまだ28……もしかして俺って傍から見ればおっさん……。
「ムカつくから一発殴らせろや」
「やれやれ~!」
異世界の若者はどうなってるんだ。
俺は殴られる理由もよくわからないのでスキルで守ることにした。
「
――ギルド2階
「あの方は……。」
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